龍神様に頼まれて龍使い見習い始めました

縁 遊

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33. 突然の訪問者

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 最近いろんな事がありすぎて疲れてしまった俺は気分転換に大きな滝を見に来ています。

 なぜ大きな滝を見に来たかって?それは…。

『来たな…噂の龍の使い子よ。』

 目の前には大きな青色の龍がいる。実は滝には龍が絶対って言って良いくらいの確率でいるんだよね。俺は沢山の龍に会うことによって気持ちが安らぐと言うかテンションがあがってストレスがなくなるんだよね。

『初めまして青い龍。少しの間ここにいても良いですか?』

『ああ、かまわんよ。』

 本当は滝修行みたいに水で身体を浄めた方が良いのかもしれないけど…着替え持って来ていないしね。

『おぬしはお城に住む白いのにはもう会ったのだな?』

『はい。先日お会いしましたよ。』

 そう言えば気になっていた事があるんだよね…。

『一つお聞きしても宜しいですか?』

『何だ?』

『龍には基本的に名前は無いのですか?色だけで呼ぶと同じ色の龍が沢山いるのでややこしいと言うか…。』

 前から思っていたんだよね。人間と契約していても名前のない龍もいるしね。

『我らは名前で呼ぶ事がない。困らないからつけないのだ。』

 え~、困らないの?

『出来れば出会った全員の龍に名前をつけたいと思っていたんですけど…。困っていないなら嫌がられますか?』

 俺としては名前をつけたくてウズウズしているんですが…ダメ?

『つければ良いと思うぞ。別に絶対に名前をつけられたくないという訳ではないからな。』

 良いの!?

『では青の龍さんにもつけて良いですか?』

『…どんな名前だ?』

 嫌そうではないみたいに見える。

 そうだな~、青色がとても綺麗で水しぶきを浴びて身体が虹色に輝いているから…。

『青虹(せいこう)なんてどうですか?』

『あおいにじ…か。青虹か気に入った。これからはそれで呼ぶことを許すぞ。』

 ヤッター!これで呼びかけやすくなる。

『ありがとうございます。これからもここに遊びに来ますから宜しくお願いします。』

 新しい龍との出会いにストレスが吹き飛びました!

 名前もつけさせてもらえたしね。言うこと無し。

 ストレスリセットしたところで家に帰った。

 帰宅すると家の中がいつもより騒がしい事に気がついた。

「何かあったの?」

 前から来た侍女に声をかけて聞いてみた。

「はい。お客様が急にお越しになられまして…。」

 侍女は簡単に説明すると慌ただしく消えて行った。

 お客様?

 誰だろうか?まあ、俺には関係ないかな。多分、姉さん達の友人とかだろう。そう思って自分の部屋に向かった。

 客間から賑やかな笑い声が聞こえてきている。お客様はどうやら1人ではないようだ。

 後で呼ばれたら挨拶すれば良いかな。と客間を通りすぎようとした時に客間の扉が開いた。

「あら、帰って来ていたのね。」

 扉から顔を出したのは姉さんではなく、母さんだった。

「お客様がお待ちかねよ。」

「え?僕…ですか?」

 俺にお客様なんて…誰。自分で言うのもなんだけど外に出ないから友達いないんだけど…。

 龍しか…。

 まさか母さんが龍をお客様とは言わないよね。と自分に突っ込みながら部屋に入るとそこにいたのは…。

「久しぶりですね。お元気でしたか?」

 真留さんと咲里ちゃん達だった。

「その節は本当にありがとうございました。私達は挨拶だけ門の所でして帰ろうとしていたのですが…。」

 真留さんは僕の母さんの顔をチラッと見た。

「門の所で待っている時に私が外出からちょうど帰宅したのよ。それで話を聞いて中でお待ちいただいたのよ。」

「私達みたいな者がこんな大きなお屋敷の中にいれてもらうなんて気が引けて…。」

 真留さん、恐縮してるのかな?

「気にしないで下さい。母は気軽に家に人を招いてはお茶やお菓子を出して自分の話を聞いてもらおうとする人ですから。」

 そうなんだよな。母さんは知らない人でも自分が良い人だと感じたらすぐに家に入れて話し出すんだよ。家族は危ないからと注意したけど…辞めないし、それに不思議なんだけど一度も危ない目に会ったことがないんだよ。人を見る目は確かなんだよな。

「酷い言い方だわ。失礼しちゃう…。」

 母さんが頬を膨らませて子供の様に不貞腐れている。…お客様の前ですよ。

「じゃあ、お顔を見ることも出来ましたし私達はこの辺でお暇します。」

 真留さん達がソファーから立ち上がり礼をした。

「あっ、少しお話があるので待ってもらえますか?それと、お母様、お父様はまだ帰ってきていないのですか?」

 真留さん達はもう一度ソファーにすわり直した。

「お父様はもうすぐ帰って来ると思うけど…。関係あるの?」

「はい。帰ってきたらお父様にこの部屋に来てもらえる様に言っていただけますか?」

「分かったわ。じゃあ、私はお話の邪魔みたいだから部屋から出るわね。」

 母さんがにこやかに咲里ちゃんに手を振りながら部屋から出て行った。

「すいませんね。ちょうどお手紙を書こうかと思っていたので会えて嬉しいですよ。それで話しと言うのは…。」

 俺は父さんと計画した領地の今後を真留さんに話した。

「あ…あの、幽霊騒ぎはそれでこんな大騒ぎになったんですね。」

 真留さんの奥さんが呟く様に言った。

「幽霊いないの…。」

 咲里ちゃん…何で残念そうなのかな?

「それでお願いがあります。それは…。」


 





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