全寮制男子校

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晴天に見舞われた学祭当日。

普段全寮制の男子校で閉鎖されてる学校が一年に一回解放されると近隣の女子校や親戚や親が沢山来る。


賑やかな校舎の中…五階の一室で俺達三人は衣装を見て固まった。




「これ着るのか?想像と違ったぞ?」



「俺も思った…誰が衣装手配したんだ?すげぇ金かかってるだろ?」




「「「絶対に委員長だ…」」」




手元にはとても上質な生地で出来ている衣装があった。俺の衣装はタキシードにマント。
シルクハットに杖…赤いコンタクト…最後に牙。本格的過ぎて学祭か?と疑ってしまう。


翔は肉体美メインか?…黒いジーンズにロング丈のパーカーカーディガン。そして身体にフィットしまくりな黒のアンダーシャツ…。犬耳に尻尾…銀色のカラコンに牙…。
ちゃんと耳つけてくださいとメモがあった。
あざとい…。



和也は銀色の刺繍が入ってる燕尾服で中のシャツも黒い。白い手袋とアスコットタイ。ファントムの仮面に青いカラコン…。




「翔だけおかしく無いか?身体で勝負しろってか?」




取り敢えず時間がないので各々着替える。



「俺すぐ終わったぞ…」




「うわっ…ちょっとこれは…見せたくねぇわ」




「和也もそうか?女子が騒ぐぞ?」




赤茶の髪の上には同色の犬耳。黒い服から覗く腹筋がバキバキに割れて可愛いコスプレじゃ無い野性味のある色気だ。何時もとは違う瞳の色にドキッとしてしまう。

尻尾…柔らかそうだな…。





「それを言うなら二人もだろ?豪華に仕上がったな…」





和也の背が高くスタイルの良い身体にマッチしてる燕尾服。刺繍にはジルコニアでも付けてるのか輝かしい。金髪をオールバックにして耳のピアスはそのままにブルーの瞳でこちらを見る。
ファントムの仮面を付けたら完成だが顔半分がイケメン過ぎるため隠しても魅力は変わらない。


二人に比べたら俺なんて普通も良いところだ。身体に合ったタキシードを着てマントを着用。髪を後ろに流してシルクハットを被る。赤いカラコンにドン引きしながらもちゃんと付け、牙も付ける。
今の牙は本当によく出来てる。口を開けたらすぐ見える様になっていて舌が少し擽ったい。



「剛の凄く良いな。俺の首吸ってくれよ」




「何でだよ…。ほら隣で委員長達待ってるから行くぞ?」



翔が無防備な姿で首筋を見せてくる。本当に俺が吸血鬼なら吸いたい。舌を這わせて余すところなく堪能するだろう。

はっ…。想像がヤバイ方向に行ってしまった。俺はアホだ…。




三人で隣で待機してるクラスの連中と合流する。




『やっぱり似合ってますね。用意した甲斐がありました』



『すごーいっ!!後で写真撮らせてっ!』
『御三方カッコよ過ぎっ…あっ…鼻血…』
『きゃー!いいっー!いいよっ!』




委員長を筆頭にクラスメイトから褒められる。周りが良いなら俺も良いか…。何時もしない格好で校舎を回ることになるが堂々としてれば良い…。



「これ揃えるの大変だったんじゃ無いか?」



『僕の家はこっち関係の仕事だから気にしなくても大丈夫。お化け役の衣装もバッチリだから…あっ!その衣装を着てる時は役になり切ってくださいね。
皆川くんは色男、笹野木くんはワイルド、木宮くんは紳士って感じで演じて女性客を沢山連れてきてください』



マジか…何時もより饒舌な委員長が難題を突き付けてくる。まぁ…委員長には世話になってるから…良いか。


三人で頷き分かったと返事をした。

その時放送のチャイムが鳴る。




「皆さん。学祭の準備お疲れ様でした…。只今より神永高校学園祭を開催します」


変態の声で開始が告げられた。学校中から歓声が上がり皆が動き始める。
俺達は取り敢えず校舎を周り客を連れて来るのが仕事だ。
お昼の休憩があるがそれまで頑張ろう…。





「取り敢えず一階から攻めていくか?」




「効率考えたら三人バラバラの方が良いだろ?分かれて昼に合流だな」




「それで良いと思うぞ。売り上げの為にクラスに貢献しよう」


しかし、教室を出て一階にに到着する前に俺達を見た生徒や女子高生に揉みくちゃにされる。
他にもコスプレしてるヤツらはいっぱい居るのに何でこっちに来るんだ?
が…。委員長の命令で俺は色男…。演じねば。
二人も揉みくちゃになっているが頑張って演じてくれ。

少し離れてる場所から二人の口説きが聞こえて来て少し笑ってしまう…。




翔はワイルドに攻めないといけない…。

「なぁ?すげぇ可愛いじゃん…何処回るか決まってんのか?決まってねぇなら俺と人気の無い場所行こうぜ」




『はいっ!何処にでも連れてってくださいっ!』




女性と小さい男子も着いていく。なる程…ワイルドか?なんか違う様な…。チャラい…。




和也は紳士…。

「失礼…凄く綺麗な女性でビックリしたよ…。
この先に良い場所知っているんだが…もし貴方が良いなら一緒に着いて来てくれないか?」



『勿論です!出来れば二人きりがっ!』
『私もいくっ!』
『私もっ!ちょと押さないでっ!』



女性に大人気だった。






良し…。俺は色男で良いのか?分からない…。勢いが大事だなっ!

「可愛いお嬢さん…これから何処にいくの?凄く綺麗な首筋だね…思わず舐めたくなるよ…。
上の階に暗くて静かで良い場所あるんだ。俺と一緒に行こうか?」

背の小さい女性グループの一人に声を掛ける。眼を見て顎に手を添えてにっこり笑いながら。耳元で囁く。



『あっ…』


バタンっ。



………………………。倒れた…。え?どうすれば良い…?




『だっ!大丈夫です!こっちで救護室行きます!この子の目が覚めたら上の階ですよね?いきます!絶対っ行きます!』




「あっあぁ…それなら良かった…楽しんでくれよ」



倒れた子の隣にいた子がフォローしてくれて良かった。俺は有難うともう一回行って移動する。
翔と和也は順調にお客様ゲットして五階に向かってるんだろう。良かった。

それから俺も過剰なスキンシップをしない様にお客をゲット何人も連れて行った。
委員長がホクホクしながら喜んでいるのを見て嬉しくなる。
何故か女性よりも男子が多いのは何故だ?同じ校舎に居て話した事が無い生徒にも声を掛けられる。


まぁ…これが学園祭の醍醐味か?







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