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52. どんな家になるのやら…
しおりを挟む「いや~、この現場では不思議な事がよく起きるんですよね…」
新しい家を建ててもらっている職人達の噂が耳にはいる。
「何が不思議なんだ?」
「例えば…土台に使うために大量の土を山積みにして置いていたら、強風が吹いて…その土が土台の場所に移動していたり…大きな岩があって困っていたら地面が揺れて石が勝手に転がって移動したり…不思議なんだよ」
「確かに…なんか精霊がイタズラしてるんじゃないか」
「イタズラ…いや、仕事を助けてくれている感じかな?」
「そんな事があるのか…」
「まあ、楽ならよいんじゃないか」
「そうだな」
職人達は笑いながら仕事を再開した。
うん…確実に精霊達の力が関与しているな…。
サファルか…。
いつも楽しそうに窓から現場の方を覗いているとサファイアから聞いていたがまさか手伝っていたなんて…知らなかった。多分…サファイアも気がついていないだろうな。
精霊のイタズラはよく聞くが…精霊の手伝い?聞いた事がないな。
どれだけサファルは精霊達に好かれているんだ?
何だかとんでもない家が建ちそうで怖いんだけど…大丈夫だよね。
それに天気もおかしいんだよな。
これは神様の関与があるとしか思えない…。
どんなに雲が厚くて今にも雨が降りだしそうでも建築作業が終わるまでは絶対に降らない。
終わった途端に凄いまとめて降りだすんだよね…。
バケツをひっくり返したような量の雨が…。
流石におかしいなとは思っていたんだけど、今日の話を聞いて確信を持ってしまった。
もしかしてサファルは神様達とも連絡がとれているんではないか?
…我が子ながら末恐ろしいな。
連絡をとっているとすれば…アフロディーテ様かな。
かの方ならやりそうだと思えてしまう所が怖いんだ。
赤ちゃんが精霊と神様の力を借りて家を建てる…。
物語か…。
こんな事を他人に言っても誰も信じないだろうな。頭がおかしいと思われてしまうだろう。話せるのは…サファイアと屋敷の使用人達くらいか。
はあ~、ストレスって意外と溜まるんだな。
早く家が完成してほしい様な、してほしくない様な…複雑な心境だよ。
新しい我が家はきっと木々に囲まれた緑豊かな素敵な城になるとは思うけど…その他にもいろいろとついてきそうだよね。
…考えたら負けだね。
うん、楽しみだよ。
うん…。
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