龍神様に頼まれて龍使い見習い始めました

縁 遊

文字の大きさ
上 下
13 / 86

13. 第一領民発見!

しおりを挟む


「あ~、だるいな~。暫くは地上に出ることが出来ないなんて退屈だよな~。」

「まったくだぜ。何でもお偉いさんが何かの調査に来ているらしいから、ここで働く領民達がそいつらに会うことが無い様に俺らに見張っとけって言ってたらしいぜ。」

「そんなのはこの入口に鍵をすれば終わりじゃねーか。アイツらは出てこれねーだろ。」

「お前、頭良いな!そうだよな!そうしようぜ。」

 柄の悪そうな男2人が笑いながら畑の近くにある小屋に穴に入って行った。

 鍵をかけるつもりか?そうなると出られなくなるな…。いったん出るか。しかしすぐそこにいつ出てくるか分からない男達がいる。今の俺の足では見つかればすぐに男達に追い付かれるよな。

 どうしたものかと悩んでいる間に男達が鍵らしき物をもってまた現れた。

「よし!酒でも飲んで楽しもうぜ~!」

「そうだな!ヒャヒャッ…」

 俺は2人に見つからないように暗闇に紛れて息を殺した。

 男達は俺に気がつかずに階段を上りだした。父さん達に連絡したいけどもう少し離れてからでないと見つかる危険がある。

 男達の姿が見えなくなってから父さん達に連絡を取った。

「お父様、今から男が2人出ていきます。どうやらここのドアに鍵をかけて出かけるようです。僕は暫くここにいることになりそうです。」

「何!出ることはできないのか?」

「無理です。男達に見つかります。他には見張りはいないみたいなので心配はいりません。お父様達はその男達をつけて話の内容を聞いてみて下さい。何か分かるかも知れませんからね。」

 お酒が入ると人は口が軽くなりやすいからね。

「分かった。気を付けるんだぞ!」

「はい。お父様達も気を付けてくたさいね。」

 魔道具の通信を切り、安全を確認しながらゆっくりと奧に進んで行った。

 明るいのは畑の周りたけで他は薄暗いな…。

「あなたは誰?」

 不意に横から女の子の声が聞こえてきて驚いた。

 声のした方を見ると俺と同じくらいの歳に見える女の子が立っていた。

 薄暗いから顔も良く見えないな…。

「あ、俺は変な入口が気になって冒険するつもりで入ってきたんだけど…。君こそここで何をしているの?」

「私達はここに住んでいるのよ。あなたは早くここから出た方が良いわ。ここは危険よ。」

「危険?どうして?」

 俺はわざと知らないふりをして彼女が何て答えるかを待った。

「ここは人に知られてはいけない場所だから…。ここはダメね、私の後についてきて」

 そう言うと彼女が一瞬俺の手を掴む為に光があたる場所まで出てきた。

 驚いた…。ものすごい美少女だ。

 薄い藤色の髪と大きな同じ色の瞳。肌は太陽に当たっていないせいか妖精か!と思うくらいに白い。いや、透けているようだ。

 姉さん達も美人だと思っていたが…姉さん達より美人だ。これを姉さん達に言ったら怒られるな…。

 俺は美少女に手を繋がたまま、暫く歩いた。

 すると土壁に木の扉がついている場所のまえで美少女は止まった。

「私よ、開けて。」

 中には誰かいるんだな。美少女は中にいる人に話しかけているようだ。

 扉が少し開き中から30代くらいの女性が顔だけ出した。

「ちょっ!その子どうしたの?早く中に入りなさい。」

 女性は慌てて俺達を扉の内側へと入れた。

「ここは…。」

 周りは土壁で作った棚が作ってあったり、台所らしきものがあるのが見える。部屋なのか?

「ここは私達の家よ。」

 美少女は先程の顔を覗かせていた女性の横に行った。彼女の母親なのかな。

「咲里(さり)説明してちょうだい。」

 どうやら美少女は咲里と言う名前らしい。

「畑の方に歩いて行ったらこの子が居たのよ。アイツらに見つかると危険だと思ったから連れてきたの。」

「アイツらには見つかっていないのね。」

「うん。多分だけど出かけたみたいよ。姿も無かったし声も聞こえなかったから。」

「そう…それなら大丈夫ね。」

 母親はホッとした様子で今度は俺に話を聞いてきた。

「それで、君はどうしてここにいるのかしら?」

「えーと、冒険です。」

 通用するかは分からないけど今の俺の歳なら考えられるよね。

「冒険?ここに?はぁ~。あなたのご両親はどうしたの?」

「大丈夫です。両親には言っているので。」

 何てたって父さん達と作戦をたてたんだからね。

 咲里の母親は俺の目線まで屈んで俺の顔を見た。

「貴女は…貴族様ね。こんな所に来ては行けません。危険ですからすぐに戻って下さい。」

 両腕をがっしり掴まれて揺さぶられる。気分が悪くなりそうだよ。

「それが…できないんです。さっき男の人達が扉に鍵をかけて外に遊びに行くって言っていたので、外には出られないかと…」

「はあ~、タイミングが良いのか悪いのか…。あの男達に見つかると何をされるか分からないので暫くここに隠れていて下さいね。タイミングを見て外に出られる様にしますから。」

 優しい人だな。自分達も俺が見つかると危険な目に合うだろうに…。

「フフフッ…。これで暫く一緒に居られるわね。私は咲里。貴女の名前は?」

「僕は竜です。」

「竜くん、少しの間一緒に遊んでくれる?」

 本当は調査しないといけないんだけど、美少女の誘いを断る訳にはいかないよな。

 あ…言っておくけど、俺はけっしてロリコンではないからね。だって今の俺は同じくらいの子供だからね。

 ただ少し…美人に弱いだけだからね。






しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

旅の道連れ、さようなら【短編】

キョウキョウ
ファンタジー
突然、パーティーからの除名処分を言い渡された。しかし俺には、その言葉がよく理解できなかった。 いつの間に、俺はパーティーの一員に加えられていたのか。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

聖女の、その後

六つ花えいこ
ファンタジー
私は五年前、この世界に“召喚”された。

聖女召喚

胸の轟
ファンタジー
召喚は不幸しか生まないので止めましょう。

いつだって二番目。こんな自分とさよならします!

椿蛍
恋愛
小説『二番目の姫』の中に転生した私。 ヒロインは第二王女として生まれ、いつも脇役の二番目にされてしまう運命にある。 ヒロインは婚約者から嫌われ、両親からは差別され、周囲も冷たい。 嫉妬したヒロインは暴走し、ラストは『お姉様……。私を救ってくれてありがとう』ガクッ……で終わるお話だ。  そんなヒロインはちょっとね……って、私が転生したのは二番目の姫!? 小説どおり、私はいつも『二番目』扱い。 いつも第一王女の姉が優先される日々。 そして、待ち受ける死。 ――この運命、私は変えられるの? ※表紙イラストは作成者様からお借りしてます。

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

処理中です...