全寮制男子校

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学園祭の振り替え休日も終わり登校日。俺は休みの間二人と会話をしてない。もう友人でも無くなってしまった。
一人学食で朝食を食べる。今まで感じたことがない位不味い。


美味しくない飯をかっ込んでる俺を周りの生徒が興味深々に俺を見てる。そりゃ珍しいだろ?今までずっと三人で居たんだからな…。




「珍しいな。一人で飯食ってるんなんて」



こいつが食堂に入ってくる悲鳴なんて全く聞こえてこなかった。



「もう三人で連むことなんてねぇよ。勝利」



「は?どうしたんだ?」



勝利はビックリした顔をして俺の向かいの椅子に座る。俺は説明すらしたく無い。悪いが勝利が踏み込んで良い事じゃねぇんだよ。



「別に…頼むからっ…聞かないでくれっ…」



まだ感情のコントロールが出来ない。上手く言葉が出てこない。



「っ…分かった。俺からは無理に聞かない。だから剛が話せる時に話してくれ」



余程俺の態度が弱って居たからか勝利はそれ以上何も言わず俺と飯を食って他愛ない話をしてくれた。ありがとう。すげぇ助かるわ…。



「は?随分と楽しそうじゃね?」



俺の頭上から聞き慣れた声が聞こえてくる。分かってるさ誰の声なんて…。



「別に…和也には関係ないだろ?」


久しぶりに声を聞いたのに随分と嫌味な言い方をしてくるもんだ。まぁ俺が招いた結果だから別に気にはしない。



「っ…ああっ!そうかよっ!」



そう言って和也が俺を通り過ぎて遠くの席に座って飯を注文していた。




「マジで何かあったんだな…剛一人で抱え込むなよ。聞く事は出来るからな」



流石生徒会長様だ。無表情で飯を食ってる俺に対しても優しく話をしてくれるなんてありがたい。
でもな…俺は人生の経験なんてそんなに無い。でもこればかりは時間が解決する事なんだと思う。



「ありがとうな。でも大丈夫だから…授業あるから先に行くわ」


勝利に感謝して俺はその場を後にして歩き出した。和也の存在を無視して…和也の視線は感じるのに…。気を緩めたらその大きな胸に飛び込んでしまう。翔がダメなら和也と一緒になるっていう選択肢は一切ない。
早く時間が過ぎて俺を大人にしてくれと願う。


俺は教室に入って心配そうに見てくるクラスメイトの視線をやり過ごし授業が始まるのを待つ。両隣には俺の大好きな二人が座っているが会話は無い。まるで三人で三人の存在を各々の消しているかの様だ…。
異様な雰囲気で教室の空気も重い。


何とか午前中の授業を消化して昼休み…。飯を食う気にもならなくて寝に行くかと保健室に向かう。



ガラッと扉を開けて保健の先生を探すが誰も居ない。勝手に休むか?と机の上にある紙に体調不良と名前を書いてカーテンを閉めて横になる。
好きな人と別れるって結構来るな…。溜息を吐いてそっと眼を閉じる。
少しでも眠って時間が過ぎるのを待つ。



「剛…」


あれ?何だろう…誰かが俺の頭を撫ででいる。でも眠りから覚醒しきれてない俺の思考は動いてくれない。



「ごめんな…俺もちゃんと考えた…やっぱり先の事を考えると…結婚する方が良いと思った…。済まない…っ…じゃあな…」




結婚…そうか翔は結婚するのか。それなら仕方ない…今の俺には止める方法もわから…っ!



「翔っ!」



ガバッと起き上がりベットから出る。カーテンを開けて周りを見回したが誰も居ない…。気の所為だったのか?俺が勝手に夢を見たのか?混乱しながらも俺の腕は勝手に上がり感触が残ってる頭を撫でる。
夢だろうが現実だろうが翔は俺と離れると言った。しかも結婚…。お見合い相手に連絡すると親父さんは言っていたがもうそんなに話が進んでしまったのか?あの人は仕事が早いんだろう…。


一回紗英さんから俺に電話が来たが出てない。何を会話して良いか分からないし当たってしまいそうになる。自然と流れる涙は止まってくれない。今は何時だ?時計を見たら午後の授業は終わってしまっていた。


何とか堪えて涙を止めた。重い足を動かして荷物を取りに教室に向かう。今朝の和也を思い出し考える。和也も辛いだろう。折角これからだなって話をしていた次の日にさよならって言われたらそりゃキレるだろ?あの態度も納得する。
先が見えない。誰も納得してない別れに心が千切れそうだ…。




「え?」



誰も居ない教室を開けたら俺の眼に信じられない光景が映った…。俺の席に座り机に突っ伏してる翔。俺の声が聞こえたのか一瞬身体が動いたのが見えた。

今はダメだっ!翔と眼線が合う瞬間俺は踵を返してその場をダッシュで去る。
ヤバイっ…後ろから走ってくる足音が響いて近づいてくるのが分かる…俺は無我夢中で走って俺が滅多に行かない棟の空き教室に入って扉を閉め…れなかった…。



「待ってくれ」



「っ…離せよっ…」



扉を閉める直前扉に掛かった手が無理やり扉を開けて俺を正面から抱き締めてくる。
やめて欲しい。保健室で終わりを告げただろ?俺だって苦しいが理解してる。
お前は考えてあの答えを出したろ?今更迷ってんじゃねぇよ…。



「離せって言ってんだろうがっ!」



「ぐっ…はっ…」


腕を伸ばし翔から離れて自由になった身体を思い切り使って殴る。



「翔だって分かってんだろ?今俺達がやってるのはママゴトだって…将来会社を継ぐならちゃんとしっかりしろよ…さっき気持ち決めたって言ってたじゃねぇかっ!」




「っ…分かってんだよっ!でも無理だろうがっ!剛の姿見たら止まんねぇっ…て…」





クソがっ…ボロボロに涙を流す翔を見てどうする事も出来ない。でも…身体はどうしたら良いか分かっていた。放課後誰も居ない教室。俺の身体が勝手に動いて翔を抱きしめる。殴られて血が出ている口に無理やり舌をねじ込み犯して堪能した…。



こんなに欲してるのに…俺の物にならない虚しさが俺の涙を誘う。

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