龍神様に頼まれて龍使い見習い始めました

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32. 家族に報告

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「え!そんな事があったの…。」

 家に帰宅してから母さんと姉さん達にお城での出来事について話した。

「まさかお姫様の婚約者になるなんて…いずれはそうなるかもと思ってはいましたけど…。」

 いや、母さんそんな事を思ってたの?!やっぱり父さんと同じ親バカなんだね。

「優秀な弟だから私と同じで官僚の学校に来ると思って準備していたのに残念だわ。」

 桃花姉さんは姫様との婚約より学校の話が気になったんだね。もしも一緒の学校に通っていたらスパルタでマンツーマン指導とかをされていたのかな。準備って何を準備していたのかは聞かない事にするね。

「私達にもまだ婚約者が決まっていないのに弟が先に…しかも姫様となんて。余計にお相手が見つかりにくくなったわね。」

 気にするとこはそこなんだね菊花姉さん。でも菊花姉さんの婚約者が決まらないのは相手の条件を減らさないからだよ。何なのあの婚約者100ヶ条って。身長は何センチ以上、体重は何kg以下とか。あれを見せられたら男は引くよ。婚約者ができないのは自分の責任だからね。

「「「お姫様とお会いしたいですわ」」」

 三つ子の姉さん達の関心は瑠璃姫様か…。これは予想できたな。

「あら、でも婚約者になられたのだから屋敷にも来られるのではなくて?」

 椿姉さん分かってるね。近いうちに来るって話していたよ。

「そうよね。だって結婚したらここで暮らされるのよね。それまでにここにも慣れておかないといけないわ。」

 そうだね百合花姉さん。それまでには姉さん達が全員お嫁に行ってくれていると助かるよね。そうじゃないと俺が辛いかも…。瑠璃姫様も気を遣うだろうしね。

「竜くん良かったわね。おめでとう。」

 撫子姉さん…。お祝いを始めて言われたよ。

「「おめでとう。」」

 三つ子の姉さん達に囲まれて抱きつかれた。く、苦しいよ。

「ありがとう…。」

 王族と親族になるのが良いかどうかは分からないけどね。本当にどうなるのかな…。

『あのお城にいる龍には気に入られて嬉しそうにしていたじゃないか。』

 現れたのは言うまでもなく翡翠だ。

『それは…龍に気に入られて嫌なはずないだろ。』

 俺達が今話しているのはお城に行った時に出会った龍の事を言っている。

 実はお城に行った時にとてつもなく大きな白い龍に会ったんだ。それが誰についている龍なのかは分からなかったんだけどね。お城にトグロを巻くようにいたんだよ。驚いたのなんのって…。

『お前は私が見えるのか?』

 俺があまりにもじっと姿を見ていたから気がついたみたいで向こうから声をかけてきてくれた。

『はい。すごく大きいですね。』

『ハハッ、そうだろう。この辺の龍の中では体でいえば一番大きいかもな。』

 そうなんだ。

『今日は何をしに来たんだ?』

『今日は王様に呼ばれて来たのです。』

『ほう。そうか…。お前とはまた直ぐに会えそうな気がするな。』

 笑っている…。どういうことだ?また直ぐに会う?

『そうなんですか?』

『まあ、その時が来ればまた姿を見せる。それまで頑張れよ。』

 意味深な言葉を残し大きな白龍は姿を消した。

 気になる。その時が来れば?その時って嫌な予感しかしないんだけど…大丈夫かな?

 俺はそんな事を考えながら王様に会ったんだよ。結局は嫌な予感は当たっていたということだよね。思いもしなかった婚約者ができてしまったし。

 でもそういう言い方すると瑠璃姫様に失礼かな。

『ねえ、翡翠…。』

『何だ?』

『あの時の白龍は瑠璃姫様についているの?』

 あの大きさからしたら王様の可能性の方が高いのかな。

『いや違うぞ。』

『じゃあ、王様?』

『それも違うな。』

 じゃあ誰だよ!翡翠も知っているなら教えてくれても良いと思うんだけどな。

『何だか不満がありそうな顔だな。』

 翡翠が俺の顔の周りをクルクルと飛び回っている。…面白がっているな。

『翡翠意地が悪いな。』

『何でも簡単に教えたらお前の成長にならないだろ?意地悪ではなく優しさだ。』

 翡翠さん、何だかごもっともなご意見ですね。だけど顔がにやついていますよ。

『もっと広い世界を見て知識を増やしてこい。そうすればあの龍についても知る事ができるぞ。』

 何だか今日の翡翠はいつもと違うな。

「竜!また龍さんとお話をしているの?」

 母さんが俺の顔を覗き込んでいて驚いた。

「あ、すいません。…そうです。」

 ところ構わず姿を現した龍と話を始めてしまうので、人から見たら俺は急にボーとしてしまうおかしな子供にも見えているらしい。

 最近それを姉さん達から注意されたんだよね。恥ずかしい…。

「気を付けないとダメよ。これからは瑠璃姫様の婚約者としていろんな人達から注目されるのですからね。」

 そうか…。今までの様に身軽に動き回ることもできなくなるんだ。

「それに学校に行くなら寮に入る事になるんだから、その癖はなおさないとね。」

「え?寮に入らないといけないのですか?」

「ええ。神官の学校は全寮制なのよ。知らなかった?」

 知らなかったです~!






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