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6. オズの行方
しおりを挟む「おはよう、サファイア…」
「おはようございます、アデル様…」
まだ少し寝ぼけているサファイア…可愛いすぎる。
僕の楽しみにしていた、月に1回のサファイアの変身日が終わってしまった。
あれから、部屋にこもって猫姿のサファイアを堪能はしたが…正直足りない。
昨日、あんな揉め事がなければもっと早くに帰って来れたのに…。
「アデル様…どうかされたのですか?」
僕が珍しくボーとしていたのでサファイアか心配して声をかけてきた。
「何でもないよ…」
僕はサファイアを抱きしめた。
あ~、猫姿の時だけじゃなくて人の姿のサファイアも抱き心地が最高だな。
「アデル様、お急ぎにならないと仕事に遅れますよ」
「…行きたくないな」
「アデル様…」
今度はサファイアが僕を抱きしめる。
余計に仕事に行きたくなくなるな…。
「アデル様、大変でございます!」
寝室のドアの向こう側から執事のあせる声が聞こえる。
「なんだ!騒がしい」
せっかくのサファイアとの時間を邪魔して…。
「そ、それが…オズ様が失踪されました」
「何だと!」
あいつ…1人で伯爵に会いに行ったのか…?
「オズ様が…」
サファイアが心配して僕の顔を見ている。
「大丈夫だよ、すぐに見つかるから…。今日は遅くなるかもしれないけど…」
「アデル様お気を付けて…」
「うん…」
僕はベッドを出て急いで身支度を済ませ王宮に向かった。
「ヘルド、状況を報告してくれ」
「はい。オズ様は昨日昼食を食べられた後に1人でお出かけになられたまま行方がわからなくなってしまった様です」
「何処へ行くか言っていかなかったのか?」
普通ならどこへ出かけると言っても護衛がついて行くはずだ。
「どこへ行くと言わずに、散歩してくるから護衛はいらないとご本人が言われたそうです」
少し違和感があるな…。
相手にそうするように言われた可能性があるな。
「例の伯爵はどうしているんだ?」
「伯爵にも密偵をつけていますが、今のところは動きがないと報告をうけております」
動きがない?
「密偵を戻せ…。何かがおかしい…」
こちらの動きを気がつかれたか?
何か動きがないというのが不自然すぎる。
もしかして…こちら側にも密偵がいるのか?
「最近新しく雇った者で貴族の紹介で入った一般市民はいるか?」
「直ぐに調べてみます」
ヘルドは急ぎ足で部屋を出ていった。
オズはおそらく伯爵に捕まっているだろう。
ただ、王族を監禁するとなると向こうも覚悟をしているということだ
これは思ってたよりややこしくなりそうだ。
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