神様!僕の邪魔をしないで下さい

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7. 気がついたオズ 〈オズ視点〉

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「伯爵…一体どこまで行くんだ?」

もう、1時間くらい馬車に乗っている様な気がする。

「申し訳ありません。何せ村外れの場所にありまして…」

伯爵は落ち着いた様子で答える。

本当だろうか…。

「孤児達を引き取り育てている教会なら村の近くにないと不便ではないのか?」

確か、伯爵が言っていたのは住むにはちょうど良い場所だからと言ってたと思うんだが…。

「子供達は賑やかですからね少し離れていないと苦情がきますよ」

笑顔だけど目が笑っていない様な気がする…。

この笑顔は知っている。

一番上の兄、アデルお兄様が何か企んでいる時に見せる笑顔と似ている。

…ということは、この伯爵も何かを企んでいるということになるよな。

どうしよう…これは、嫌な気配しかしなくなってきた。

僕が伯爵と会っていることは誰も知らない。

それは、伯爵にお忍びで行くのだから周りには内緒にしておいた方が良いと言われたからだ。

今考えれば、あれも僕の行方を分からなくする為に言わせたのかも…。

屋敷を出たすぐの人目のつかないところに馬車が用意されていて乗り込んだので目撃者を探しても見つからない可能性が高い。

あ~、僕はいつも後になって気がつくんだよな…。

それでいつもお母様にもお兄様達にも起こられてるのに…自分でも思うけど学習してないな…。

多分、今頃は僕の姿が見えなくなって屋敷の者達が僕を探していることだろう。

お兄様に連絡がいけば何とかなるとは思うけど…。

あまり、遠くに行くと見つけてもらうのに時間がかかりすぎる。

ここは、足止めしないと見つけてもらうのは難しいかな…。

「伯爵、すまないが一度馬車を止めてもらえるか?少し気分が悪い…」

「え…それは、大変ですね。しかし…もう少しで到着しますので…」

到着したらダメなんだよ。

「いや、本当に悪いがもう限界に近いんだ…」

僕はそう言いながら口に手をあてて吐くような演技をした。

「…わかりました。おい、馬車を止めろ!」

伯爵は外の御者に大きな声で命令する。

馬車が直ぐに止まった。

僕は馬車の扉を開けて外に出た。

ここは何処だ?

周りは木に囲まれていて薄暗いし、道も舗装されていない。

どうりで揺れが激しいと思ったよ…。

「大丈夫ですか?」

伯爵が馬車から降りようとしたので、急いで止めた。

「降りなくて良い!体調が悪くて弱った姿を誰にも見られたくはない!出てくるな。暫く馬車の中で待っていてくれ…」

「…分かりました」

伯爵は納得がいかない様子を滲ませながら馬車の扉を閉じた。

今だ!

僕は吐くような演技をしながらゆっくりと馬車から離れて、馬車の車輪の跡をたどりながら戻っていった。

誰か気がついてくれ!


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