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51. 疲れています
しおりを挟む「八岐くん、大丈夫か?」
佐藤くんが特盛のパスタを頬張りながら俺を心配してくれている。なぜ心配されているかと言うと…。
「やつれたよね…。だいぶん無理してるんじゃないの?」
相変わらずのクールな口調だけど大谷くんも心配してくれているみたいだ。
やつれたのは全生徒とお友達計画の為にいろんな人に声をかけまくり気を遣いすぎたからだ。忘れていたけど俺って見た目は子供中身はオッサンなんだよな。話の内容が噛み合わないのが辛いんだよ…。
それでも頑張ってたらいつの間にか痩せていたよ。
本当コミュニケーションをとるってむずかしいよね。
「ほら、これやるから元気出せよ!」
「佐藤くん…。」
佐藤くんはパスタの後のデザートに頼んでいたドーナツを一つくれた。
「じゃあ、俺からはこれあげる。」
今度は大谷くんからオレンジジュースをもらった。
人の親切が身に染みます。くぅ~!
「え…泣いてるの?大丈夫?」
大谷くん…ひいてない?ひかないでよ。
「アハハ、だいぶんやられてるな!」
佐藤くんは変わらないよね。今はその明るさが有難いよ。
「二人ともありがとう…。」
「ねぇ、そんなに辛いならいろんな人に話しかけるのは辞めれば良いんじゃない?」
クールな大谷くんらしい意見だと思う。そう思うよね。でも辞めるわけにはいかないんだよね。
「うん…そう思われるよね。だけど目的があるから辞めるわけにはいかないんだよね。それに、友達増えたよ。」
全然駄目ではなかった。一応、クラスの皆と隣のクラスの半分くらいは友達になれたと思うんだけどな…。
「ふ~ん。何が目的なの?」
「えっと…。」
龍の話をしてもこの二人なら大丈夫だよね。
「実は僕…龍の使いという仕事につくように神様から言われているんだけど、その為にかな…。」
「「神の使い?」」
佐藤くんもドーナツを食べながら聞いていたのか大谷くんと声を合わせて不思議そうな顔をしている。
「何…龍の使いって?」
「それは…。」
俺は二人に"龍の使い"について話した。
二人は真剣に俺の話を聞いてくれていた。
「へぇ~、龍かー。龍ってごはんはどれくらい食べるんだろうな?」
佐藤くんは信じてくれたみたいだ。だけどその質問は大食いの佐藤くんらしいよ。
「龍…か。昔はこの国に存在していたと本で読んだことがありますが…。写真が撮れたらトップ記事になりそうな話ですね。」
大谷くんも信じてくれたみたいだけど…商売の方に意識がいっているみたいだね。
「龍は基本的に人間のプラスのエネルギーを食べるんだけど量は聞いたことがないな。それから、大谷くんが言っていた写真だけどハッキリとした姿は写真には写らないと思うよ。残念だけど…。」
俺は大谷くんにもらったオレンジジュースを飲みながら答えた。
「「そうか…。」」
二人って本当に気が合っているよね。話すタイミングがピッタリだし、表情も同じだよ。
「でも八岐くんには龍の姿が見えているんだよね?」
「そうだけど、龍が姿を見せても良いと思ってくれた時だけだよ。隠れられると気配は感じても見えないんだ。」
「難しいんだね。龍も気まぐれと言うことか…。」
「そうなるのかな。」
良い感じで二人に龍の話ができたよ。いつ言うか迷っていたんだけどスムーズに言えて良かったよ。
後は二人にも龍がついてくれたら最高なんだけどな。
翡翠どうしているかな。早く沢山の龍を連れてきてくれると嬉しいな。
「は~、食べた食べた。お腹一杯かな…。」
断定じゃないのが気になるよ。佐藤くんは底なしの胃袋の持ち主なのかな?
「ところで、俺達にも龍についてもらうにはどうすれば良いの?龍がついてるって格好いいよな!」
佐藤くんの目が輝いている。あれか、男の子が恐竜とかに憧れるみたいな感じなのか?
「さっきも話したみたいに龍は頑張る人が好きだから佐藤くんはそのまま何事にも一所懸命に取り組んでいればやって来ると思うよ。」
「そんなのか!分かった!俺は頑張る!」
佐藤くんの後ろに炎が見える様な気がするくらい燃えてるね。
「じゃあ、俺も頑張る姿を見せれば龍がついてくれるんだね。」
クールな大谷くんも龍についてほしいんだ。意外だな。
「良いこと思い付いたんだけどさ、俺達が友達作りに協力すれば、楽になるんじゃないか?」
大谷く~ん!ナイスアイデアだよ!
「え!良いの!」
「俺も佐藤くんも友達は多い方だと思うよ。兄もいるしね。上級生にも知り合いはいるから紹介できると思うよ。」
大谷くんが神様に見えるよ~!
俺は大谷くんの手を強くにぎりしめた。
「ありがとう!ありがとう!嬉しい!」
にぎりしめた手をブンブンと上下にふりながら何度も感謝の言葉を口にした。
「俺も協力するね。兄ちゃんにも声をかけてみるよ。」
佐藤くんもお兄さんいるんだー!
「ありがとう!ありがとうな!」
友達計画なんとかなるかも。
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