龍神様に頼まれて龍使い見習い始めました

縁 遊

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46. ベストセラー?

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「八岐くん、景品とはどんな物が喜ばれるのだろうか?」

 俺は生徒会の皆さんと新入生歓迎会の準備に追われている。

「そういえばもう一人の一年生代表はどうしたんだ?姿がないな?」

 気づかれたか…。

「すいません。ペリー王子を誘ったのですが断られまして…家に帰られました。」

「指導は上手くいっていないみたいですね…。」

 一条先輩の笑顔が怖く感じるのは俺だけなのだろうか。違う話しにすり替えないと胃が痛くなりそうです。

「あっ、先輩…さっきの景品の話ですが…。」

 俺だってあの嫌な王子に話しかけてはいるんだよ。努力は認めてほしいです。

 まあ、動機は指導ではなく黒龍に会いたいからなんですが…。

 今日も…。



「ペリー王子、おはようございます。」

 ペリー王子は俺の顔をチラッと見て顔を確認すると無視して無言でいなくなった。

 挨拶くらい返してくれても良いと思うんだけどね。まったく…。

 それでも俺はお昼も挫けずに声をかけにいったんだ。

「ペリー王子、今日は放課後に生徒会室に集合ですから教室まで迎えに行きますね。」

「…はぁ。」

 ペリー王子は大きなため息をついて席を離れた。

 いや、ため息をつきたいのは俺の方だよ!

 放課後も教室に迎えに行ったけど…。

「ペリー王子、生徒会室に一緒に行きましょう。」

 挫けずに笑顔で話しかけたが相変わらずの無視。

「……行かない。」

 やっと言葉が出たと思えば「行かない。」だと~!前世のブラック企業で働いていた根性で何とかここまで頑張ってきたけど、流石にやる気がつきそうだよ。行きたくない人を無理に連れていくのも気が引けるし…もういいかな。

「あ、分かりました。では僕一人で行きますね。生徒会の皆さんにはお休みだと伝えておきます。」

 ペリー王子は俺がもっと粘ると思っていたみたいで呆気にとられた顔をしていた。

 そんなやり取りをしていも黒龍は姿を見せてくれなかったんだよな…。やっぱり、ペリー王子と仲良くならないと姿を見せてくれないのかな。それだと永遠に見られない様な気がするんだけどな。


「おい、八岐くん…ボーとしてるけど大丈夫か?」

「あっ、すいません。考え事をしていました。へへっ…。」

 ボーとする癖がついているのかな、気を付けないと。

「景品は決まったのか?」

 会長がやってきた。

「はい。こんな感じになりました。」

 先輩方と話し合って決めた事を紙に書いていたのでそれを会長に見せた。

「ふむ、面白いかもな…。」

「買い出しはどうしますか?」

 流石に新入生歓迎会なのに一年生の俺が行くのは違うよね?

「それは俺が行く。商人に顔が効くからな。」

 そうなんだ。会長の実家は商家なのかな。

「では、お願いします。」

 景品も決まったし一段落かなと思っていたら会長がまだ俺に用が有るらしい。

「八岐…少し話があるんたが…。今から良いか?」

 真剣な顔つきの会長。一体なんだろうか?

「…はい。」

 会長は僕を個室に招き入れた。ここはどうやら会長室らしい。こんな部屋があるんだ、社長室みたいな感じだな。

「まあ、座ってくれ。」

 俺は素直にソファーに座った。会長は部屋の一番奥にある机に向かいそこの椅子に座った。

 沈黙の時間が耐え難い。

「あの…会長…話とは何でしょうか?」

 耐えられずに俺から話を切り出したけど、会長は話すのを躊躇(ためら)っている感じだな。

「…新入生のお前に頼む事なのか迷ったのだが帝がお前が適任だと言うのでな。」

 帝先輩の名前が出てきただけで良い予感がしないのは何故だろうか。何を頼まれるんだ?

 迷ったのなら止めてほしいよ。いけない…マイナス思考がすぎると龍に嫌われるかもしれない。気を付けないと!

「帝先輩はどうして僕を適任と言うのでしょうか?会ったのは会議の時とその前に一度お会いしたくらいで良く知らないと思うのですが?」

「そうだな。会ったことはなくてもお前は有名人だからな。」

「え?有名人…。」

「ハハハッ!本人は自覚がないのか!?」

 自覚と言われても困る。そんな目立つ事はしていないんだけど…。

「もしかして…本が出ているのを知らないのか?」

「本…?何のですか。」

 本って何の本?

「もしかして、あの本は本人に許可なく出されているのか?いや…しかし…。」

 会長が話しながら考えているけど何の本か早く教えてほしい!

「…八岐は本当に知らないのか?お前の親父さんが書いた本なんだが…。」

「へ…?お父様が?」

「ああ、お前が生まれてから今までの事を書いた"龍の使いになるために"という本だ。」

 父さん~!!!俺に内緒でなにしてるのさ!

「知らなかったです…。お父様がそんな本をだしていたとは…。」

 しかも先輩が知っているくらい売れているということだよね。

「こんなにベストセラーになっているのに本人が知らないとは…。」

「ベストセラー…。」

 帝先輩が俺の事を知っていたのは本を読んだからだったのか?父さん…手紙くらいくれても良かったんじゃないか?

 それより本を俺に送ってこいよ!

「そうか…本人は知らなかったのか…。どうしようか…。」

 え?もしかして本に関する事でのお願いだったのかな。

「頼みたいのは…龍についての事なんだが…。」

 一体なんだ!?

 



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