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4. 8歳の誕生日
しおりを挟む早いもので月日は流れて俺は今日8歳の誕生日をむかえていた。
「竜ちゃん、おめでとう!」
「ありがとうお母様。」
母さんは俺を強く抱きしめて頬をすり寄せている。…恥ずかしいな。身体は8歳の子供だけど中身は大人だからな。因みにこの世界での俺の名前は竜に決まった。姉達はみんな花に因んだ名前だったのになぜだか男の俺は花にも植物にも由来しない名前がついた。
これはもしかして神様強制なのかな?
「「「竜~~~!!!」」」
来た!俺のすぐ上の三つ子の姉達だ。
「百合花姉さん、撫子姉さん、椿姉さん。」
俺は3人の姉達に囲まれて抱きしめられた。姉さん達嬉しいけど10歳になるんだからそろそろ落ち着いたほうが良いよ。
「竜は私達の可愛い末っ子だから独り占めは駄目よ。あ、3人じめか?」
ホホホと笑いながら三女の桃花姉さんが四女の菊花姉さんと一緒に現れた。
長女の桜花姉さんと次女の梅花姉さんはお嫁に行ってしまい家にはもういない。だけど嫁いだ先が近いのでよく遊びにやって来る。今日も後でやって来ると連絡がきているらしい。
「あれ…お父様はどうしたの?」
菊花姉さんが辺りを見回しながら母さんに聞いた。
「それがね急にお城から呼び出しがあって渋々出ていったのよ。自分が帰ってくるまで絶対にパーティーは終わらせないでくれって言いながらね(笑)」
母さんは笑いながら言っているけどお城からの呼び出しなんて珍しい。何かあったんじゃないのか?
「あれでもこの国の国防を司る役割の人だからね。」
そうなんだよな。最近知ったのだが俺の新しい家族は皆有名人だということだ。
まず父さんはこの国を守る国防省のトップで、母さんはこの国では資産家で有名な家の1人娘。
そして長女の桜花姉さんは才色兼備で有名で嫁いだ先もこの国の王族の血筋にあたる家で、次女の梅花姉さんも美人で武道で国一番になり武道で有名な一族に嫁いだんだよ。
今ここにいる姉さん達も美人で有名なのはもちろんなのだがそれぞれに特技がありその方面で有名人なのだ。
因みに三つ子の姉達は歌が上手くてそれぞれにアルト、ソプラノ、メゾソプラノなどを決めて唄っているらしく天使の歌声と言われている。家にいる姿からは想像できないけどね。
『そろそろ時が来たようだな…。』
俺に話しかけて来たのは母さんについている白龍だ。
『はい。訓練も秘かにやっていましたし、外に出る時が来たかと思います。』
この世界で龍達とコンタクトをとることにも慣れてきた。分かりやすくいえばテレパシーみたいなものかな。
そろそろ話してみるか。
「お母様、僕ね学校に行きたいんだ。」
「え…学校に行きたいの?」
母さんは驚いた表情で僕を見た。
実はこの世界で学校に行く人は少ない。なぜなら幼い頃から職業が決められてその為に修行をするからだ。
どうして幼い頃から職業が決められるのか…それは10歳になると"神の導き"という儀式を受ける。その時に神様から自分に合う職業を教えてもらうのだ。
ある意味では将来に迷わなくて済むのかもしれないが他にやりたいことがある人もいるだろうになとかんがえてしまうよね。これって俺が異世界から来たせいなのかな。
いろいろ話したが結局はその"神の導き"の儀式が始まるまでは子供は学校に行かないのがこの世界の常識なのだ。
それを今8歳の俺が言い出したものだから母さんは困っているんだと思う。ごめんね母さんを困らせたい訳ではないんだよ。
それに俺は儀式をしなくても自分の職業をしっているからね。
でもこれが今までこの世界にない職業だからきっと騒ぎになるんだよね…。
だからそれまでに、もっと力をつけたいんだ。
「ねえ、お母様…ダメかな?」
俺はこの8年で身につけた"涙目で上目遣いのオネダリ"という技で母さんを落としにかかる。
「…うっ。そんな可愛い顔でお願いされると…でも…。」
後もう少しで落ちるかと思っていたら菊花姉さんが話に横やりを入れてきた。
「竜は何かやりたい事でもあるの?」
想定内の質問だね。
「はい!あります」
俺は8歳の子供らしく元気に答えてみせた。
「三つ子達は知ってたの?」
聞かれた三つ子の姉達は揃って首を横に振っている。知らなくて当然だよ、誰にも話していないからね。
「そうねぇ~、お母様にそのやりたい事を聞かせてくれたら考えても良いわよ」
母さんが俺の頭をなでながら優しい笑顔で話しかけてきてくれた。
「僕…龍使いになりたいんです!」
「「「「「「龍使い?」」」」」」
そこにいた全員の声が重なった。
代表して桃花姉さんが聞いてきた。
「龍使いって聞いた事がないのだけど…詳しく教えてくれるかしら?」
桃花姉さんは桜花姉さんと同じく才女らしく学校の成績も常にトップらしい。その姉さんが知らない事を俺が言い始めたので気になっているんだろうな。
さあ、ここからが大事だよ!
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