龍神様に頼まれて龍使い見習い始めました

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14. 咲里ちゃんの家族

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「咲里ちゃん、ここには何人くらいが住んでいるの?」

 俺は咲里ちゃんと部屋の中でお絵かき遊びをしながら聞いた。

「ん~、何人だろう?数えたことないわ。」

 数えられないくらいが住んでいるとも考えられるな。

「咲里ちゃんはお外には出ないの?」

「ほとんどお外には出ないよ。母さん達と一緒に出かける事があるくらい。」

 そうだろうな…。太陽の光に当たっていないからこんなに肌の色が白いというか、青白いんだろう。もしかしたら…。

「ねえ、咲里ちゃんの歳を聞いても良いかな?」

 咲里ちゃんは俺に笑顔を見せた。くっ…可愛い。

「今年で11歳だよ。」

 俺より年上か?!でも予想は当たっていたな。太陽の光をあまり浴びていないのもあって成長が遅いのだろう。俺より身長も低く年下に見える。

 産まれた時から地下で暮らしているのかもしれないな。

「咲里ちゃんのお父さん達は何をしているの?」

「父さん達はいつも畑にいるか、工場にいるよ。」

 工場?何処かに工場まで作っているのか?!
確認しないといけないな。おそらく、その工場が汚水の原因かもしれない。

「工場はここから近いのかな?」

「工場は畑とちがって少し離れているよ。それに見張りの男の人達がいるから子供は近づけないしね。」

 見張りか…。外に出ていった男達がそうなのかな。何人いるのかが分からないと下手に動く事はできない。

「何を作っている工場なのか知っている?」

「それは知らないわ。教えてもらえないの。」

 咲里ちゃんは嘘をついている感じでもない。子供には秘密にしているのかな。
 
「描けた!」

 咲里ちゃんは描いていた絵を俺に見せた。これはもしかして…俺?

 見せてくれた絵は、カラフルな色使いで描かれている人間みたいな物体…。

「似てるでしょ。」

 美少女の満面の笑み…否定できないよ。

「…うん。僕を描いてくれたんだねありがとう。」

「どういたしまして。私、絵は好きなのよ。」

 芸術的な絵だと思うよ…。うん…。

 俺が苦笑いをしていたら、誰かが家に入ってきた。誰だ?!

「この子はどうしたんだ?」

 目の前に現れたのは落ちついた感じの男性だった。

「お帰りなさい、父さん。」

 どうやら、咲里ちゃんのお父さんらしい。

「お邪魔しています。僕は珍しい穴があったので冒険をしにやってきました。」

 通用するかは分からないけど、子供らしく答えてみた。

「1人で?」

「はい。」

 不信そうに見られています。冷や汗がでそうだよ。我慢だ俺!

「あなたお帰りなさい。報告が遅れてごめんなさい。この子は咲里が連れて帰って来たのよ。アイツらには見つかっていないみたい。」

 咲里ちゃんのお母さんが説明してくれて助かりました。

「見つからないようにうちに外に帰さないと…。」

「それがアイツ達は外に出かけてしまった上に、外の扉に鍵をかけているみたいなの。」

「それじゃあ外には出られないな。」

「そうなのよ。だから、見つからないように家に入れたのよ。」

 どうしようかな…。この人達は良い人だと思うから本当の事を話して協力してもらった方がいいのかな。

 俺は考えた末に本当の事を話す事にした。

「あの…お話があるのですが聞いてもらえますか?」

 咲里ちゃんのお父さんはリビングにある椅子に腰かけていた。

「実は僕は冒険に来たのではありません。ここを調査しに来ました。」

 咲里ちゃんのご両親は驚いた顔をした。自分が言っておいて何だけど、子供が調査しに来たと言って信じてもらえたのか?

「君は何者なんだ?」

「父は国防の仕事をしています。ここには父と一緒に来ました。最近急に領地が荒れた謎を調べに来たのですが…」

「…国の機関が関与しているのか。」

 咲里ちゃんのお父さんは何かを考えている様子だ。

「これはチャンスかもしれない。おい、咲(さき)みんなを呼んでこい!」

「分かったわ。急いで行ってくるわね!」

 名前を呼ばれた咲里ちゃんのお母さんの咲さんは急いで家を出ていった。
 

 待って、今お父さんはチャンスって言っていたよね?何のチャンス?

「俺達はここから出たいと長い間思っていたんだ。だけどここは人があまり訪れない土地だから誰にも助けを求める事が出来なかった…。やっと訪れた外に出て生活出来るチャンスを逃したくない。」

 なるほど…だからチャンスね。

「えっと、でしたら僕達の調査に協力していただけますか?僕達も皆さんが外で生活出来るように協力しますので…」

「ああ、もちろんだ!」

 あ!今、小さな龍が咲里ちゃんのお父さんの頭の上に現れたよ!誰かにつく瞬間を初めて見れたよ!

『ありがとう。こやつがやる気になってくれた。礼を申す。』

 龍の色は緑色で大きさは人の頭くらいしかない。

『いえ、お役にたてたなら嬉しいです。』

 俺って龍使い見習いとしてステップアップしたんじゃない?!興奮するわ~。

 外が騒がしくなってきた。住人達がやってきたのかな?

「おい、真留(しんる)ここから出られるかもしれないって本当なのか?!」

 家の中に興奮した雰囲気の男性が入ってきた。

 何だか良い方向に進みそうだな。





 

 

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