全寮制男子校

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眼鏡の監視から二日経った。今俺達は放課後生徒会室に集合している。

一年の後輩組と俺と和也。
そして勝利と副会長が揃ってる。双子会計と変態は今回の件に絡んでない。



「そろったな…」



応接室の広いソファーに全員が座る。この間のことを思い出して少し居心地が悪い。
和也が笑って勝利が睨んでくる。本当にごめんなさい。




「俺から報告します。昨日の出来事なんですが…。
木村…いや眼鏡で良いですね。眼鏡が昨日の早朝笹野木さんに学校でキスを強請ったんですよ。
そしたら拒否されまして…。クラスに戻ってからすげぇ荒れたらしいです。
笹野木さんも限界なんじゃないですか?もしかしたら眼鏡行動に移すかもしれないです!
それに他の人には見せてはない様ですが盗撮のデータはある様です。さり気なく友達に探ってもらいました!」




「あぁ…結構な生徒が見てる前で拒否されたら笹野木が言う事を聞かなくってきてると思ってるだろうな…。
そこでた…。俺と幸哉が考えた事を話すぞ。
簡単な話なんだが眼鏡の父親の会社が幸哉の父親の会社の傘下なんだ…。
それを上手く使って全部のデータを回収する事にした」




そんな繋がりがあるのか…でも引っかかる。




「それだと副会長に迷惑かからないか?」



「祐がこれだけ変われたのはあたなのお陰でしょう?僕は純粋に感謝してます。それに僕の父親も快諾してくれました。犯罪めいた事を普通にする生徒の父親が会社の傘下に居るんです。今回は逆に教えてくれて良かった。まぁ…欲を言えば名前を呼んで貰いたいですが…」



そんな眼で見ないでくれ…。



「そんな事で良いのか?それなら幸哉と呼ぶさ。俺の事も剛と呼んでくれ」



「あぁっ!ありがとうございます!剛…に名前を呼んで貰うのは自分が間違った生き方をしてないって自信になるんです。本当にありがとう…」



「やめてくれ…俺はそんな大層なもんじゃない。気恥ずかしい…」



幸哉の言ってる事が分かるのか周りも頷いてまた恥ずかしくなる…俺の事をそんな風に周りは見ていたのか…。自分の言動は気をつけないとダメだな。




「よし…それで何時行動に移すかだ…」



「簡単じゃね?翔と連絡取り合って知ったけど眼鏡は自慢の写真が無くなると翔の部屋に行きたくなるらしいからその時に部屋に行って話すれば良い。
スマホしか持ってこないだろ?そのスマホを翔を利用して手元から離してもらって俺達が確保する。
後は眼鏡の部屋に行ってPCとかその他記憶媒体を押収するって感じで良いんじゃね?」



和也がスラスラ話す。なる程…それは翔が少しでも眼鏡に触れて気を逸らすって事だ…。グッと言葉につまってしまう。




「剛…少し辛いと思うけどな…警戒されない為には翔に少し頑張ってもらわねぇと」



「分かってる。俺がアホなだけだ…。気にしないでくれ。よし…さっさと終わらせてスッキリさせよう」



協力してくれた周りを見て話す。本当に感謝してる…仲間とはこんな感じなのか?すげぇ頼もしいじゃねぇか…。



「もう一つ…処分の事なんだが生徒会に任せてもらって良いか?」



「それは構わない。俺は普通の生活に戻りたいだけだ」


 
勝利が聞いてくる。俺が処分する訳じゃないからそんな事聞かなくて良いのに本当に律儀なヤツだ。でもちゃんとした処分をしてくれるだろう…。
じゃないと俺…殺すからな。



「よし!大筋は決まったか?じゃあ俺翔に連絡して何時が良いか聞くわ」



翔に連絡する為、和也がスマホを弄って少し遠くに移動した。



「これで解決出来れば一番良いが…剛!教室でやるんじねぇ!ったく一番言いたかった事言えて良かったぜ」



「くっ…すまない」



ぐうの音も出ない。
勝利に怒られ純粋に反省する。でもムカつく…解決したら翔にも怒って貰おう。俺だけなんて理不尽だ。



「まだ解決してないが本当に助かった…ありがとう」



周りに深々と頭を下げる。また感情が暴発して眼頭が熱くなった…。
この学校クソって言ってごめん。良い生徒が沢山いる良い学校だ。



「「「「っ!」」」」




眼が熱いから顔が上げれない…。すると後ろから暖かいものに包まれる。あぁ…和也だ…。



「また暴走してるだろ?翔から返事来たら連絡するからこいつ連れて帰るな」



和也が俺の手を握って出ていった。俺達が居なくなった生徒会室では異様な雰囲気が漂っていた…。




「なんか…凄く羨ましいですね。祐こっち来ませんか?」



「なんかっ!俺も心臓がキュって痛い!」



剛と和也の雰囲気に充てられて芳田と幸哉が抱き合う…。残った三人は咳をして生徒会室を後にした。でも勝利は見てしまった。
時間を潰そうかと五階の使われていない会議室に入ろうとして少し横を向いた。
橋本が若潮の制服の裾を握っていた…。えぇ!!!






和也がまだ下を向いてる俺の手を引いて近くのトイレの個室に入った。


「ほらまた泣いて…ダメだろ?」


「っ…いや…我慢がっ…」


「分かってるからほら」



狭い個室なのに腕を広げて俺が来るのを待っている。迷いなんかなくその腕の中に入っていった。


ギュウギュウと抱きしめられ安心する。



「泣き止むまでこうしてような?このままだと寮に帰れないから」



「っあぁ…たのむっ」



流れ出る涙をキスで舐めとってもらい。綺麗にしてもらう。



「しょっぺぇ…本当に泣き虫になったな…剛」



口にも啄む様にキスをしながら揶揄うように和也がいってくる。



「違うっ…お前らが居るから弱くなったんだ…もう二人が居ないと俺はっ…」



「あぁ…わかってる…」



強い力で抱きしめられ俺もお返しする。早くここにもう一つの温もりがほしい…。
俺は我儘か?二人が欲しいのだ…。
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