龍神様に頼まれて龍使い見習い始めました

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5. 龍の使い

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「龍の使い?そんなの聞いた事がありませんわ。」

 菊花姉さんが訳が分からないというような顔をしている。

「私も龍神様なら知っていますが龍使いは聞いた事がありません。」

 桃花姉さんも不思議そうな顔をしている。

「「「私達も聞いたことがないわ」」」

 三つ子の姉達も声を揃えて同意している。

 そりゃそうだよ。この国にはまだ居ないらしいからね。僕はこれを広める為にこの異世界に転生したんだ。

 この世界でも龍神様信仰はあるんだよ。湖や川のほとりに祠があり龍神様が奉られているんです。その辺りは日本と変わりがないかな。

 だけど龍神様が何をするのかは知られていないんだよね。

 この世界にきてから分かったのは以前に俺が読んでいた異世界転生物語だと女神様信仰が多かったんだけど、どうやらこの世界の信仰は女神様信仰ではないらしいということだった。

 調べると日本とよく似た八百万(やおよろず)の神信仰みたいなんだよね。いろんな場所に神社があって鳥居まであるんだよ。最初はここは本当に異世界なのか?って思ったくらいに日本に似ているんだ。

 だけど唯一違うのは、この世界の龍神様は荒ぶる神として奉られていることかな。所謂、悪い神様だから怒りを静めてもらう為に社を建てるみたいなことだね。

 龍神様は悪くないのに…。

 だから俺がこの世界に龍神様の本当の姿を教える為に転生させられたんだよ。

 要するに龍使いっていうのは、世の為人の為に龍の力を借りながら自分と回りを成長させる人、龍と共存する人のことかな。龍も一緒にいる人間が成長することによって格が上がり成長していくからね。大事なパートナーって訳だ。

お互いにWin-Winの関係だから良いよね。

 俺は分かりやすい様に家族に丁寧「龍の使い」について説明した。

 理解してくれたかな…。

「知らなかったわ…龍神様がそんなことをしていらしたなんて…。しかも私は知らなかったのに竜ちゃんはその事を知っていたなんて。」

 桃花姉さんは自分の知らない事を俺が知っていることに少しショックを受けたみたい。

「でも、待って!話からすると竜には龍神様達の姿が見えている…って事なの?」

 菊花姉さん良いところに気がついたね。

「うん。見えているし、話もできるよ」

 満面の笑顔で答えたら回りの反応は凄かった。

「「「「「えええーーー!!!」」」」」

 母さんと姉さん達の美人な顔が一斉に驚愕の表情になってしまいました。美人が台無しだよ~。

「え…私にも龍様がついているのかしら?」

 母さんが目を輝かせながら聞いてきた。

「うん。母さんについてくれている龍は白龍で格が高い龍だよ。」

「そ、そうなのね。」

 母さん嬉しそうだな。姉さん達も僕に聞きたいらしく熱い視線を送られている。


「竜ちゃん…。姉さん達にも教えてくれるわよね?」

 俺は姉さん達に囲まれて揉みくちゃにされてしまった。

「ちょ、順番に見るから待ってよ」

 動きがピタリと止まり何かを話し合っているみたい。

「年齢順になったわ。まずは私からよ」

 俺の前に来たのは桃花姉さんだ。姉さんについている龍は…。

 「桃花姉さんの龍は青色の龍だよ。『ケンカをせずに仲間と仲良くするように』って言ってるけど…誰かとケンカしたの?」

「え!…そんな事を言っているの。いや…あの…分かりました」

 桃花姉さんは何か思い当たる事があったらしく少し落ち込んでしまったみたい。このままだと龍も弱るから元気づけないと。

「でも龍が誉めているよ『努力家だ』って。」

 おっ、姉さん立ち直ったな。

「本当にずっと一緒にいてくださっているのね」

 青龍に聞いてみたら、どうやら桃花姉さんには学校でトップを競い合うライバルがいるらしく、その人とよくケンカをしているみたいだ。家ではケンカなんてしたのを見たことがないから意外だな。

「次は私ね」


 次は菊花姉さんか。姉さんには…。

「菊花姉さんも青色の龍だね。」

「桃花姉さんと一緒なのね。嬉しいわ。」

 菊花姉さんは姉妹で一番のお洒落さんで、学校でもデザインを学んでいるらしい。姉さんは職業がデザイナーらしいから将来は服飾デザイナーになるんだそうだ。

「私には何も言われていないのかしら?」

「姉さんには…『もっと楽しめ』だってさ」

 どういうことだろう?何を楽しむんだ?

「そうなのね~。やっぱり息抜きしないとダメね」

 姉さん曰く、最近学校の提出物が増えて課題に終われていて、楽しいなんて感じる事がなかったらしい。

「龍が『姉さんの楽しそうに笑っている顔が好きなんだ』だって。」

「やだわ。そうなのね…」

 菊花姉さんは顔を赤くしながらも喜んでいるみたい。

 次は…三つ子の百合花姉さんだな。

 何も言わずに両手を胸の前で組んで俺を見つめている。お祈りか?!

「えっと…百合花姉さんは赤い龍だよ。」

「え!私は他の姉さん達と違うの?!何で!」

 俺に詰め寄られても困るよ。





*すいません、菊花姉さんと桃花姉さんの名前が一部間違っていたので訂正しました。
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