全寮制男子校

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集合して次の指示を待っていると和也が泣きながら走ってきた。



「だぁ!!無理だ!剛助けてくれ!」



和也には珍しく声を上げてこっちにくる。和也の後ろを見て理解した。



「無理だ。こっちにくるな」



「剛!そんな…」



縋り付く和也を手で制す。和也の後ろには残りの生徒が和也を追ってきていた。我先にと手を伸ばし和也の身体を羽交い締めにしている。
ずげぇ…この班全部チワワだ。
和也の視界に己を刻みつけようとアピール合戦が始まっている。


これじゃあ絶対班なんて代われるわけもない。




「和也…諦めろ。一泊の我慢だ。ほら戻れ」



嫌だー!!と叫びながらチワワに連れていかれた和也を少し哀れに思うがこれも運だ。仕方がない…。



「「はーい!連絡しまーす!今集まってる時間にロッジの前に各自BBQの準備をしてもらってるから少し待ってねー!それで!午後なんだけどオリエンテーションでビンゴ大会やるから楽しみにしててー。
それまでお昼いっぱい食べてー!」」



双子会計が乱れず話す。双子はこんな事も出来るのかと感心する。

俺は拳を握った。この高揚感…堪らない…。


「よし!すぐ行こうっ!」



「やっぱりか…剛ずけぇ顔してるぞ」



翔が笑って俺の髪を撫でる。それ所ではない。早くロッジに戻って飯だ。



「すげー楽しそうですねっ」



「当たり前だ。俺は飯を食うことに幸せを感じる」




隣にいる橋本も元気に声を掛けてくる。


俺の合図をきっかけに周りにいる俺の班が動き出した。勝利も少し笑っているのだろう肩が震えている。


ロッジに到着して驚愕した。
勿論焼くのは自分達なのだが食材が凄い…。
肉や海鮮…キノコに瑞々しい野菜が揃っている。飲み物も充実していて色んな種類が置いていた。


「後輩よ…焼け。」



「了解です!!」



俺は食う専門なので焼きは橋本に任せる。同じ班の生徒はお近づきしたいのか翔と勝利に肉を焼いて渡したりとスキンシップを取っていたので気にしない。



「あぁ…幸せだ…」



「っつ…顔が…くっ下半身が…」



俺はこの料理に期待して朝飯を食っていない。
今日一番の肉は最高だった。
俺の前で焼いている橋本が俺をガン見していたので腹が減っているんだろうと勘違いをして箸で一つ肉を摘んで橋本の口元に持っていく。



「ほら…食ってみろ…うんまいぞ!」


「っは…はい」



橋本の口が開かれ中に突っ込んででやろうと腕を動かした時に横から掴まれた。


「それは俺がもらう」



「コラ…意地汚いぞ」



「良いんだよ。そんな小さい事気にするな」




腕を掴んだのはもちろん翔。勝手に俺の箸から食べる。自分で取って食べれば良いだろう。
見てみろ…橋本がガックリ下を向いてるじゃないか。


それから橋本と交代して食わせる。焼きながら食べるもの美味しい。
俺は何気に肉よりも海鮮にハマってしまった。


いつの間にか勝利もこっちに来て俺から食べさせてくれと駄々をこねる。
それなら僕らが!と他の生徒が勝利の口に物を突っ込んでいた。
中々に面白い。



「「「食った…」」」



橋本と俺と翔の三人で腹を摩る。
流石生徒会長だ。人気が凄い。班の連中に揉みくちゃにされていた。食事はゆっくり食べた方がいいと思ってる俺はほんの少し同情する。


ゆっくり二時間を食事の交流に使って午後のビンゴ大会の時間だ。どっかの忘年会みたいだなと思ったが全体が楽しむには効率が良いと思う。


班ごとにビンゴカードが配られ班から外れた勝利がビンゴを回して番号を言っていく。



「あっ!俺リーチです」



「俺もだ…ってか剛運ないな…全然揃ってねぇ」



「うるせぇよ…後何回でリーチになるから大丈夫だ」




橋本と翔は早速リーチらしい。
俺はまだだった…そして忘れていた。俺は運で何かをするのは得意じゃない事を…。
御神籤なんて一番良くて中吉しか人生で引いたことが無い。
俺はギャンブルとか出来ない人間なのだろう。



 「うっし!ビンゴ!」



「おぉ…橋本早いな。ほら…行ってこいよ」



俺の班で一番最初は橋本だった。先着50人分のプレゼントが先着ずつ配られる。


「何貰ってきたんだ…?」



翔も気になるのだろう橋本に聞く。


「えっと…ん?なんだこれ?」



ガサゴソと袋を弄って景品を見る。
そこから出て来た物に笑いが出てしまった。


「安眠グッズか…よかったな。ゆっくり寝れるじゃないか」



「えぇー俺にはあんまり必要ないですよ。先輩方いりますか?」



「要らないのか?それなら俺が貰ってやるよ」




翔が手を出す。
同室と上手くいってないのか?寝れてないのだろうか?少し心配してしまう。
橋本から受け取りなんか嬉しそうな翔を見てゆっくり寝れるといいなと心から思う。



結局俺の班は橋本と他の生徒が一人景品ゲットしていた。俺は掠りもしなかった。
翔は安眠グッズを貰ったので参加すら放棄した。



「やっと終わった…」



ビンゴ大会の熱気がまだ周りを騒がしくしてる中で勝利が疲れた感じて帰ってきた。



「お疲れ。すげぇ回してたな」



「手首壊れるかと思ったたぜ。剛ー!癒してくれよ…」



「うぉっ!」




勝利と仲良くなってから度々こんな事がある。俺の背中に被さってきた勝利。お前も重いのだが…。
まぁ仕事をしっかりしてるのはいい事だ。少し褒めてやろう。
好きにさせてやる。


ワザとでは無いだろうが、項に頭をグリグリしないで欲しい。擽ったい…。



「はい。終わり」



べりっと翔が勝利を剥がす。
ちっ!と勝利の舌打ちがしてまた二人で言い争う。毎回だが疲れないのか?



明日の予定はまだ分からないが今日は後風呂入って夕食だけだ。
あまり話をしてないがちゃんと交流出来たと思う。



「結構汗かいたな…」



「剛さん風呂行きましょう!俺背中流します」



可愛い後輩の言葉に頷く。あの二人はほっといても着いてくるし準備して向かった。

ちなみに風呂は近くにある温泉に時間を区切って何班か混じってはいる。
結構綺麗でいい湯加減だった。
人数も多いと思ったがすっぽり入る。
入ってる最中色んな視線を感じたが風呂が気持ちよくて気にならない。
ただ翔のセクハラを回避するのには体力を使った。橋本も背中を洗うのに何か手つきがおかしいし…。
俺自意識過剰になったのか?
少し不安になる。


サッパリして夕食はなんだと考えていたらロッジにの中に設置されていたガスコンロの上に鍋が置いてあった。
これは…まさか…。
俺の好物のカレーだ。
キャンプと言ったらカレーしかないよな…。
嬉しくで死ぬほど食べる。


結局楽しい事ばかりで満足のいく初日だった。
ロッジの談話室で各自話をしながら明日は何があるのか考える…楽しみだった。
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