全寮制男子校

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「おーー!!ここが食堂か!?めっちゃ広いじゃん!!
やっぱり私立はすげー!!なぁ!甲斐!」


「あぁ。すげーだろ?」


「メニューも沢山あるし。さっ!座ってメニュー選ぼう」



もの凄い大音量で入ってきたのは、一年生だ。俺たち三人も思わず見てしまう。ってか食堂全体の視線を独り占めしていた。


「なんつー元気な一年よ?」


「うるせぇな…」



和也はビックリしてて、翔はキレている。
若干俺も腹減ってるので、煩いのはムカつく。

眼だけで追っていたら…ヤツらも席に座った。
メニュー決めるだけでもうるせぇ。
ってか、あのうるせぇヤツ狙ってやってんのか?何だあの頭は?わかめか?何だあのメガネは?牛乳瓶か?
そいつと一緒に座ってる二人は所詮この学校ではイケメンの部類だろう。アンバランスな組み合わせに他のヤツらも視線を送ってしまう。



「よし!!!おれ!焼肉定食!」


「いいんじゃないかな?」


「俺も一緒にするか」



皆さん聞いてください!って感じのアピールが凄い。
デケェんだよ声が。
翔がスマホ握り潰そうとしてるのを背中を叩いて落ち着かせる。
お返しにギュッとされたが他の生徒はヤツらを見てるのでこっちも気にしない。

ダサいヤツが焼肉定食にしたのは分かった。
隣の爽やかくん。そのワカメの頭を撫でるなよ。
その隣のヤンキー風の男子よ…頬を撫でるなよ。



「俺は何を見てるんだ?」



思わず声に出してしまった。


「剛…気にしないのが一番だぜ。ほらラーメン来たから食おう」


「ちっ…さっさと食って部屋に戻るぞ」



賛成だ。こんなに煩い食事は初めてだった。
少しして三人分の食事が到着したので食べ始める。
ヤツらも少しは落ち着いたのか、気にならなくなった。


その時だった…。



『きたー!!!何でこんな時間にいらっしゃるのー??』
『生徒会の皆様が揃ってらっしゃる!』
『幸哉様ーーー!』
『鳳様ーーー!』
『春樹様ーーー!夏樹様ーー!』
『騰貴様ーーー!』
『こっち向てください!こっち!』


来た。うるさい奴らが…。



「なんか厄日?二人とも顔やべぇって」



和也が心配してくる。俺の食事の時間を邪魔しやがってふざけるな。翔はもう眉間の皺がこれ以上増えない位寄っている。


おい…生徒会の方々が向かってる先おかしくないか?
何でそいつの方に近づいてるんだ?



「祐…先程はどうも。お昼に会おうと思って、皆を連れて来ちゃいました」


「幸哉!?さっきぶりだな!今頼んでるところなんだよ!!一緒に食うか!」


「はい。是非一緒に食べましょう?でもここでは無く、二階に行きませんか?」


「なんでだよ!!ここでも食べれるだろ?動きたくないからこっちで俺は食う!!」



ビックリマークを付けないとコイツは会話できないのか?ってか副会長なんでコイツに話しかけてんだ?蕩けるような顔して。
そしてワカメよ我が強いのか?全く持って譲る気なし。

早く終わってくれよ。入り口ゴチャゴチャして食べ終わっても出れない。
はぁ…ため息が出る。背中を摩ってくれる和也が癒しになって来た。翔…太腿摩るのは止めてくれ。



「分かりました。じゃあこちらで食べましょう。皆さんも良いですね?」



「へぇ?幸哉が可愛い外部生が入学して来たって言っていたが…これか?何だこれは?」



「勝利には関係無い事です。祐の良さは私が知ってれば良いことですから」



「「えー?これの何がイイか分からないー!僕たちは上で食べるよ!じゃあねー」」



「俺も興味がない。上に行かせてもらう」



「ふん!勝手にしなさい。私は祐と食べますから」




俺も分からないから説明ができない。双子会計と寡黙書記は上で飯を食うらしい。
残ったのは会長と副会長だ。どうでも良いが早く席について場を鎮めてくれ。



「お前がお気に入りにする理由が分からねぇ。これの何が良い?」


「なっ!!お前!外見で人を判断するなよ!!心が狭い証拠だぞ!」


「何だと?俺が悪いのか?ムカつくな…。
まぁ良い遊び相手にはなるか…?こっちこいよ」




会長に食って掛かってる一年が腕を引かれて抱き寄せられる。
会長の片手が顎に掛かり上を向かされて、キスされるまでゆっくりと感じた。
もう少しで口が重なる…と、この場にいた全員が思っただろう。しかし、現実は違った。
一年が良い掌底を鳩尾に打ち付けた。


「ぐっ…」


「ふざけるな!俺はおもちゃなんかじゃない!」


「そうか…遊びじゃなきゃ良いのか?じゃあお前が、俺の特別になるか?」


会長鍛えてるな。あの掌底でもう復活してる。
諦めずまた一年を落とそうと近づいてる。



「いい加減にしろ!!!!!」


ドゴンっ!


は?…?



何が起こった?一年が会長を投げ飛ばしたのは分かる。小柄なのに俺より少しデカい位の会長をぶっ飛ばした。俺らのテーブルに…。
マジかよ…。



「おい…てめぇ…」



「おいっ!和也っ!翔を止めるぞ」



「えぇ?無理だって翔の顔!顔!」



テーブルが崩れ去り、残ったラメーンのスープが運悪く翔に掛かる。
俺でもキレるが翔のオーラがヤバい。
こんなにキレてる翔は初めてかもしれない。



「ぐっ…いてぇ!一年が調子乗りやがって!」



「お前が悪いんだ!俺のせいじゃないからな!!!」



テーブルから復活した会長と一年がまだ言い争ってる。副会長と外野の一年二人は蚊帳の外だ。
ん?隣がいない?



「おい!止めろって言っただろっ?」


「無理だって!」



気付いたら、翔が一年にアイアンクローしてた。



「いてぇ!!何すんだ!この野郎!!!」



「うるせぇんだよ。クズ。てめぇの所為で気分最悪だわ。死ぬか?」



「くそ…翔っ…止めろっ!」



翔に追いつき腕を離そうと抱きつく。
未だに一年を睨んでる翔の顔をこっちに向ける。

………。
しばしの沈黙。翔が俺の顔をやっと眼に写した。



「剛…」


「はぁ…何やってんだよ。戻ろうぜ」



やっとこっちを見る。
落ち着いたみたいで良かった。
翔のぶちギレが効いたのか周りは鎮まっていた。

都合が良いと三人で戻ろうかと思っていたら翔にアイアンクローされていたのに、いつの間にか復活した一年が発声良く襲って来た。
頭痛く無かったのか?



「なあ!アンタたちすげーイケメンじゃん!!!俺っ俺!一年で外部入学した芳田祐(ヨシダ ユウ)!良かったら名前教えてくれよ!!」



「は?」



俺は返事してない。
珍しく低い声で返事したのは和也だった。
常識が通用しないのは先程のやり取りで分かっていたが、和也もこのアホのせいで機嫌が悪くなったらしい。




「うぜぇ…一年がタメ語使ってんじゃねぇよ。気分わりぃ…行こうぜ」




人懐っこい和也がこんな態度を取るのは珍しい。
睨まれた一年が少し怯んだ。
和也に促され、歩き出した俺達の後ろでまたもや復活した一年が煩く叫んでるのを後に部屋に戻る。

正直生徒会の連中とか覚えていない。
一年の強烈な印象しかなかった。
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