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1. 天界から人間界へ

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 すべての始まりはここ、天界にある神様達が作られた天使と悪魔達の通う学校から全てが始まったのです。

 え?

 なぜ悪魔も通っているかって?!

 やっぱり気になりますか?

 仕方ないですね…ここは天界学校監視局勤務のキュピルが解説させていただきます。

 あっ、因みにですが監視局というのは様々な種族のいる学園では揉め事が絶えませんので問題児達を監視する仕事をする局です。私はそこの監視員です。

 コホンッ…では、本題へ。

 異文化交流ブームというものが天界にも起こりまして、様々な種族の人達が通える学校を作ろう!ということになり、この学校を創設したのです。まだ創立してから日は浅いですが、今や生徒数500人を超える盛況ぶりなんです。


 天使見習いや悪魔見習い、神様見習いなどいろんな種族が通っているんですよ。

 …が、数が多ければ問題も起こるわけでして、ここにも問題児と言われる生徒がチラホラといる次第なんですよ。

 監視員の私も休めないくらいの忙しさなんです。

 あっ、噂をすればやってきました!

 私の担当している、学園1の問題児コンビです。



「なんで嘘ついたんだよ!」

 いま、大きな声を出して怒っているのが、天使の問題児と言われているミカルです。顔は天使達の中でも一番綺麗と言われているくらいの見た目なのですが…性格がね…。

 確かに…ミカルは金髪の巻き髪に宝石のようにキラキラとした青い瞳、艶やかな唇…黙っていれば宗教画に出てくるような天使様そのものです。

 ですが…性格が天真爛漫すぎるというか…。


「はあ?僕は嘘なんかついていませんけど?」

 そのミカルと言い合っているのは悪魔の問題児と言われているルーファですね。

 ルーファも顔だけで言えば悪魔の中では一番綺麗な顔をしていると言われています。サラサラと風になびく長い銀髪にルビーの様な真っ赤な瞳、透けるような白い肌…2人が並んで黙っていれば見た目は絵画の様な美しさなんですけどね…。

 この2人が揃うと喧嘩ばかりしているのが現実なんです。

「俺は嘘を見抜く事が出きるんだ!俺の楽しみに置いていたお菓子を食べたのはお前だろう?!」

「ふん!お前のお菓子だと名前は書いてあったのか?なければ誰が食べても良いじゃないか。」

 どうやら今日の喧嘩はおやつのお菓子のことで揉めているみたいですね。

 天使も悪魔も欲望には忠実ですからこんなささいな喧嘩もしょっちゅうあります。

 でも、特にこの2人はいつもこんな調子で喧嘩ばかりしているんです。学校の指針としては人種を越えて仲良くしよう!と言っているのですが…この2人はまったくできていません。

 いい加減にしないとあの人に怒られる…。

「お前らいい加減にせんか!!!」

 あ~あ、とうとう怒られてしまいましたね。登場したのは、真っ白な長い顎ひげが目を引く、この学校の校長で神様のゼウス様です。

「「だってコイツが…。」」

 お互い相手を指で差してゼウス校長に訴えているみたいですね。

「なんでお前達はいつも言い訳する時だけ気が合うんじゃ?」

「「コイツと気なんか合いません!!」」

 いやいや、ピッタリと声がシンクロしてますよ。説得力無いですね~。

「はぁ~、まったく…お前達には修行をさせたほうが良さそうじゃな。」

 ゼウス校長が名案を思い付いたみたいですけど…修行ですか?

「「修行?!」」

「そうじゃ。せっかくだから人間界で修行してこい!」

「「人間界?!嫌です!!行きたくない!!」」

 そうですよね~、だって後1年で学校を卒業できますからね。

 でも、普段から仲良くしてくれていればこんなことにはならなかったんですよ~。

 普段の行いは気を付けないといけません。うんうん。

「ほれ、お前達は息がピッタリと合っているではないか。そうじゃな…人間界では双子の兄弟として転生させてやろう。100年も人間界にいればお前達も少しは成長するだろう。」

 100年ですか…。まあ、我々には短いですが人間として過ごす時間としては長いですね。

「「100年も…。しかもコイツと双子…。」」

 2人とも呆然としていて反論すらできていません。

「早い方が良いな。どれ、今すぐにしてやろう。」

 あっ、ゼウス校長、何やら唱え始めましたよ。

 あれは…転生の呪文ですね。

「え?ゼウス校長…ちょっ、ちょっと待って!」

 ミカルがゼウス校長の足元にすがりついているみたいですね。

「そうですよ!校長ストップ!!」

 ルーファに至っては身体に飛び付いています。

 悪魔の魅力を使おうとしているのかもしれませんが神様であるゼウス様には効きませんよ。

 ほら…ゼウス校長は止める気はないみたいです。

 あ~、ミカルとルーファの身体が薄くなってしまいました。どうやら、輪廻の輪に転送されたようです。行き先は…。

 ハプル国の公爵家のようですね。

 ハプル国は貴族の腐敗が問題になっているみたいですが…大丈夫でしょうか?あの2人が人間に転生したからといって大人しくしているとは私には思えません…。

「「覚えてろよ~!!くそ親父~!!」」

 2人の叫び声が聞こえてきましたけど…。

 はぁ~。ゼウス様に対して何て言う口のききかたでしょうか!

「キュピルよ、見ているんだろ?引き続きあ奴らの監視を頼む。報告も忘れずにな。」

「はい、ゼウス様。」

 仕方ありませんね。これは引き続き私の監視が必要みたいですね。ゼウス様に頼まれたので監視を続けるとしましょう。


 それでは皆様…次回は人間界でお会いしましょう。


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