龍神様に頼まれて龍使い見習い始めました

縁 遊

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6. 龍の色

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「色が違うのには意味があるのです。」

「意味ってどんな?」

 自分も姉達と同じ青色だと言われると思っていたのに違う色を言われたので余程驚いたのか百合花姉さんは俺に詰め寄ったままだ。

「龍の色は成長すると変化していくのです。」

「成長って大きくなったら変わるということかしら?」

 そう考える人が多いかもしれないな。だけど違うんだよな。

「いえ、共存している人間の精神的な成長と共に龍は大きくなり色が変化していくのです。」

「精神的な成長…分かりにくい。」

 確かに10歳の子供にはわかりにくいかもしれないな。まあ、説明しているのは8歳の俺なんだけど(笑)

「え~と、例えばですね…龍は人のプラスのエネルギーを好みます。笑顔になるような楽しいこととか、何かの為に努力するパワーとかです。」

「へぇ~、だから桃花姉さんの時に努力する姿を誉められていたのね。」

 基本的には誰にでもついている訳ではないからね。龍が気に入った人間を見つけてついてくれるからって…これも話さないといけないのかな。でも、我が家には龍がついてない人間はいないんだよな。

 また、今度でも良いか…。

「そうだね。その努力とかを続けることで人間も成長するよね?その時に龍も一緒に成長するんだよ。分かってくれたかな?」

「「「う~ん。何となく…」」」

 三つ子達にはまだ難しいみたいだな。

「私達はよく分かったわよ。」

 桃花姉さんと菊花姉さんはお互いを見合いながら頷いてくれた。

「百合花姉さん達はまだ年齢的にも若いからこれから龍の色が変化していくんだと思うよ。」

「「え…と言うことは私達も赤い龍様なの?」」

 慌てて近寄って来たのは大人しく待っていた残りの二人、撫子姉さんと椿姉さんだった。

「うん、そうだよ。」

 三つ子は三人で顔を見合わせて笑顔になった。

「「「三人が一緒なら良いか。」」」

 いつも思うけど本当にタイミングバッチリだよね。不思議な姉さん達だ。

「ねえ、気になることがあるのだけど…」

 発言したのは桃花姉さんだった。

「色が変わるということは分かったけど、そもそも赤い龍と青い龍の違いは何?」

 さすが桃花姉さんだよね。いろいろ研究しているらしいけど龍にも興味を持ってくれたみたいで嬉しいよ。

「龍の性格によって色が違うのもあります。赤はエネルギッシュな龍で青は冷静沈着な龍です。ただしどの色の龍も成長し格があがっていけば金色や銀色などになるみたいです。」

 僕もまだ研究中の龍使い見習いだからね。

「へぇ~、興味深いわね。今度の研究課題にしてみようかしら…」

 桃花姉さんは成長が早くなりそうだな。もう龍が喜んでいるよ。

「では、私の白い龍も成長の途中なのね。」

 今まで黙って様子を見ていた母さんが口を開いた。

「そうですね。お母様の龍はもう少しで金色になると思います。」

「まあ、そうなのね」

 母さんが嬉しそうな顔をして喜んでいるのが分かる。母さんは慈善事業をずっとやっているから徳が積まれているんだよな。本当…俺は家族に恵まれいる。龍神様に感謝だ。


「そうだわ、話がそれてしまったわ。どうして学校に行きたいのかを聞かなくちゃいけないのよ。龍使いになるのと学校に行くのはどう繋がるのかしら?」

 母さんが俺に説明を求めている。ここからはかあさんに理解してもらえれば良いよな。

「このまま家にいると出会う人が限られます。僕はもっと多くの人達と出会い切磋琢磨しながら成長していきたいのです。その為には同じ年代くらいの子供達が通う学校に行くのが一番良いと思ったんです」

 俺は目を輝かせながら母さんに詰め寄った。

 今のままでは龍の成長も俺の成長もないからね。少しでも多くの人達と出会っていかないとね。

「う~ん、そうね…。言っている事は理解したわ。だけど、お父さんにも話してみないと返事はできないわね…」

 やはり、すんなりは進まないか。ここでもう一押しが必要か…。

 俺は母さんの抱きついて下から見上げた。

「お母様…よろしくお願いします。僕…どうしても行きたいのです」

 目を潤ませキラキラさせておねだりスタイル。もう恥ずかしいとは言ってられない。

「…分かっているのよ。うん。お父様に許可を得られるように頑張るから…」

「面白そうだから私達もお父様に頼んであげるわよ」

姉さん達が協力してくれることになった。やった~!父さんは姉さん達に弱いからこれで安心だ。

『何とかなりそうだな』

『はい。1日でも早くこの世界の龍達を助けられる様に頑張ります』

 母さんの白龍も手伝ってくれそうだし学校問題は解決しそうだよ。

 楽しみになってきた。

 







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