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16. 親子の時間

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「アデルとは初めてこんなに長い時間を共に過ごすな…」

僕の目の前にあのお父様がいる…。

信じられない…。

横にいるサファイアなんて目をキラキラさせながら見ている。

…少し気に入らないな。

「サファイア…申し訳ないけど新しいお茶をもらってきてくれないかな?」

いつもなら侍女がすぐ側で待機しているが、今は人払いをして3人だけになっている。

私意外の男性を熱い視線で見るなんて…たとえ僕の身内でも許せないよ。

「え…分かりました」

さっきまでキラキラしていた瞳が変化したのが分かる。

ガッカリしてるね。

「すぐに戻ります…」

サファイアは素早く席を立ち上がり足早に屋敷に戻っていった。

「…で、お父様僕の子供は何か問題でもあるのでしょうか?」

わざわざお祝いだけを言いに来るなんておかしいと思っていたんだよね。

確信が持てたのは、まだ生まれてもいない子供の話をしたからだけど…。

「分かってしまったか…。お前の子供は我々神に近い能力を持って生まれてくる。それが、災いの元になるかもしれないのだ…」

「神様に近い能力…そんなに凄いのですか我が子は…」

僕とサファイアの子供だから能力は高い子供になるだろうと思っていたけど…まさかそこまでとは…。

「人間だけでなく、神々もちょっかいをだすかもしれん。そうなった時に人間界だけでは対応できないだろうと思ってな…」

「そうですね…」

神様が相手なら我々はかなうはずがない。

「今日はこれを渡そうと思ってやって来たんだ」

そう言ってテーブルの上にペンダントを置いた。

「これはどんな効果があるのですか?」

一見すると綺麗な青い石がついているだけの普通のペンダントに見える。

「神々から見えないようにする効果と能力を抑える効果がある」

そんな凄い物なのか!

「私からの祝いの品だと思い受け取って欲しい」

「ありがたく頂戴いたします」

ちょうど2人の話が終わった頃にサファイアが戻って来た。

「お、お待たせしました。お茶のおかわりをどうぞ…」

サファイア…さっきから小走りしているけど自分が大事な身体だって忘れてないかな?

いくら神様が大好きだからって…隣に僕がいるのに。

「あら、素敵なペンダントですね」

サファイアが先ほどのペンダントに気がついた。

「ああ、お父様から私達の子供にプレゼントをいただいたんだよ」

「え?!そうなのですか」

サファイアが嬉しそうにペンダントを眺めている。

「ありがとうございます、ゼウ…。いえ、お義父様」

最後にお父様の名前を口にしてしまっているね。

もう、どれだけ神様が好きなんだよ!
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