全寮制男子校

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あれから少し休んで何とか復活した。
若いって素晴らしい。騎馬戦が最後の方で良かった。
結構時間ギリギリに戻ってCクラスの現状を聞く。


ほっ…大丈夫そうだ。応援合戦はAクラスに負けてしまったが玉入れと綱引きを(学年入り乱れです)Cクラスが勝ったようだ。


確認していたら丁度俺たちの番になった。一年から三年生のCクラスで騎馬をつくりトーナメント方式で戦っていく。
気合を入れて翔と和也と足速い君(え?)の上に跨り一回戦目だ。


Dクラスのヤツらで瞬殺してやった。俺の腕には黄色のハチマキが余るだけ掛かった。
弱すぎる…俺の力が入らない腰でも余裕だ。
下で爆笑してる二人のは後で説教しないと行けないが…試合が終わって休める時は休まないとダメだ。


俺達が終わったあとAクラスとBクラスが戦ってる。勝利と芳田が揉みくちゃに暴れまくっていた。どっちが勝っても余裕だが怪我はしちゃいけない…。少し心配になってしまった。

しかし勝負は以外な勝敗で決まった。
勝利はBクラスで芳田の腕には赤いハチマキが沢山が掛かっていた。
その足元には騎馬が崩れ去って勝利が潰れていた。
お疲れ様です。



「これで最後だな…」



「チャチャと終わらせて次行こうぜ」



「あぁ…幾ら芳田でも俺は負けねぇ」




少し時間が経ち決勝だ。


芳田の下には若潮達がいたが戦力はこっちが強い。



「緩いぞ」



「くそっ!負けねぇっ!」



芳田が中々良い動きをしてる。
反射神経が良いから避けられるか…。じゃあ逆の発想で行こう。体の向きと出す腕を逆にして反射を遅らせる。そして頭にあるハチマキを奪った。脳みそはまだバカで良かった。
よし!これで殆ど俺たちの勝ちが決定した。



「くやしー!」



地団駄を踏みながら悔しがっている…。それだけ本気だったんだろう。良い心がけだ。


アナウンスから俺達の勝利が告げられ騎馬戦は終わった。残りはリレーだが…。
まぁ言わずもがな余裕で俺達の勝ちだった。和也と特訓したバトンミスもなく予想通りクラスと総合で優勝した。



熱い体育祭が幕を閉じた。
今年も楽しかったな…。来年も頑張ろうと心に決めた。理事長…またケータリングお願いします。




それから汗でグチャグチャの身体をシャワーで綺麗にして三人で学食に向かう。
その道なりで一人の男子生徒がこちらを見て立っていた。



『あのっ笹野木さんっ…にお話が…』



芳田と同じ位の身長で前髪が眼に掛かるくらいの黒髪で黒縁の眼鏡を掛けている。至って普通の生徒だ。



「翔に用事か?俺たち先行って席取ってるな」



「あぁ…わかった」




何か大事な話なんだろう。俺と和也は先に食堂に行って翔が来るのを待っていた。
しかしいくら待っても翔は一向に来ない。電話も出ない…。
メールで先に食うと送ったら「わかった。」と返事が来て次のメールに「食堂行けなくなった。」と来た。
詳しくは判らないが和也と飯を食って取り敢えず部屋に戻ってきた。



「翔どうしたんだろうな?」



「さぁ?さっきのヤツとなんか関係してるんじゃないか?」



「まぁ…話聞いてない俺らには関係ないか…」




心がモヤモヤする…。こんな翔初めてだった。明日会ったら話を聞いてみるか?
そう考えながら疲れた身体を休ませるために眠りについた。












次の日朝起きてスマホに、当分朝飯と登校一人で行くと連絡げ来ていた。
益々分からない…和也とも首を傾げながら取り敢えず飯だと思って食堂に向かう。

扉を開けて一瞬で何時もの空気じゃない事がわかった。二階の生徒会専用も、一階の一般生用も中心から少しズレたテーブルを全員見てるんじゃねぇか?


「はっ?」


和也が先に気づく。俺もそれを見てどんな感情が出たか分からない。テーブルには昨日の男子と翔が一緒に飯を食っている。
側から見たら恋人同士の様だ。
色々な気持ちが渦巻くが、それなら言ってくれても良いのにと思う。
それに、俺が食堂に入ってきた時の周りの目線。生徒会や芳田達も俺をどう見て良いのか分からないと言った目線を向けてくる。


「あいつ…何やってんだよ」

和也の声が少し低く機嫌が悪くなっているのが分かる。
隣にいる俺を無視して翔に近づいた。


「翔…何してんだ?」

「てめぇには関係ねぇな」

「はっ?どう言う事だよ!」

和也が胸倉を掴んで翔を椅子から持ち上げる。全体が騒めきそれでも見守る。


『っあ…やめてください!』

ガバッと立ち上がって二人を止めようとしてる眼鏡男子。なんだ…この異様な光景。雰囲気…初めて和也と翔が睨み合ってる…俺はどうしたら良い?


『この人は僕の大切な人ですっ!だから手を離して下さいっ!』

「はぁ?翔…なんでなんも言い返さないんだ?お前此奴の大切なヤツになったのか?一日で?ふざけてんのか!?あ?」

「ぐっ…!」


翔は何も言わない。和也が痺れを切らして翔の頬に拳をたたき込んだ。翔は身体ごと倒れ、椅子を薙ぎ倒す。やはり和也の一撃は凄い。重くて中々立ち上がる事が出来ない。

『翔さんっ!』


眼鏡が近寄り翔にベタベタ触ってる…。ゾクリとした。このままだと俺もおかしくなりそうで、和也に近づき話す。至って外見は冷静に…。

「いきなり殴んなよバカ」

和也の頭を殴ってやる。少し冷静になれよアホ。

「翔?大丈夫か?」


まだ倒れている翔に話しかける。翔はチラリと此方を見て、すぐ逸らす。ズキリ…心臓が痛んだ。

『翔さんは大丈夫です。僕が見ますから』

早くどっかに行けと言われてる様だった。お前はもう翔に必要無いんだと…。

「そうか…分かった。この雰囲気じゃ飯食えないな…和也行こうぜ」


俺は和也を促し食堂を後にする。その時、俺は分からなかった。翔が血を流すくらい拳を握りして居たことを。
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