龍神様に頼まれて龍使い見習い始めました

縁 遊

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56. 見かけによらず…

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「大食い大会?何だそれは?」

 会長は不思議そうに聞いてきた。

「どれだけ沢山食べられるかを競う大会です。」

 この世界には大食いの人は少ないのかな?

「そんなことを競うのか?だけど人が食べられる量なんて知れてるだろう。」

「会長が知らないだけで世の中には凄い量を食べる人達がいると思いますよ。いつも我慢して食べない様にしているだけだと思います。僕はその人達にお腹一杯食べて欲しいんです。」

 佐藤くんという個人名は出せないけどね。大食いなら佐藤くんが頑張れると思うんだよね。その姿を見て気に入る龍がいるんではないかと考えたんだけど…上手くいくかな。

「まあ目新しい企画だとは思うが…。」

 ダメ?どうしてもやりたいんですが。

「因みにこれは龍を呼べる企画ですよ。」

「何!?それは本当か!」

 会長の目の色が変わった。

「本当に龍を呼べるのか?」

「ええ、多分…。」

 会長は暫く黙って考えていたが急に俺の方にやってきて肩をつかんだ。

「分かった!大食い大会をしよう。八岐が企画と準備を担当してくれ。」

 やった~!これで計画の第一歩が進められるよ。

「はい!頑張ります!」

 会長はつかんでいた俺の肩を揺らしながら顔を近づけてきた。

「八岐…お前にかかっているんだからな。龍をこの学園に呼び戻してくれよ!」

「はい!」

 人から見られたらあらぬ誤解をされそうなくらいの顔の近さで会長は俺に激を飛ばした。

「あ!」

 生徒会室に現れたのは一条先輩だ。先輩は会長と俺の姿を見て短く声を上げて後退りしている。

 これは…勘違いされたかな?

「あ…一条先輩、誤解しないで下さいよ!今、新しい企画の話をしていただけですからね。」

 俺は自分の肩に置かれていた会長の手をはがし一条先輩に駆け寄った。

 一条先輩は俺と会長を交互に見たあと真剣な顔つきになった。

「いえ、私は誰にも言いませんから安心してください。…でも生徒会室で密会はやめた方が良いですよ。」

 先輩は完璧に誤解をしてるよ!

「だから誤解ですって!こんど大食い大会をやらせて下さいとお願いしていただけなんです!」

「大食い大会?ですか…。何ですかそれ?」

 一条先輩に説明したら先輩の顔が凄い嬉しそうに変化したんだけど…なんで?

「それは生徒会の役員でも参加は可能でしょうか?」

 誰が参加するのだろうか。そんな大食いな人なんていたかな?

「制限はありませんよ。誰でも参加可能です。」

「良かった…。では私も参加させてもらいます。」

「え?先輩が参加されるんですか?!」

 一条先輩って大食いだったのか?だけど先輩は体の線も細くて食べそうに見えないんだけどな…大丈夫?

「忘れていた。そいつは痩せの大食いなんだ。」

 会長が思い出したと言わんばかりの感じで声をだした。

「一条先輩が?」

「見かけに騙されるな。コイツは普段は人前で食べるのを抑えているが気兼ねがなくなると考えられないような量を食べるんだ。」

「人より少し多いだけだよ。」

 一条先輩は会長の言った事に納得がいかないみたいだ。

「いやいやあれは少しという量ではないぞ。」

 何を言っているんだと言わんばかりの会長。

「具体的にどれくらい食べられんですか?」

 ここまで言っていたら気になるよね。

「え…。う~ん、そうだね。じゃあ、休日のランチに食べた物で良い?」

「はい。」

「この前食べたのはパスタとサラダとスープとデザートだよ。」

 え?これは普通だよね。

「おい、量を言えよ。今のを聞いていたら普通の食事みたいに聞こえる。」

 鋭い会長のツッコミ。

「量…は、パスタが8種類で各3人前とサラダが3人前、スープが5種類で各2人前、デザートが10種類で各3こずつ。たいした量ではないよね。」

 ニコッと微笑まれたけど、いや…かなりの量です。

「先輩は太りにくい体質だったんですね。知りませんでした。」

 俺は何て言って良いのかわからないから少し話をそらせた。

「ん?ああそうかもね。体型は昔からの変わらないね。食べないと痩せるんだよね。」

 どんだけ代謝が良いんだ!

「これくらいでも参加できるよね?」

「充分だと思います。」

 一条先輩がなぜ少ないと思うのかは分からないけど俺的には大食いだと思いますよ。

「やった~!じゃあ、美味しいものを沢山用意しようね。準備は手伝うよ。」

 一条先輩…自分が好きな物を準備しようとしていませんか?でも手伝ってくれるのは助かります。

「何を準備するかはまだ決まっていないので決まったら声をかけますね。」

「それならお薦めがあるよ。」

「何ですか?」

「我が領地で、今年は収穫量が多すぎて困っているものがあるんだけど、それなら無料で提供できる。果物なんだけどね。スイカって知ってる?」

 スイカ!前世で大好きだった果物だ。じいちゃんが畑で作っていて毎年食べていたことを思い出すな~。

「知っています!スイカ好きです!本当に無料で良いんですか?それなら欲しいてす!スイカにします。」

 大食い大会はスイカの大食いに決定!

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