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55. 嬉しい想定外
しおりを挟む『お前は最近龍達の間で話題になっているのだ。龍神様から頼まれ事をしてきた人間がいるとな。』
龍ネットワークはしっかりあるんだな。
『多分…ワシ以外にも見に来ている奴はいると思うぞ。』
『そう言えば来てたな…。』
え?教えてくれよ。姿を消したまま来られても分からないからね。
『こやつは昔からの友人なのでワシに会いに来たついでにお前の顔を見たいと言い出したのでな連れてきたのだ。』
朱色の龍と昔からの知り合いなのか。じゃあ、皇帝龍の事も知っているかもって思っていたのは間違いではなさそうだよね。
『じゃあ…もしかして貴方も皇帝龍の事を知っているのですか?』
思いきって聞いてみたけど白い龍の顔色が変化したのが分かって少し後悔した。
『知っているぞ…。』
これ以上は聞きにくい雰囲気だな。
『皇帝龍のことを聞きたいのか?』
相手から聞いてくれたよ。これって聞いても良いって事だよね。
『聞きたいです。』
『ワシが知っているのはアイツは今はこの世界にいないということだな。今は異世界にいるらしい。』
『え!異世界ですか?』
『ああ。この世界には戻ってきたくないみたいだな。』
そんなにこの世界が嫌になったのか…。いつか帰って来てくれるかもしれないと思っていたけど難しいかもしれないな。
『連絡をとっていたのか?』
朱色の龍も知らなかったみたいだ。驚いている。
『たまたま異世界に行った時に姿を見かけたから話したんだ。そう言えば言ってなかったな。』
白い龍は悪気はなかったと朱色の龍に謝っている。
『そうか…元気でいるならそれで良い。』
気にしていたんだな。
『まあ、この世界が変わればアイツも帰ってくるだろう。お主はその為に龍神様から頼まれたのであろう。』
『皇帝龍を呼び戻す為ではありませんが、この世界を変えて龍達に戻って来てもらう為に頑張ります。そう龍神様と約束したので…。』
それをやらないと、じいちゃんに会えないからね。
『面白そうだからワシも力を貸すぞ。』
『え!良いのですか。』
なんだ、白い龍って良い龍じゃないか!
『仲間を呼んでやっても良いぞ。気にいる人間がいるかどうかは分からないがな。』
それでも龍達に来てもらえるたけでもありがたいよ!
『ありがとうございます。』
じゃあ僕はここの学校の生徒達を龍に気に入ってもらえるようにしないといけないよな。友達計画をもっと頑張るか…。いや、それよりも今友達になった人達のやる気を引き出した方が良いかな。
とりあえずは一番身近な佐藤くんと大谷くんから始めていこうかな。佐藤くんはすぐにどうにかなりそうな気がするし。大谷くんは…難しいかもな。アプローチの仕方を変えればいけるかな。ここは慎重にいこう。
『何だか先が見えてきました。頑張ります!』
『『頑張れよ。』』
二匹の龍は温かい眼差しで見守ってくれている。
『そろそろ時間だな。帰るとするか。』
『そうだな。では楽しみにしているぞ。』
二匹の龍はそう言い残して姿を消した。
嬉しい…新しい龍に会えただけでも嬉しかったけど沢山の龍に来てもらえる約束もできた。
じいちゃんに会える日が近づいている気がする。
実は少し不安だったんだ。このまま異世界で生活する内に前世の記憶が薄れていってじいちゃんの事も忘れてしまう日がくるんじゃないかって考えたりしていたんだ。
会える日が早まればその心配はないよな。
これもあの二匹の龍のおかげだな。
想定外だけど嬉しい想定外だったな。
これはすぐにでも計画を実行に移さないといけないな。
まずは佐藤くんからだな。
佐藤くんの好きなこと…は食べる事だな。
それを夢に繋げる…何があるかな?
料理人になるようにすすめる?
佐藤くんは食べるのは好きだけど料理を作るのが好きとは聞いた事がないな…。
他に…食材を作る?
畑で日に焼けながら農作業をする佐藤くん…似合いそうだけど…確か佐藤くんの家は大きなお店をしていたよな。ここに来ているから長男ではないと思うけどこの先はどうなるか分からないし…。
う~ん、意外と難しいな。
食べるのが好きな佐藤くんがやる気になること…。
そうだ!あれがあった!何で忘れていたのかな。
これはまた生徒会長にお願いしよう。
忙しくなるぞ~!
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