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「おい!ごう…剛起きろ」
んん?耳元で声が聞こえる。ゆっくりと意識が浮上してきた。
「んっ…ん?」
いつ間にか寝てたらしい。多分式は終わって、和也が俺を起こそうとしてるんだろう。
眠い眼を擦りながら瞼をうっすら開く。
「はっ…えっろ…」
ボーッとする思考の中何か言われた気がするが、脳の中までは届いてこない。ブンと一回頭を振り覚醒させる。
「はぁあ…俺寝てた…?起こしてくれたのか?悪いな和也」
「おっ…おう!式終わったから教室戻ろうぜ?翔も今起こそうと思ってさ」
何故か顔が赤い和也が目の前にいた。そう言えば、翔は何処か?隣を見たらまだ寝てやがる。
今度はコイツを起こさないとか?
「おい…翔起きろ」
肩を揺すってみる。起きる気配がない。頭をペシペシ叩いて、やっと動きを見せてきた。起きるか?と顔を覗き込んでみたら翔の腕が首に回ってきて何か迫ってきた。
「はっ??おい!翔!!」
「んー?あー起きたわ」
は?こいつ今何しやがりましたか?俺たちの周りの生徒も時が止まったように動かない。もちろん和也もビックリしている。
俺もビビってる。翔が起きると思って、近づいたらホールドされて右目の下の泣き黒子に口が当たったような?あれ?寝ぼけですよね?
君ノーマルだよね?
俺のキャラおかしくなってないか。
最初は戸惑って言葉が出てこなかったが、段々イラついてきた。翔のせいで周りは煩いし、和也も戸惑ってワタワタしてる。
「おぃ。テメェ!起きたわ、じゃねえーんだよっ!」
「いってぇ…」
拳骨を打ち込む。座ってるから頭の天辺に。さぞ痛いだろうよ。
「なにすんだよっ!」
「てめぇが俺に…」
「剛!落ち着いて!翔は多分寝ぼけてやっだけだから!」
「寝ぼけると健全な男子にキスすんのか?あ?」
「あぁ?俺そんな事したのか?あー。わりぃ」
素直に謝られるとグッと言葉が詰まってしまう。クソっ…仕方ない。今回は事故だ。
ってか一年一緒にいるが翔の寝起きの顔や雰囲気ってエロい。
ノーマルの俺には関係ないが、流石にチュッとされた時、ドキッとしてしまった自分がいる。
少し悔しい。
「まぁ。今回は事故で許してやるよ。ってか視線が痛いから教室戻ろうぜ」
「おう。すまなかった」
「ふぅ…よかった!早く戻ろうぜ!」
周りの視線に耐えきれず、教室に戻る。
俺たちが去った後、講堂ではノーマルと言われている俺と翔のやりとりを見ていた生徒の話し声が響きまくっていた。
なので俺たちのやり取りが、いろんな方面に知られてしまっていたのは知らなかった。
「はい、今日はこれで終わりです。明日から通常の授業開始だから覚えておいてくださいね。来週の月曜日に一年生の入学式があるので、それまでに係りやら決めていきましょう。はい!解散」
ベテラン先生が予定を言って教室から出て行った。残った生徒が、今がチャンスと和也に話しかけていろんな質問をしているようだ。
和也も顔を引きずってはいるがちゃんと質問に答えているみたいだ。
「剛。昼どうする?」
「んー??今日はこっちの食堂やってないんだよな?でも、あったかい飯が食いたい」
翔に昼を聞かれた。クソ!俺は少しまだ動揺してるってのに本当にムカつく野郎だ。しかし、俺も男だ。もう忘れてやるよ。
こっちの食堂とは学校の中の食堂が今日機能してないので、必然的に寮の食堂に生徒が集まることになる。混むだろうなと考えるが、飯は食いたい。
「和也が話してるから、それ待って少し時間ずらして食べに行くのがベストだな」
「俺もそれでいい」
二人で和也のモテっぷりを見ながら時間が経つのを待っていた。丁度一時過ぎあたりに、クラスメイトに開放された和也がこっちにやってきた。
「遅いぞ。腹減ったから飯行こうぜ」
「うわ…。待ってくれてたのか??サンキュ!俺も腹減ったわ…食堂とか初めてだから案内してくれよ」
「おう。前の学校で食堂とかなかったのか?」
