龍神様に頼まれて龍使い見習い始めました

縁 遊

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15 領地が荒れた原因

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「来たか。アイツ達が来ない間に話し合うぞ。」

 咲里ちゃんのお父さんの真留さんが入ってきた男の人達を見て手招きしている。

「一体どうしたんだ?何があったんだ?」

「おい…この子供はどうしたんだ?」

「何で俺達を集めたんだ?」

「アイツらに見つかるとヤバいだろ。大丈夫か?」

「俺は明日は早朝から畑仕事にまわされているんだけど話なら早くしてくれよ。」

 それぞれが話をしていてまとまらない…。

 家に入って来たのは5人の男性。おそらくだけど日本で言うところの村の青年団みたいな感じなのかな。

「お前らちょっと静かにしろ!」

 真留さんの一声でみんなが黙った。

「お前らの質問に答えてやるから、こっちに来て座れ。」

 男達は顔を見合わせて黙って椅子に座った。

「まず、アイツらは外に出かけているから暫く帰って来ないから安心しろ。」

「良かった~。またムチ打ちの刑になるのかと思ったよ。お尻の傷がやっと治ったところだからな。」

 ムチ打ちの刑…。そんな事をしているのか?ここの人達は奴隷の様に扱われているということか…。

「そこでだ今から前に話し合った計画を実行に移したいと思うんだ。だからお前達を呼んだ。」

「え?そんな急に実行するのか?!大丈夫か?」

 前から何か計画を練っていたのか。

「ああ、今がチャンスだと思うんだ。何せ協力者ができたからな。」

「協力者って…その子供の事か?」

 みんなが一斉に俺を見た。視線が痛いな。

「ただの子供ではない。国防相の偉いさんの息子さんだ。外には父親もいるらしい。」

「「「「「何だって!!!!!」」」」」

 凄い驚きようだな。

「こんな所に何しに来たんだ?」

「領地の調査に来たんだそうだ。」

「領地の調査…」

「最近急に荒れたのはナゼなのか原因を究明するように言われたみたいだ。理由は領主が良く知っているだろうにな…。」

 原因は領主が知っている?やはりここと深い関係があるんだな。

「原因は何かを皆さんは知っているのですね。」

 僕は直球で聞いてみた。男達はまた顔を見合わせて誰かが口を開くのを待っている様子だ。

 口を開いたのは真留さんだった。

「…原因はここの工場から出る排水で川が汚れた事と、俺達がここに閉じ込められているからだと思う。」

 工場の事は予想していたけど、その後の皆さんがここにいることがどう関係しているんだろう?

「皆さんが閉じ込められているから領地が荒れているというのは?」

「俺達はみな農民だ。俺達は地上で農業をするために森林を整備し、農地を耕していた。その俺達を地下に閉じ込めて外に自由に出られないようにしたんだ…誰が地上の土地を綺麗に整備できるんだ。」

 なるほどな…。

「そうですね。土地が荒れている理由は分かりました。もう一つ教えてほしいのは工場で何を作っているのかということです。」

 またみんなが黙ってしまった。今度は下を向いている。話せないということなのだろうか?

「あの…言えないほどの危険な物を作っているということですか?」

 誰も答えてくれない。でもこれが答えだよな。

「皆さんを罪には問わない様に父には話してみますから教えていただけませんか?」

「…本当に俺達を捕まえないか?」

「心配でしたら今すぐに連絡をとって聞いてみますから、少し待っていただいても良いですか?」

 俺は子供らしい笑顔を男達に見せて安心させようとした。俺の笑顔を見た男達は少し緊張がとけたみたいだ。

「連絡はどうやってとるんだ?閉じ込められているんだぞ?」

「大丈夫ですよ。僕には魔道具がありますから。」

 俺は耳にかけていた魔道具を見せた。

「これで外にいる人達と連絡がとれるんです。」

 男達は驚いた顔をして俺の耳にかけている魔道具をまじまじと見ていた。

「見ていて下さいね。お父様聞こえますか?」

 俺は魔道具を触り父さんに連絡をとった。

「どうした!何かあったのか?」

「いえ、今地下に閉じ込められている領民の皆さんにお会いすることができました。」

「何!さすが我が息子!」

「それで色々と話を聞かせていただいているのですが…。」

「どうした?」

「お父様にお願いがあるのですが聞いていただけますか?」

「…可愛い息子の頼みなら。」

「実は川の汚れた原因は地下にある工場が原因らしいということまでは分かったのですがそこで何を作っているのかを皆さん言いたがらないのです。どうやら自分達が罪に問われて捕まってしまうと思っているみたいなのです。そこでお願いです…この人達を罪には問わないと約束してください!」

「な、何?!何かも分からない内から罪に問わないと約束しろ?しかし…それは…」

「この人達は無理やり働かされていたんですから、この人達に罪はありませんよね。」

「だが…」

 父さん今日はなかなか落ちないな…。仕方ないな、奥の手だ!

「お父様…僕の大好きなお父様なら困っている人達を助けてくれますよね?罪には問いませんよね?」

 お父様大好き作戦決行だ!これで落ちるはず…だ。

「…分かった。」

 お父様落ちました~!これでやっと何を作っていたのかを聞けます。

「罪には問わないと言っています。話していただけますね。」

「…工場で作っていたのは……」
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