全寮制男子校

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はぁ…。
俺の愛しの飯タイム…最悪な形だった。翔は少しマシになったが、着替えとシャワーを浴びるため自室に戻って疲れたから今日は寝るそうだ。



今は和也と二人でリビングでお茶してる。



「あの一年すげぇな…」


「珍しく和也キレてなかったか?」


「あぁ…分かった?ってかキレない方がおかしいだろ?」


「それは分かるな。あいつが外部で入学して来た一年か…色々問題が起きそうだ」



二人して溜息が出てしまう。
俺はまだ誕生日が来て無いから十六年しか生きてないが、あんな人種は初めてだった。
同じ学年じゃなくて良かった。
しかも副会長のお気に入りだろ?会長も満更では無い気がする。
一波乱絶対あると思うが…俺達に害が無い事を祈るしかない。



「はぁ…何か食った気がしねぇな」



「剛のランチタイム散々だったしな。どうする何か買いに行くか?」



あのクソ一年の所為だ…俺の唯一の楽しみが削がれた。翔は休むと言っていたしな…和也とコンビニでも行こうかと悩む。


「はぁ…疲れたし、コンビニ行こうぜ」


「了解。美味しいものゲットしに行こう」



この学校のコンビニはコンビニでは無い。
ん?意味不明だな。
コンビニと俺らは言ってしまうが、何でも売ってるスーパーみたいな所だ。
俺は結構気に入っている。
でも食堂が一番なんだよ…。
あ…またテンション下がって来た…。

和也と二人で買い物に行こうと最小限の荷物を持って下の階に行く。




「なー!!何でもあるな!すげーよ!!」



ん??この怪音は?俺の頭から警告音が出ている。
思わず和也と無言で見つめ合ってしまう。
あぁ、これはダメだ…声がどんどん大きくなってくる。
俺は直ぐ踵を返して今来た道を帰ろうとした。



「あっ!!!さっきのイケメン!!!なぁおい!名前教えてくれよーー!!!」



俺じゃ無いぞ。反応が遅れて和也がバレた。イケメンが渋い顔してる。

この煩ぇ一年…名前覚えてない。ワカメで良いな。
ズンズン歩いてこっちに向かって来る。
そして何故か取り巻き連中が増えていやがる。
一年の二人に副会長と会長か?
アイツら先輩のくせに…ワカメの騒音を注意もしないの
かクソ野郎め。

生徒会は興味なかったが、俺の中では仕事も出来ないクソ野郎供になった。そうこう言っているうちにワカメとの距離が近くなってくる。



「うっ!俺またキレちゃいそうだ…」


「野生の感か?アイツらいる場所結構離れてたんだよな?ってか面倒くせぇ…和也行ってこいよ」


「はぁ?絶対俺だけじゃ無ぇぞ。剛もだからなっ!」


「んな訳ねぇだろ?」



俺な訳が無い。
罪の擦り付け合いじゃ無いが、そんな事をしていたらヤツが眼の前に来た。
ワカメの取り巻きも付いて来たのか…?
周りから見たら凄い構図だ。



「やっと着いたー!!なぁアンタら!!なまえ!なまえ教えてくれよ!!」



「おい…声がでけぇ。うるせぇって言ってるだろ?」



何故対面して距離60センチ位なのにこの声量なのか?
ホールにいる生徒もビックリしてるのを気付けよ?
此処はお前の部屋なのか?
片耳を押さえて、見上げてくるワカメを見下しながら注意してみる。



「だって…名前教えてくれないじゃん!!俺友達なりたい!すんげーイケメン!絶対友達になる!」



「祐…この二人がそんなに気になるのですか?私が居れば良いじゃないですか?」



「俺も居るんだが?コイツは俺のお気に入りだ。幸哉には勿体ねぇよ」



「「俺らだってそうっす!」」



ゴチャゴチャと茶番が繰り広げられる。生徒会に宣言した一年コンビに良く言ったな…と心の中で思う。
タイプは違うのに、一糸乱れなかった。



「うわぁ…何だこれ…この連中キモいな」



「おい…はっきり言い過ぎだ」



和也が愚痴る。そりゃそうだろう…俺のだ私のだとワカメ争奪戦を俺達の前でやっている。



「俺は優しいから皆んなのモノだ!!だから二人も友達なるんだっ!ってかなりたい!!!」



まだ言ってやがる。
ワカメと会話する気もないので、呆れて部屋に帰るかと和也にアイコンタクトしてみる。
和也も分かったらしい一緒に歩き出そうとした。



「ちょ!!!まってくれよ!!」



俺の腕にワカメが抱き付いて来た。
信じられない位の嫌悪感が襲ってくる。


「触んじゃねぇっ!おい…クソガキ。てめぇは何だ?アホか?俺らはお前と友達になるとかねぇんだよ。うるせぇし…常識もねぇアホがっ!」


あっ…口が勝手に…。
ゾクっとして反射的に腕を振り払う。
頭が回らないまま口から出てくる言葉。
あぁ…俺の本心ってこうだったらしい。
俺には関係ないと思っていたが、こうも自分中心でグイグイ来られると流石にキレる。



『ちょっと!!!何アイツ!?皆川様に触った?触ったの!!!??』
『生徒会のお二人も…なんであんなヤツ!』
『食堂でも…ムカつく!僕だって…お近づきになりたいのに!!』



俺が声を荒げるのは珍しい。他の生徒も集まってきた。俺たちの周りは騒然としている。
ワカメ取り巻き連中の一年二人も流石に不味い思ったのか、ワカメを止めに入る。
しかし…ワカメはそんな事など聞いていないようだ。




「なっ!友達になるのに常識なんて要らないだろ!
こんなカッコいいのに友達にならないなんてありえない!!」



抑えてる二人を振り切ってこちらにまた近づいて来ようとする。
一年もっと気合を入れて羽交い締めにしろよ。
それでも暴れでこちらに来る根性が凄い。

もう良いかな?殴っていいよな?殴るのはダメか…蹴るか?俺の思考もオーバーヒート。

ちっ…。隣から舌打ちが聞こえた。



「うぜぇ…ってっ!」



「ぐっあ…」




どうやって殺してやろうかと考えていたら和也が俺の前に立ち、ワカメの腹にドカッと蹴りを入れる。
ぶっ飛んで行ったワカメが地面に伏した。

それを和也は一瞥して…死ね。
と言って俺の腕を取り足早にその場を後にした。
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