龍神様に頼まれて龍使い見習い始めました

縁 遊

文字の大きさ
上 下
33 / 86

33. 突然の訪問者

しおりを挟む


 最近いろんな事がありすぎて疲れてしまった俺は気分転換に大きな滝を見に来ています。

 なぜ大きな滝を見に来たかって?それは…。

『来たな…噂の龍の使い子よ。』

 目の前には大きな青色の龍がいる。実は滝には龍が絶対って言って良いくらいの確率でいるんだよね。俺は沢山の龍に会うことによって気持ちが安らぐと言うかテンションがあがってストレスがなくなるんだよね。

『初めまして青い龍。少しの間ここにいても良いですか?』

『ああ、かまわんよ。』

 本当は滝修行みたいに水で身体を浄めた方が良いのかもしれないけど…着替え持って来ていないしね。

『おぬしはお城に住む白いのにはもう会ったのだな?』

『はい。先日お会いしましたよ。』

 そう言えば気になっていた事があるんだよね…。

『一つお聞きしても宜しいですか?』

『何だ?』

『龍には基本的に名前は無いのですか?色だけで呼ぶと同じ色の龍が沢山いるのでややこしいと言うか…。』

 前から思っていたんだよね。人間と契約していても名前のない龍もいるしね。

『我らは名前で呼ぶ事がない。困らないからつけないのだ。』

 え~、困らないの?

『出来れば出会った全員の龍に名前をつけたいと思っていたんですけど…。困っていないなら嫌がられますか?』

 俺としては名前をつけたくてウズウズしているんですが…ダメ?

『つければ良いと思うぞ。別に絶対に名前をつけられたくないという訳ではないからな。』

 良いの!?

『では青の龍さんにもつけて良いですか?』

『…どんな名前だ?』

 嫌そうではないみたいに見える。

 そうだな~、青色がとても綺麗で水しぶきを浴びて身体が虹色に輝いているから…。

『青虹(せいこう)なんてどうですか?』

『あおいにじ…か。青虹か気に入った。これからはそれで呼ぶことを許すぞ。』

 ヤッター!これで呼びかけやすくなる。

『ありがとうございます。これからもここに遊びに来ますから宜しくお願いします。』

 新しい龍との出会いにストレスが吹き飛びました!

 名前もつけさせてもらえたしね。言うこと無し。

 ストレスリセットしたところで家に帰った。

 帰宅すると家の中がいつもより騒がしい事に気がついた。

「何かあったの?」

 前から来た侍女に声をかけて聞いてみた。

「はい。お客様が急にお越しになられまして…。」

 侍女は簡単に説明すると慌ただしく消えて行った。

 お客様?

 誰だろうか?まあ、俺には関係ないかな。多分、姉さん達の友人とかだろう。そう思って自分の部屋に向かった。

 客間から賑やかな笑い声が聞こえてきている。お客様はどうやら1人ではないようだ。

 後で呼ばれたら挨拶すれば良いかな。と客間を通りすぎようとした時に客間の扉が開いた。

「あら、帰って来ていたのね。」

 扉から顔を出したのは姉さんではなく、母さんだった。

「お客様がお待ちかねよ。」

「え?僕…ですか?」

 俺にお客様なんて…誰。自分で言うのもなんだけど外に出ないから友達いないんだけど…。

 龍しか…。

 まさか母さんが龍をお客様とは言わないよね。と自分に突っ込みながら部屋に入るとそこにいたのは…。

「久しぶりですね。お元気でしたか?」

 真留さんと咲里ちゃん達だった。

「その節は本当にありがとうございました。私達は挨拶だけ門の所でして帰ろうとしていたのですが…。」

 真留さんは僕の母さんの顔をチラッと見た。

「門の所で待っている時に私が外出からちょうど帰宅したのよ。それで話を聞いて中でお待ちいただいたのよ。」

「私達みたいな者がこんな大きなお屋敷の中にいれてもらうなんて気が引けて…。」

 真留さん、恐縮してるのかな?

「気にしないで下さい。母は気軽に家に人を招いてはお茶やお菓子を出して自分の話を聞いてもらおうとする人ですから。」

 そうなんだよな。母さんは知らない人でも自分が良い人だと感じたらすぐに家に入れて話し出すんだよ。家族は危ないからと注意したけど…辞めないし、それに不思議なんだけど一度も危ない目に会ったことがないんだよ。人を見る目は確かなんだよな。

「酷い言い方だわ。失礼しちゃう…。」

 母さんが頬を膨らませて子供の様に不貞腐れている。…お客様の前ですよ。

「じゃあ、お顔を見ることも出来ましたし私達はこの辺でお暇します。」

 真留さん達がソファーから立ち上がり礼をした。

「あっ、少しお話があるので待ってもらえますか?それと、お母様、お父様はまだ帰ってきていないのですか?」

 真留さん達はもう一度ソファーにすわり直した。

「お父様はもうすぐ帰って来ると思うけど…。関係あるの?」

「はい。帰ってきたらお父様にこの部屋に来てもらえる様に言っていただけますか?」

「分かったわ。じゃあ、私はお話の邪魔みたいだから部屋から出るわね。」

 母さんがにこやかに咲里ちゃんに手を振りながら部屋から出て行った。

「すいませんね。ちょうどお手紙を書こうかと思っていたので会えて嬉しいですよ。それで話しと言うのは…。」

 俺は父さんと計画した領地の今後を真留さんに話した。

「あ…あの、幽霊騒ぎはそれでこんな大騒ぎになったんですね。」

 真留さんの奥さんが呟く様に言った。

「幽霊いないの…。」

 咲里ちゃん…何で残念そうなのかな?

「それでお願いがあります。それは…。」


 





しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

旅の道連れ、さようなら【短編】

キョウキョウ
ファンタジー
突然、パーティーからの除名処分を言い渡された。しかし俺には、その言葉がよく理解できなかった。 いつの間に、俺はパーティーの一員に加えられていたのか。

聖女召喚

胸の轟
ファンタジー
召喚は不幸しか生まないので止めましょう。

聖女の、その後

六つ花えいこ
ファンタジー
私は五年前、この世界に“召喚”された。

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

処理中です...