龍神様に頼まれて龍使い見習い始めました

縁 遊

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7. 龍の使いになる為に…

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「竜…お前が学校に行きたいと行っていると母さんから聞いたよ。」

 母さん達に学校に行きたいと話した次の日に父さんから呼び出されて話をしています。

「もう少し待つことはできないのかい?」

 待つって…あと2年待って、10歳になってからでも良いんじゃないかってことだよね。待っても俺の職業は変わらないんだけどな…。

「お父様…信じられないかもしれませんが僕は自分の職業が何かを知っています。だからあと2年を待つのは無意味なのです。」

 父さんは大きく溜め息をついた。

「聞いたよ。龍使いだったかな…。」

 聞いた事がないから戸惑っているのは理解できる。俺も龍神様に会うまでは龍の存在なんて信じていなかったし、漫画や映画の世界だけの存在だと思っていたからね。

「はい。お父様が戸惑っているのは僕にも理解できます。聞いた事がない職業だと思うので、僕が嘘をついていると思われても仕方ないと思っています」

 ここで父さんを納得させないと龍使いになるのが遅くなってしまう。それはお爺さんと会えるのが遅くなると言うことだ。

 もうあれから8年経ってしまっている。俺は1日でも早く見習いから龍使いになりたいんだ。

「可愛い息子が嘘を言っているなんて思ってはいないよ。ただ今は…。」

 父さんの表情が曇る。実は不思議だったんだよな。いつもなら父さんは俺を溺愛しているから何でもすぐに聞いてくれるのに今回はすんなりいかないから、何でいつもと違うんだろうって思っていたんだけど…父さんの最後の言葉が気になる。

「今は…って何かあったのですか?」

 俺は父さんに疑問をそのまま聞いてみた。

「…実はある領地で龍の祟りだと騒ぎになっていてね。今は龍の事を人に話すのは…。」

 最後をまた濁された。だけど…龍の祟り?そんなのあるわけないよ。この地の龍は殆どが弱っていてそんな強力な力を持っていないんだから。だけどそれを龍が見えない父さん達に話しても信じられないよな。

だったら…。

「お父様、その話を詳しく聞かせてもらえませんか?僕が力になれるかもしれませんから。」

 そうだよ、僕が龍の仕業ではないと証明すれば良いんだよね!

「そうか…お前は龍が見えるんだったな。」

 父さんはポツリと言葉を発した後少し考えてから俺のの側にやってきて両肩を掴んだ。

「解決できなければ辛い目に合うかもしれないが…それでも良いのか?!」

 それは覚悟のうえだ。俺みたいな子供を連れて行くとなると父さんにも覚悟がいるだろうけどね。父さんは俺を信じてくれているということだよな。

 ありがとう…父さん。

「覚悟はできています。ただしお願いがあります。もし、この問題を解決できたら学校に行かせてもらえますか?」

 交換条件みたいになってしまったが…。

「分かった、許可するよ。」

 父さんは俺の頭をポンポンと笑顔で軽く叩いた。

 良し!これで父さんの許可ももらえそうだな。後はその問題を早く解決しないと進まない話だな。

「その問題の領地とはどこなのでしょうか?」

 この前父さんが呼び出されていたのはもしかしてこの事でだったのかな。

「ああ、実は王妃様のご実家の領地なのだ…。」

「王妃様のご実家ですか!」

 実はこの国の王妃様の噂は宜しくない。ご実家も黒い噂が絶えない。なぜ王様があの王妃様を選んだのか皆が不思議がるくらいの人物なのだ。

 父さんは早く何とかしろ!と呼び出されたんだな…。お疲れ様です。俺は前世のブラック企業を思い出して、労(ねぎら)いの言葉を父さんにかけたくなった。父さんの働いている職場もブラックなのかもな。

「王様のご実家の領地で一体何があったのですか?」

「ここだけの話だが…。」

 父さんがポツリと話し出した。

「え!そんな事が?!」

 父さんから聞いた話は驚きの内容だった。だけどそれをなぜ龍の仕業にしたのかが僕には謎に思えた。

「それと龍とはどう結びつくのですか?」

「王妃様がおっしゃるには…。」

 俺は父さんの話を最後まで聞いたが…。

「それは絶対に龍のせいではありません!」

 聞いた話は呆れるくらい濡れ衣の話だった。何でそれが龍のせいになるんだよ!

『昔はあの土地も良い気が流れていて龍達も沢山いたのだが今の当主に変わってから土地が荒れて水は淀み我々龍が住みにくい土地になったのだ。』

 そう教えてくれたのは父さんについている白龍だ。

『昔の当主は我々の事を信仰している奴でな。バイタリティーがあり我々の仲間にも好かれていたが、今の当主と家族達は物凄く嫌われているな。』

 凄いな…。嫌われているではなくて物凄くがつくんだ。相当酷い人物なんだな。

 龍が嫌う人間はネガティブ思考で人を陥れたり妬んで嫌がらせをしたり、人を羨むだけで努力をしない人間だ。

 これだけ聞いてもろくな人間は想像できない。

 会いたくはないが、会わないとこの問題はかいけつできそうにないよな…。

「父さん!僕をその領地に連れて行って下さい。」

 龍の使いになるための試練の始まりだ!



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