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59. 大食い大会開始
しおりを挟む「みんな~!やる気はあるかー!」
「「「「「おおおーーー!!!!!」」」」」
「お腹はすかせてきたかー!!!」
「「「「「おおおーーー!!!!!」」」」」
大食い大会当日、会場は異様な熱気に包まれていた。
「何だか凄い気迫を感じますね。」
実行委員としてはこの盛り上がりは嬉しいが、少し熱量がありすぎるというか…。
「そうだな。佐藤兄弟の件があるからな、皆どうなるのかと気持ちをたかぶらせているのではないか。」
会長は拍手をしながら、にこやかに言っているが…。
そうなんだよな。あの食堂での佐藤兄弟のやりとりがあった次の日には校内新聞の一面にデカデカと佐藤兄弟対決!って記事が出てみんな大騒ぎしていたからな…。
もちろん一年生は佐藤くん(弟)の応援をするって励ましにきていたけど、中には兄弟で揉め事はどうなのか?って苦言を言いにきた奴もいたな。神様の学校だから争いは良くないっていう奴がいても仕方ないか。
佐藤くんは気にしてなかったみたいだから良いのかな。
周りから差し入れとかももらって毎日かなりの量を食べて訓練していたから前より食べる量は増えたと思うんだけど、結局お兄さんがどれくらい食べるのかは分からないままなんだよな…。
それが少し怖い。
佐藤くんには絶対に勝って自分に自信を持ってもらわないとね。
『人間は面白いことをするんだな。』
織田先生についている紅色の龍がやってきた。いい加減名前つけたいな…呼びにくいよ。紅龍でどうかな?
『面白いかな?』
そう言われれば…龍は食べ物を口にしないからこんな大会はできないのか。
『その通りだ。我々は人間のやる気などをエネルギーにしているから、大食いとかという概念がないな。』
なるほど。
『そういえばお仲間は今日はいないのですか?』
本当は期待してるんです。
『連れてきておるぞ。姿は消しているがここには人間のプラスエネルギーが集まってきているからな。沢山いると思うぞ。』
やったー!!
これなら佐藤くんにも龍がついてくれるチャンスがあるよ。佐藤くんファイト~!
「さあ第一回大食い大会選手入場だー!!!」
チャーチャラ~…。何だか聞いた事があるような闘志の燃える音楽が場内に流れる。その曲にあわせて大会に出場する選手が入ってきた。
うわぁー、結構集まったな。
全部で30人程が出ている。
一回戦で半分くらいは落ちるようにしているからな佐藤くん頑張れよ。
結局大食いの料理は一つにまとまらなかったので、一回事に違う料理を出すことになったんだ。
まず一回戦は…。
「このメンバーで最初に食べてもらうのはコレだーー!!!」
司会の生徒がテーブルにセッティングされている布をとると現れたのは食パンだった。
「「「「「おおおーーー!!!!!」」」」」
生徒達がざわめくなか選手達は驚いている。
「はあ?普通の食パン?!」
「味はついてないの?バターとかはなし?」
「俺…パンだけとか無理だわ。」
「一斤の食パンなんて初めて食べるな。」
どの意見も不服そうだな。狙いはそこなんだけどね。
こちらとしても美味しくて沢山食べられると予算が足りなくなるので考えた結果なんだよな~。これなら食欲なくなるだろうと…。大食い大会とは矛盾してるかもしれないけどね(笑)
「よっしゃ!!」
そんな中でも佐藤くんはやる気みたいだ。大きな声を出して自分に気合いを入れている。
お兄さんは何も言わずに肩を回して準備体操してるよけど、気合いは入っている感じだ。気迫が違うな。
「それでは始めるぞー!準備は良いか~!!」
「「「「「おおおーーー!!!!!」」」」」
参加者全員が拳を上げて雄叫びをあげている。普段は大人しく生活している人達なのに…こんな一面もあるんだなと思ってしまった。
「大食い大会、第一戦目スタート!!!」
ピー!!
開始の合図と共に参加者が一斉に食べ始めた。
食パンを手に持ってちぎらずに食べる人もいれば、一口ずつちぎって口に入れている人もいる。
だけど食パンは口に入れすぎると喉につまりやすいから飲み込むのが大変みたいだな。食べるのと同じくらいに水分もとっている人が多い。あまり水分をとりすぎると後で大変だと思うけど…大丈夫なのかな?
佐藤くんは順調に食べすすんでいる。水分も極力とらない様にしているみたい。
お兄さんは…。
な、なんだあれ?
佐藤くんのお兄さんは食パンを掌で圧縮してから口に入れている。ものすごい速さだ!
あんな食べ方は初めて見たよ。
喉につまらないのかな?
いや、今はそんな心配をしている時でなかった!
お兄さん、佐藤くんより食べてるじゃないか~!
大丈夫なのか?!
頑張ってよ~、佐藤くん!!!
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