龍神様に頼まれて龍使い見習い始めました

縁 遊

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17. 真留さんって…

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「…という訳です。お父様ならどうにかできますよね?僕はそれまでここで待っています。」

 俺のお願いを父さんは断れないよね。しかも、その仕事を早くしないと俺には会えないんだから急いで手配してくれるはずだ。父さんの息子好きは筋金入りだからね(笑)

「分かったがしかし…お前がそこに残らなくても良いんではないか?」

 やっぱりそうきたか。

「いえ、僕がここに残って証拠を集めた方が良いと思います。敵はどう出るか分かりませんからね。」

「そうだが…。」

 父さんは渋っていますね。

「私もご子息の意見に賛成です。」

 今まで黙って聞いていた空下さんが後押ししてくれている。

「ね、お父様の優秀な部下の空下さんも言ってるよ。それにお父様ならすぐに準備して僕の所に来ることが出来ますよね。」

 これでもうひと押しだ。父さん早く行ってくれ。

「分かった!すぐに戻って来るから無茶はするなよ!空下、行くぞ!」

「はい。」

 ふう~、やっと行ってくれたな。

「お父様と話しはつきました。多分、後数日で来ることになると思いますのでそれまで見張りの人達に見つからないように準備して行きましょう。」

 青年団の皆さんが頷いてくれた。

「でも、竜くんはここで隠れててくれないとダメだ。アイツらに見つかると酷い目に合わされる。そうなると俺らの命が危なくなりそうだからな。」

 あれ?今のやり取りで俺の父さんが過保護なのがバレたのかな。真留さん鋭いな!確かに俺に少しでも傷が出来ていれば容赦ないと思うけど。でも、証拠品を集めたいんだよな~。

「でも、僕は証拠品を集めなくてはいけないので隠れている訳にはいきません。」

「いや、しかしな~……。」

 真留さんは頭をがしがしと掻きながら考えているみたいだ。

「じゃあ、外に出る時は絶対にこの村の誰かと一緒にいることにしてくれ。そうじゃないと外に出せない。」

 それは有難い話だ。だって俺1人だと道が分からないから誰かに案内を頼もうと思っていたんだから。

「分かりました。皆さんよろしくお願いします。」

 俺は最上の笑顔で挨拶した。これをすると姉さん達は「天使だ…」と言って俺を抱きしめてくるんだよな。他人にも有効なはずだ。

「…可愛い。」

「男の子だよな…」

「…夢なのか?」

「いや、お前らしっかりしろ!」

 真留さんの一声で静かになった。やっぱり俺の最上の笑顔は他人にもきくらしい。他でも実験してみないといけないかな。

「取り敢えずは俺の家に居てくれ。娘も喜ぶだろう。」

 真留さんの家に泊まれるんだ。構造も気になっていたんだよね。どんな作りになっているか後で教えてもらおうっと。

「ありがとうございます。」

「良かったね、竜くん。」

 咲里ちゃんが俺の隣に来て笑顔で手を繋いできた。

「しかし、これはまだ早い!」

 真留さんが繋いでいた手を離しにきた。ん?もしかして真留さんも咲里ちゃんを溺愛しているタイプ?

「咲里、良いか手を繋ぐのは女の子のお友達だけだぞ。男で手を繋いで良いのは父さんだけだ。」

あっ、やっぱり間違いない。父さんの仲間だな。

「どうして?竜くんは友達だよ。」

 咲里ちゃん良い子。

「良いか~、咲里はまだ子供だから知らないと思うが男の子と手を繋ぐと結婚しないといけなくなるんだぞ。」

 うわぁ…酷い嘘を教えてる。周りの人達は呆れているけど何も言わないところを見るといつもの事なんだろうな。

「じゃあ、竜くんと手を繋ぐ。」

「え?咲里…何で…。」

 真留さん泣きそうな顔してるよ!

「竜くんカッコいいから結婚しても良いもの。」

 咲里ちゃん…。いや、前にも言ったけど俺は決して幼女趣味ではない。けど…嬉しい。美少女から好かれて嫌な奴はいないよね。

 思わず顔がにやけてしまうな。

「咲里…そんな…昔は父さんと結婚するって言ってくれてたじゃないか。」

 あ~、もう涙出てるな。

「咲里知ってるよ。父さんとは結婚できないんだよね。」

「誰から聞いたんだ!」

 聞いてどうするつもりなんだ?まさか、その人に八つ当たりするのか?

「教えない!」

「咲里~!!!」

 あ~あ、真留さん人目を気にせずに号泣してるよ。咲里ちゃんは将来異性からモテるだろうな。

「もう貴方いい加減にしなさいよ。恥ずかしい…。」

 やっと真留さんの奥さんが止めに入った。けど真留さんは咲里ちゃんの事しか見ていないな。

「はぁ~、何でこんなのと結婚したんだろ…。咲里の方が異性を見る目があるかもね。」

 奥さんも言うな~。あっ…真留さんがまた大泣きしだしたよ。

 俺は関わらない方が良さそうだな。うん、奥さんのお手伝いでもしよう。

「あの~、僕に何か出来ることはありますか?」

 ここでも最上の笑顔をすることを忘れてはいない。

「本当に可愛らしい子ね。気を使わなくても良いから座ってて。おばさんは目の保養ができたから頑張れるわ。」

 俺の笑顔パワーだね。奥さんは忙しそうに夕食の準備を始めた。

 真留さんは…今度は落ち込んでいるみたいだ。こんなので計画は大丈夫なのかな?

 何だか心配になってきちゃったよ…。

 



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