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53. ある龍の呟き 〈龍視点〉
しおりを挟む『ほぉー、そんな事になっていたのだな。』
『人間に龍神様が頼んだのか…。』
『しかし…人間は信頼できるのか?』
色も大きさも違う龍達が大きな川に集まり話をしている。
『そうよね…あんな事があってから私達は人間と距離をおいて見る様になったのよね。』
『ん~、だけど最近あの国の人間は変化したような気もするぞ。』
『あっ、それは俺も思っていた。淀んだ空気が綺麗になっていたしな。』
比較的に小さな体をした龍達が頷いている。
『確かにそうだな。前は汚い水を川に流していたが今はそれも無くなったしな。』
『それは龍神様に頼まれた人間が関わっているらしいぞ。』
集まっているなかで一番体が大きい龍が発言すると皆が注目した。
『『『そうなんですか!?』』』
『ワシの古い友人から聞いたから間違いないと思うぞ。』
ひときわ大きな体をくねくねと動かし小さな龍達の回りを飛んでいる。
『ワシもそろそろ龍神様にこの世界を任された人間に会ってみたいと思っている。』
『『『ええ!!!』』』
『貴方がわざわざ人間に会いに行かなくてもよろしいのではないですか?』
大きな龍よりも一回りほど小さいピンク色の龍が大きな龍のすぐ近くに寄り添うように飛んでいる。
『いや、今が会うタイミングだと思う。この世界の龍達を変化させる時なんだろう。』
ピンクの龍は納得がいかないようで大きな龍の体の回りを螺旋状に飛び始めた。
『人間に会うことで我々が変化すると?』
『ハッキリとは言えないが、そんな予感がするんだ。』
体の回りを飛んでいたピンクの龍を追い払う様にスピードをあげて天高く真上に飛んで行った。
このままではいけないと思いながら過ごしてきた年月は退屈なものだった。人間と距離を置く前は毎日が退屈せず楽しいものだったに…。
若い龍は今の状態が当たり前になってしまっている。これでは駄目だ。我々は人間と共に過ごすことで成長ができるのだ。分かっていながら動かなかった。
友人は昔から賢い奴だった。
ワシも今から友人を見習ってみようかと思う。
さあ、今から悪友の顔でも見に行くか!
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