全寮制男子校

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改めて二人を近くで見る俺よりも身長があり(なんでこんなにでけぇヤツが多いのか…)
一人はワカメと同じ銀髪で緩い話し方をしてる方が水色の髪色だった。
後は興味がないないので情報はそれで十分だ。



「芳田…こいつらお前の友達なのか?」



「っぁ!あっ…なっまえ…うぁ…っあ…ひっくっ…」



どうしたんだ?ワカメがいきなり号泣した。
これでは俺が泣かせてる様なもんだ。



「おいっどうした?」



「名前…呼んだっ…ひっ…ぐぅ…」



ん?そうだったか?まぁ…俺はずっとワカメって心の中で呼んでいたしな。
でも頑張って変わろうとしてるヤツに興味がないなんてもう思っていない。
取り敢えず芳田を泣き止ませないと先に進まない。



「頑張って変わるんだろう…名前くらいで泣くな。」



「おう…っく…もう大丈夫だっ!」




泣き止んで真っ赤な眼を此方に向けてくる。芳田は大丈夫だろう。



「てめぇ…俺の祐泣かせんなよ」



「力…違う。俺はこの人に興味を持ってもらった!それが嬉しかったんだ!それに俺はお前のもんじゃないっ」



「はぁ?前はそんな事言わなかったろ?親の都合で学校変わって俺寂しかったんだそ?
それなのにそんなヤツに興味持ってもらっただけで何がそんなに嬉しいんだよ。
なぁ…?お前に興味持ってもらったら祐はこっちに戻ってくるのか?」



「それはねぇな…興味を持つ意味すらない…。他校に来て生徒を殴るなんてアホがする事だ。」



「はっ?てめぇふざけんなよ?」



「ってかこいつウザいんだけと…祐がなんでこんなヤツ気にするのか全然わかんないし」




銀髪に向き合って答えてやる。銀髪の雰囲気が変わった。水色は文句を言ってるが二人同時には来ないのだろう…傍観している。
あぁ…これは相手してやらないとダメなのか?面倒くさい。知らず溜息が漏れてしまっていた。



「はっ…馬鹿にしてやがる。来いよ…殺してやる」



挑発されてしまった。それならば仕方がない。
ゆっくり歩いて間合いを詰める。
相手が臨戦態勢入る前に一歩踏み出し、左頬を殴ってやる。



「がっ…はっ!」



「お前強ぇな」



「っ…はっ…?」



拳が当たる瞬間に少し身体を逸らされた。素晴らしい反射神経だ。倒れず踏みとどまってる銀髪に思わず笑ってしまう。久しく感じてなかった感覚に興奮した。銀髪は俺を凝視して固まっているし、もう来ないのか?


「んなっ!なんつー顔してんのさ」


声がした方を見ると水色が愕然と俺を見ていた。何だ今度はこっちが来るのか?



「今度はそっちか?来いよ」



俺はスイッチ入ってるので止まらない。
ブン殴ってスッキリしたい。
水色が一瞬戸惑って此方に歩いてきた。
しかし顔面が緩い。
締まらねぇ…。若干苛つきながら様子を見ていたらノーガードで突っ込んできた。



「うおっ!」



「下半身に直撃きたー!」



殺気の無い行動に反射が遅れ水色がぶつかってきてそのまま一緒に倒れる。
地面に尻餅を着いて顔が歪む。いてぇ…。
息が詰まって言葉が出てこない。




「あんた!いいねっ!なぁ…俺といい事しない?」



押し倒されてる形で上から水色に見下ろされる。こいつもゲイか?ゲイなのか?
頭が痛くなる。少し落ち着いた呼吸でハッキリと答えてやる。





「退け…。俺はゲイじゃねぇ」







……………………………。


『『『「「「「はっ????」」」」』』』




俺の一言で周りが騒然としている。
俺を見守っている和也と翔も唖然としていた。
何がおかしい?俺はゲイじゃ無い。何も間違ってる事は言っていない。





((俺達のSEXって剛にとって何だったんだ…??))




そんな事を二人が考えてるなんて俺に分かるわけがない。




「いいよー。ゲイじゃなくても大丈夫。俺上手いから」




まだ水色は言っている。いい加減退けよと下から蹴りを入れようと力入れたら頭から声が降ってきて水色がぶっ飛んでいった。




「おいガキ…いい加減退けよ」




「他校の生徒が好き勝手たらダメだろ?殺すぞ?」




翔が水色を蹴り飛ばし、和也が俺を起こして背中の汚れをパンパン落としてくれた。



「おぉ…助かった。二人とも」



「油断してんなよ」



「ぐっ…いってぇー」




水色が復活して銀髪の近くに戻った。
キレてる翔は恐ろしい…。芳田もやっぱりビクついてる。




「ってかお前らもう帰れ。何しにきたんだよ…うぜぇな」


「イケメンが増えてる!力っこの学校面白いかもっ」



「奇遇だな尊。俺も思った…祐を手に入れるために来たけど中々楽しそうだ」




殴られて蹴られて口から血を出しながらニヤニヤしてる二人。
その姿はアホで恐怖だ。
流石に俺はもう声をかける事はしない。




「祐…今日は武が悪い。帰ってやるよ…まぁ直ぐまた会いに来てやる。なんか気にやるヤツも出来たし。待ってろよ」




「じゃーねー」



「なっ!もう来るなっ…くそっ…」



芳田が叫んでいるが聞いちゃいない。踵を返して身体を引きずりながら帰っていった。
何がしたかったんだ…。



「あっ…あのっ!」




芳田が何が言いたそうだったが本人が一番戸惑ってるだろう…。
昔の友達が今の友達を殴ったのだ。考えることは多いと俺は思う。




「もう問題は終わった。早く若潮の所行ってやれ。勝利にも連絡しといてやるからちゃんとあった事話すんだぞ」





コクコク頷く芳田の頭を撫で二人に向き合う。



「助かった…。寮戻ろうぜ」



「あぁ…俺はお前に聞きたい事出来たからな。早く行こう」



「俺も出来た。少し衝撃だったから心臓ドキドキしてる」




二人が俺に何が聞きたいんだろう。今更聞くことなんてあるのか?
まぁ別に良いけどな。



歩き出そうとしたら芳田に止められた。



「ん?どうした」



「やっ…あのっなまえ!ゔんっ…俺の名前は芳田祐っていいますっ…俺も名前呼びたいっ」




ビシっと直立して自己紹介してきた。
まるで最初のやり取りをやり直したいと言ってるかのようだ。
俺は二人を見て頷いたので大丈夫だなって思った。




「俺の名前は皆川剛だ。こっちが笹野木翔。それで木宮和也だ。名前を教えた意味は分かるよな?好きに呼んで良いぞ」



「ゔんっ!大丈夫っ。ありがとうっ!」



また泣いて居たが大丈夫だろう…。一礼して孟ダッシュで若潮の所に行ったみたいだ。



やっと帰れる。三人で歩き出して校門を後にする。
他の生徒もそれをきっかけに散り始めた。



寮に帰って休もう…。
なんか二人は俺に聞きたい事あるって言っていたがなんだろう?さっぱりだ。
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