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41. 執事バルダの悩み

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「バルダさん、殿下が部屋に籠って出て来られないんですが…」

執事見習いのホークが私の所にやって来た。

「サファイア様が出て行かれた事がショックだったんだろう。暫くお一人にしてさしあげなさい」

「分かりました」

ホークの後ろ姿を見ながら私は考えていた。

昔のアデル様なら考えられなかったことですね。

私はアデル様が幼い頃よりお仕えしていますが幼い頃のアデル様は何事にも情熱を持つことが出来ず淡々と毎日を過ごしていらっしゃる様なお子様でした。

きっと頭が良すぎて何でもすぐに出来てしまうのが原因だったのだろうとは思いますが…。

私はこのまま大人になられても大丈夫なのかと心配しておりました。

私にはどうすることも出来ず年月は過ぎアデル様も成人されましたが…やはり私が心配していたことはそのままでございました。

成人されても他人に興味はしめされず、公務はしっかりとこなされてはいましたが…。

影ではアデル様の事を人形王子と言う人もいるくらい、感情の起伏がなく何を考えているのかわからない王子と言われていたんです。

私は屋敷で犬や猫と戯れるアデル様を見ていましたからそんな事はないというのが分かっておりましたが…。

あの時の表情が人を相手にした時にもでる様になれば周りの評価も変わってくるとは思いますがどうすることもできずに歯がゆい思いをずっと抱いていた時に現れたのがサファイア様でした。

最初はいつもより猫を溺愛されているなといった感じでしたが、まさかその猫が人間に姿を変えるなんて私もアデル様も思っていなかったです。

人間に変身したサファイア様に恐らくですが…アデル様は一目惚れされたのだと思います。

人間に変身された後のサファイア様への溺愛ぷりはすごかったですからね。

私もアデル様があんなに人間に興味を持ち楽しそうにされるお姿を始めて見ましたよ。

私はサファイア様に感謝したい気持ちでいっぱいでした。

サファイア様が現れなければ、もしかしたらアデル様は一生人形王子のままだったかもしれません。

いろいろありましたが、アデル様とサファイア様がご結婚することができて屋敷の使用人一同喜んでいたのですが…。

まさか、こんな事になるなんて思いませんでした。

確かにアデル様は今まで人を愛する事がなかった為人の愛しかたが極端すぎる所はありましたが、まさかここまでとは…私の考えもまだまだ甘いですね。

サファイア様がいないだけでこんなに落ち込まれる姿を不謹慎かもしれませんが私は嬉しく思ってしまうのです。

人間らしいアデル様のお姿をみることができて…。

おっと、こんな事を考えているとアデル様に知られると大変ですね。

今はサファイア様に戻ってきていただけるように手をうちませんと。
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