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20. 銀龍様のお願い
しおりを挟む『貴方は…』
銀色の龍…初めて見たよ。身体がキラキラしていて綺麗だな~。
『驚かせてすまないな。ワシは金龍の友人だ。お前に頼みたい事があり異世界渡りをしてここに来たのじゃ。』
『頼み事ですか?』
金色の龍様の友人?異世界渡り?って違う世界からやって来たって事?俺の頭はクエスチョンだらけだ。
『この小龍をお前につかせてほしいのじゃ』
話し方も金色の龍様に似ている銀龍様が連れてきた小龍は体長が20センチくらいの蛇みたいな姿で色は薄い青色をしている。
『蛇…?』
『蛇ではないぞ!失礼な奴だな。銀様!こんな奴につくなんて絶対に嫌です!』
小龍は俺が蛇と言ったのが相当気に入らなかったらしく凄い勢いで銀色の龍様に訴えている。…威勢が良いんだな。
『…お前は我が言った事をまだ理解していない様だな。』
銀色の龍様…言いにくいから銀龍様にするね。銀龍様は小龍に説教を始めたみたい。
『お前がいつまでたっても成長できぬのは単にお前に人間を見る目がないからじゃ。何年その姿でいるつもりなのじゃ。』
言われた小龍は何も言わなくなってしまった。痛い所をつかれたから反論できないんだろうな。
『黙って我が選んだ人間について様子を見ろ。それでも成長が見られぬなら我にも考えがある。』
『考えとは…?』
小龍もそこは気になったみたいだ。俺も気になる。
『それはその時に分かる…。』
銀龍様はニヤリと笑った様に見えた。怖え~!!俺が言われている訳ではないけど恐怖を感じてしまった。迫力が違うのか…。
あ~あ、小龍もすっかり怯えてるよ。俺と似ているのかな…。
『変な所を見せてすまんな。こんな奴じゃがよろしく頼む。』
銀龍様に頼まれたら断れないし、何だか小龍にも情がわいたというか…。
『分かりました。僕で良ければお引き受けします。』
銀龍様の身体が先程より輝いた。
『受けてくれるか。よろしく頼む。では、こいつに名前をつけてやってくれ。』
『こんな人間に名前をつけられるなんて俺は嫌…。』
小龍は俺に名前をつけられるのは嫌だと言いたかったみたいだが銀龍様に睨まれて最後まで言えなかったみたいだ。
『名前…そうですね。翡翠(ひすい)はどうですか?身体の色から連想したんですけど…。』
『翡翠か…良い名前じゃな。翡翠よ、竜についてしっかりと勉強するんじゃ。たまには様子を見に来るからな。』
『…はい。』
翡翠は納得していない感じだな~。大丈夫か?
『では、頼んだぞ!』
銀龍様は身体をキラキラと輝かせながら消えていった。
『翡翠これからよろしくな。』
俺は翡翠とコミュニケーションをとってみたが…翡翠は俺を睨むだけで何も言わない。
『お主…銀龍様に言われたことを忘れておらぬか!』
現れたのは咲里ちゃんについている龍だった。
『銀龍様の美しいお姿を拝見できてボーとしておったが…お主の態度は気に入らぬ!』
咲里ちゃんの龍…名前長いから緑龍(りょくりゅう)と呼ぶけど、緑龍はかなりお怒りモードみたい。
『ふん!』
翡翠は緑龍にも態度が悪いな。仲間だよな?
『お主はそんな態度だから成長できぬのだ。可哀想にの~。何百年もその姿でいるとはな…。』
『五月蝿い!俺はこの姿が気に入っているんだ!』
『へぇ~、そうなのか。それは知らなかった。』
まるで子供のケンカみたいになってるけど…仲裁する方が良いのかな?
『まあまあ、お二人とも仲良くしましょうよ。』
『『はぁ?!』』
あれ?違った…言葉を間違えたのか?
『お主はお気楽すぎるの~。』
『まったくだ!』
いやいや、俺は翡翠を助けようとしてたんだぞ。そこで緑龍に同意するか?
『龍使いとしてはもっとしっかりしてもらわねばな。』
緑龍も何でその話に繋がったんだよ。
『そうだな。俺が指導してやるから心配するな。』
翡翠…指導って…おい。銀龍様にお前の事を頼まれたのは俺だからな。
それにしても何だか2人の息が合ってないか?
仲良くなったなら良いけど…。何かモヤッとするな。
「竜くん…。」
あ、いけね…俺は咲里ちゃんと一緒だったんだ。
「どうしたの?」
咲里ちゃんに笑顔で答えると咲里ちゃんはある場所を指差した。
「あそこがどうしたの?」
「来て…」
俺は咲里ちゃんに手を引かれて指差した場所に連れて来られた。ここに何があるっていうんだ?
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「僕に言っても良いの?」
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