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37. 初めての満月の夜 〈サファル視点〉
しおりを挟む今日は朝から屋敷の人達がバタバタと忙しそうに動いています。
お父様は少し前からソワソワとして落ち着かない様子だし。
一体何があるのでしょうか?
気になるけど、僕はお話はできても歩くことはまだ出来ないので見守るしかできません。
お母様に聞いたら教えてくれるでしょうか?
「おかあしゃま…」
「どうしたのサファル?」
お母様は僕のお洋服に刺繍をしながらお話を聞いてくれています。
「みんないそがしそうでしゅね」
「そうね、今日は満月の日だから…」
満月の日には何かあるのかな?
「なにがあるでしゅか?」
お母様は少し考え込んでしまいました。
「…実はね満月の日の夜は姿が変わってしまうのよ」
姿が変わる?誰が?
「だれがでしゅか?」
お母様は僕の方を見て自分を指差した。
「え?おかあしゃまが!」
「たぶん、お父様と一緒に変身した私の姿を見る事になると思うけど…」
お母様は恥ずかしそうにされている。
「たのしみでしゅ!」
お母様は更に顔を赤くした。
楽しみは早くくるもので…あっという間に夜になろうとしています。
屋敷の庭に椅子やテーブルが用意され飲み物や食べ物まで沢山準備されているのには驚きました。
土の上にも絨毯がひかれてクッションが沢山用意されています。ここは僕の場所みたい。
お父様は僕の横に座り込みお母様をじっと見つめています。
顔は…鼻の下が伸びていますね。
いつもの格好いいお父様ではありません。
あっ!月が出てきました。
光が真っ直ぐにお母様の方に伸びていきます。
おお!
お母様が可愛らしい猫さんの姿になりました。
猫さん可愛いです!
ん?
さっきから気のせいかな?
僕の周りも明るい光に包まれているような…。
「サファル…?」
お父様が驚きの表情で僕を見ています。
どうしたのかな?
お父様の手が僕を抱き上げようと伸びてきました。
あれ?
これが僕の手…?
毛だらけですけど…?!
「ニャーー!!」
「「「えええ!!!!!」」」
『ぼくも、ねこしゃんになってしまいました!』
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