神様!僕の邪魔をしないで下さい

縁 遊

文字の大きさ
上 下
48 / 54

48. その頃のアデル

しおりを挟む


「バルダ!まだ着かないのか?!」

「そうですね、まだ少し時間がかかると思われます。そんなにイライラされても早くは着きませんよ…」

僕とバルダは同じ馬車に乗りある場所に向かっている。仕方なく…これは仕方なくだ!

先日、母に呼ばれて城で話をした時にサファイアの話になった。ケンカをしていることを屋敷の使用人の誰かから聞いたらしくお叱りを受けた…。

「お前は一体何を考えているのだ!猫になる?サファイアが怒って当然だ!それなのになぜお前が拗ねているのだ?おかしいだろ…今すぐに迎えに行ってこい!私は孫と嫁に会いたい!」

何て言われたから…仕方なく僕からサファイアを迎えに行くことになったんだ。僕だけだと心配だから必ず執事のバルダも一緒に行けと母からの命令で…。

それなのに…なぜサファイアは実家に居ないんだー!

僕とケンカして落ち込んで実家で泣き暮らしているだろうと思っていたのに…。

人に会いに出掛けただと?!

いったい誰に会いに行ったんだよ!

男じゃないよね!違うよね!

僕の知る限りだとサファイアと親しい男性は義兄しか知らない…いや、リルも居たな。だけどアイツは仕事が忙しく魔法省に泊まり込みの日々のはずだしな。

サファイアが会いに行きそうな人物…会いたい人…もしかして僕達の屋敷に戻っている?!

しかし、誰からも手紙は届いていないな…。

誰だ…。

あ!魔女達の所かもしれない!

西の魔女と東の魔女、両方仲良くしてもらっていたみたいだった…はず。

取り敢えずここから近いから西の魔女の所に行ってみるか…。

…ということで、只今馬車に揺られて移動中なのだ。

「アデル様、もうすぐ西の魔女様の住む森に到着致します」

「やっとか!」

こんなことなら最初から西の魔女の家に行くべきだったよ。凄い遠回りじゃないか。

到着して魔女の家を見ると…。

「なあ、バルダ…目の錯覚なのか?家が光っている様に見えるのだが…」

「錯覚ではありません。私にも家が光っている様に見えています」

なんだこの光りは…。

家の扉の前まで来ると中から人の声が聞こえてきた。

間違いない!サファイアだ!

なんて言うか…「偶然だな…」「何しているんだ…」「ごめん…」どれもしっくりこないな。でも…久しぶりにサファイアの声が聞けて嬉しい。意地をはっているのがバカらしいと思えてくるくらい。

やっぱり謝ろう!

サファイアの居ない生活なんてやっぱり嫌だ!

謝って許してもらって、そして一緒に屋敷に帰ろう。いや、帰って来て欲しいとお願いしよう!

僕の心は決まった。

ドアをノックするが反応がない…。

なぜだ?

僕はゆっくりとドアを開けた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

転生悪役令嬢に仕立て上げられた幸運の女神様は家門から勘当されたので、自由に生きるため、もう、ほっといてください。今更戻ってこいは遅いです

青の雀
ファンタジー
公爵令嬢ステファニー・エストロゲンは、学園の卒業パーティで第2王子のマリオットから突然、婚約破棄を告げられる それも事実ではない男爵令嬢のリリアーヌ嬢を苛めたという冤罪を掛けられ、問答無用でマリオットから殴り飛ばされ意識を失ってしまう そのショックで、ステファニーは前世社畜OL だった記憶を思い出し、日本料理を提供するファミリーレストランを開業することを思いつく 公爵令嬢として、持ち出せる宝石をなぜか物心ついたときには、すでに貯めていて、それを原資として開業するつもりでいる この国では婚約破棄された令嬢は、キズモノとして扱われることから、なんとか自立しようと修道院回避のために幼いときから貯金していたみたいだった 足取り重く公爵邸に帰ったステファニーに待ち構えていたのが、父からの勘当宣告で…… エストロゲン家では、昔から異能をもって生まれてくるということを当然としている家柄で、異能を持たないステファニーは、前から肩身の狭い思いをしていた 修道院へ行くか、勘当を甘んじて受け入れるか、二者択一を迫られたステファニーは翌早朝にこっそり、家を出た ステファニー自身は忘れているが、実は女神の化身で何代前の過去に人間との恋でいさかいがあり、無念が残っていたので、神界に帰らず、人間界の中で転生を繰り返すうちに、自分自身が女神であるということを忘れている エストロゲン家の人々は、ステファニーの恩恵を受け異能を覚醒したということを知らない ステファニーを追い出したことにより、次々に異能が消えていく…… 4/20ようやく誤字チェックが完了しました もしまだ、何かお気づきの点がありましたら、ご報告お待ち申し上げておりますm(_)m いったん終了します 思いがけずに長くなってしまいましたので、各単元ごとはショートショートなのですが(笑) 平民女性に転生して、下剋上をするという話も面白いかなぁと 気が向いたら書きますね

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】 ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。

処理中です...