龍神様に頼まれて龍使い見習い始めました

縁 遊

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50. 全生徒とお友達になろう!

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「今日はどうするんだ?」

「そうだな、カレーのトッピングに海老フライなんてどうだろう?」

「「良いね!!」」

 ジャンケン大会が終了し、俺達は大谷くんの優勝賞品のおこぼれにあずかっていた。

 気を付けないと太りそうだな…。

 俺は大会が終了しても生徒会の一員として残ることになった。目的は会長の言っていた「生徒全員に龍についてもらうこと」なんだけどね。

 まあ、俺もこの世界に来た目的と一致しているからこの計画はありがたいんだけどね。

「八岐くんは生徒会に残ることになったんだよね?何をしているの?」

 情報通の大谷くんはどうやら俺が生徒会に残ったのは何かあると勘づいているみたい。友達だし、話しても良いのかも知れないけど、会長に聞いてみないと駄目かな。

「う~ん、会長のお手伝いみたいな?」

 今は誤魔化しておこうかな。

「何だか曖昧だね。人に言いたくない理由でもあるの?」

 大谷くんが顔を近づけてくる。

「大谷くんは何で八岐くんの事がそんなに気になるんだ?」

 佐藤くんは細かいことは気にしないタイプだもんね。大谷くんの聞きたがる癖が気になるみたいだ。

「何でって言われてもね…。小さい頃から疑問に思った事はハッキリさせたい性分なんだよね。」

「へぇ~、そうなんだな。俺とは正反対だな。」

 佐藤くんはカレーの特盛をガツガツと食べながら手を止めることなく聞いている。相変わらずの凄い食欲だな。

「まあ、生徒会の話だから会長に話しても良いか聞いてみるよ。僕は新人だから何を話してはいけないのかが分からないからね。」

「…分かったよ。楽しみにしてるね。」

 一瞬の間が納得していない事を表しているのは分かったけど…ごめん。

 ディナータイムも終了して各部屋に戻るとすぐに翡翠が姿を見せた。

『最近は忙しそうにしているな。』

 姿を消しているだけで毎日俺の行動を見て知っているくせにわざと言っているな。

『生徒会に入ったからね。それに翡翠も聞いていただろう?会長から生徒全員に龍がつくようにしてくれと頼まれたんだから暇なはずがないよね。』

『そうだったな。』

 ニヤニヤとして感じが悪いな。

『翡翠も手伝ってくれると助かるんだけど、それはできないの?』

『…できない訳ではないが、約束はできないな。』

『何で?』

 出来るなら手伝って欲しい。俺が成長することで翡翠も成長できるんだから多少は協力してくれてもバチはあたらないよね。

『龍の仲間に声をかけたところで人間を気に入るかどうかは別問題だからだ。しかもこの国にはあまり龍がいないから別の所から連れて来ないといけない訳だろ…。面倒臭い…。』

 今、最後に面倒臭いって言わなかった?それはないよ!

『面倒臭いなんていっているから龍神様に目をつけられるんだよ!やれる事はやらないといけないんだ。駄目で元々、やることに意味がある。はじめから声をかけてすぐに来てもらえる何て思っていないよ。一緒に成長するために頑張ろうよ!』

 言いすぎた…かな。でも、俺の本当の気持ちだ。

『…すまない。そうだな、駄目で元々か。分かったよ、声をかけてみる。』

 翡翠が素直に謝った。やる気になってくれたんだね。

『ありがとう翡翠。一緒に成長するためにこれを乗り切ろう。』

『ああ。』

 まるで一昔前の青春ドラマのセリフみたいな事を言ってしまって恥ずかしい気もするけど丸く収まって良かったよ。

『じゃあ、俺は暫く留守にするからな。龍を探してみる。』

『分かった。連絡をとりたくなったらどうすれば良い?』

『心の中で俺の名前を呼べばすぐに飛んでくる。』

『そうか…なら安心。頼んだね翡翠。』

『じゃあな。』

 翡翠が姿を消した。

 探しに行くってどこに行ったのかな?あてがあるのか?まあ、翡翠が言ってるんだから任せれば大丈夫かな。俺は自分の仕事をしないとな。

 まずは、この学校の生徒にどうやって夢や希望を抱かせるかだな。でも、大きな夢とかはなくてもそれぞれに夢ってありそうなんだけどな…。でもこれを聞き出すなら仲良くないといけないよな。話した事もない他人からいきなり「あなたの夢は何ですか?」って聞かれたら怖いよな…。

 …となると…生徒全員と友達にならないといけないのか?!

 これって相当大変だよね!

 だって同学年でも難しいのに…隣のクラスのペリー王子何かは結局まともに話す事もないままに大会を終えたし…。

 大丈夫なのか俺?

 コミュニケーションスキルは前世のサラリーマン時代に磨いていたけど、異世界でも通用するのかな?

 まずは、同学年全員とお友達になろう計画だー!

 



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