龍神様に頼まれて龍使い見習い始めました

縁 遊

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39. 誰?

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 今日は学校の初日、朝早く目覚めたので少し早く寮を出て散策しながら校舎に向かうことにした。

 相変わらずというか何というか、本当に纏まりのない世界だなと実感するよ。

 校舎と宿舎のテイストが違うのは前にも言ったと思うけど、庭も変なんだよね。

 宿舎にあるのは枯山水みたいな石とかがある日本庭園だし、校舎の方は薔薇や色とりどりの花が咲き乱れるイングリッシュガーデンみたいだし…この世界の神様はどんな趣味をされているんだ?

 おまけに校舎の中も変だったんだ。外観はザ・教会みたいなのに教室のある方は日本の学校みたいな造りをしているんだ。

 因みに制服も日本的だよ。紺色のセーラ襟にパンツスタイルだからね。最初は女子学生の服みたいで恥ずかしかったけど今はもう慣れたよ。

 学年ごとにスカーフの色が違うから便利な所もあるんだけどさ。

「ここか…。」

 やっと自分の教室に到着した。1年はクラスが2つしかない。クラス分けがまた変わっていて、神官クラスと神学クラスに別れる。

 どう違うかと言えば、神官クラスの生徒は将来の職業が神官と決まった生徒で、神学クラスは職業が神官ではなかったけど神様に関係する職業と決まった生徒なんだ。

 もちろん僕は神学クラスだ。

 どんな子達がいるのかな。ドキドキしながら教室のドアを開けた。だけど…早すぎて誰もいなかった。

「そうだよね。ドキドキして損したな…。」

 席はどこに座っても良いのかな?俺は皆が見渡せるだろうと思い一番後ろの席に向かった。席は緩やかな階段上になっていて一番後ろが一番高くなっている。

 階段を上がって一番後ろに来たら…。

「先客?」

 長椅子の上で寝ている子がいた。

「ふあぁ~ー!よく寝たー!」

 大きな欠伸と共に起き上がって俺を見た。うわぁ~、まるで韓国アイドルの様な綺麗な男の子だ。身体はガッチリで顔は女性的、紫色の髪の毛も腰くらいまであって余計に性別が分かりにくい感じだな。瞳も紫色で何となく気品があるような気がする。

「あんた誰?」

 それは俺も同じ気持ちだよ。

「八岐 竜です。貴方は?」

「俺は、帝 政宗(みかど まさむね)だ。」

 また凄い名前だね。だけど、帝って聞いた事があるような気がするんだけど…思い出せないな。

「八岐ってあの八岐?」

 あの…と言われても分からないけど。八岐って名前は他にないと思うんだけど。俺が悩んでいると更に質問してきた。

「つい最近、幽霊騒ぎのあった領地を買った家だろ?」

 あ!そっちか。

「はい、その八岐です。」

「ハハハッ!いや~、会えて嬉しいよ。どんな人物なのか会ってみたいと思っていたんだ。」

 イケメンだけど中身は気さくな感じだな。だけど何で会いたいと思ったんだ?


「どうして会いたいと思ったのですか?」

「だって、あんな幽霊騒ぎのあった土地をわざわざ買うなんて変わった人物だと思って調べさせたらもっと面白い事が分かったからね。」

「え…。」

 今…さらっと言ったけど俺の家を調べたの?面白い事って何が分かったの?

「面白い事ですか?」

「ああ、面白い事だ。あれは多分君の事だったんだな。」

 俺の事?

「八岐の家に天才と言われる子供がいるらしい。と噂になっていたんだ。」

 天才…。いや~それほどでもないよ。

「しかも聞けば飛び級でこの学校に入学するって言うじゃないか、これは是非とも顔をみなければと…ふぁ~、朝早くからここで待っていたんだよ。」

 俺を待っていたのか。よく見ればスカーフのいろが黄色だ。俺達一年生は白色だからこの人は学年が違うんだな。確か…黄色は二年生だったかな。

「さあ、顔をみれたし、挨拶もしたから帰るわ。また会うこともあるだろうから宜しくな。」

 立ち上がると思ったより大きくて驚いた。180
センチ以上あるよ。

「じゃあな。」

 呆気にとられている俺の頭をポンポンと軽く叩いて爽やかに教室から出ていってしまった。

 何だったんだあの人は…。

 入れ替わる様に教室に人が入ってきた。今度の子はスカーフが白色だから間違いなく同級生だな。

「おはよう!」

さあ、これからが本番だ!




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