そういえば、前の学校とか聞いてなかったな。寮の食堂に歩きながら教えてもらった。
前は公立の共学で購買しかなかったと。そんな学校俺死んでしまう。
「俺だと死ぬな。飯は癒しだ」
「剛は飯食べるのすげぇ好きなんだな?俺もこの二人と食えるなら毎日楽しいと思う」
「剛の飯食ってる時の顔すげぇからよく見とけよ。和也」
「は?俺は至って普通に食ってるっての」
「そうなのか?翔がそう言うならみるわ」
なんだコイツら。会ってまだ二、三時間でこんなにも仲良く話出来るなんてすごいと思う。
和也の性格もあるだろうが、最初からこの三人で居たような錯覚にもなる。これから楽しくなりそうだ。
「さて、到着だ。時間ずらしてるから大丈夫だと思うが、俺たちが入ったら少し騒がしくなるかもしれない…覚悟しろよ和也」
「あぁ…やっぱり?なんとなく分かった」
物わかりが良くて大変助かる。食堂の扉に手をかけ開く。あれ?俺が想像してたのと違った光景が目の前で起きていた。物凄い静寂が広がっていく。食堂にいる生徒は思ったほどに少ないが、それでも全員がこちらを見ているのが分かる。
「俺の想像と違うんだけど!」
「こんなのは俺も初めてだ。和也が居るからか?」
「お前の存在珍しいだろうしな。とりあえずあいてる席いこうぜ」
突っ立ていても仕方がないので、翔の声かけで空いてる席に座る。
座った途端に時が動いた。
『なにー??あのイケメン!!???』
『皆川様と笹野木様ともう一人のイケメン!!
あっーーーー鼻血出ちゃう!』
『あ!確か友達が言ってたよ!2-Cの外部生!!
お二人と一緒ってことはノーマルなの?』
『いやー!!イケメンでノーマルなんてもったいない!!』
最早怒号だ。
「っ…想像以上だったわ!ってか二人すげぇ人気すぎ!俺なんか巻き込まれじゃね?」
「違うぞ和也。お前がイケメンなんだよ。俺は翔のお陰で慣れてるけど、流石にイケメンが二人だと他の生徒の反応もすごいな」
「いや!絶対剛も入ってるから。無自覚っての怖ぇよ」
「和也、コイツに判らせるのは大変だぞ?俺も何回教えてもダメだった」
んん?耳元で声が聞こえる。ゆっくりと意識が浮上してきた。
「んっ…ん?」
いつ間にか寝てたらしい。多分式は終わって、和也が俺を起こそうとしてるんだろう。
眠い眼を擦りながら瞼をうっすら開く。
「はっ…えっろ…」
ボーッとする思考の中何か言われた気がするが、脳の中までは届いてこない。ブンと一回頭を振り覚醒させる。
「はぁあ…俺寝てた…?起こしてくれたのか?悪いな和也」
「おっ…おう!式終わったから教室戻ろうぜ?翔も今起こそうと思ってさ」
何故か顔が赤い和也が目の前にいた。そう言えば、翔は何処か?隣を見たらまだ寝てやがる。
今度はコイツを起こさないとか?
「おい…翔起きろ」
肩を揺すってみる。起きる気配がない。頭をペシペシ叩いて、やっと動きを見せてきた。起きるか?と顔を覗き込んでみたら翔の腕が首に回ってきて何か迫ってきた。
「はっ??おい!翔!!」
「んー?あー起きたわ」
は?こいつ今何しやがりましたか?俺たちの周りの生徒も時が止まったように動かない。もちろん和也もビックリしている。
俺もビビってる。翔が起きると思って、近づいたらホールドされて右目の下の泣き黒子に口が当たったような?あれ?寝ぼけですよね?
君ノーマルだよね?
俺のキャラおかしくなってないか。
最初は戸惑って言葉が出てこなかったが、段々イラついてきた。翔のせいで周りは煩いし、和也も戸惑ってワタワタしてる。
「おぃ。テメェ!起きたわ、じゃねえーんだよっ!」
「いってぇ…」
拳骨を打ち込む。座ってるから頭の天辺に。さぞ痛いだろうよ。
「なにすんだよっ!」
「てめぇが俺に…」
「剛!落ち着いて!翔は多分寝ぼけてやっだけだから!」
「寝ぼけると健全な男子にキスすんのか?あ?」
「あぁ?俺そんな事したのか?あー。わりぃ」
素直に謝られるとグッと言葉が詰まってしまう。クソっ…仕方ない。今回は事故だ。
ってか一年一緒にいるが翔の寝起きの顔や雰囲気ってエロい。
ノーマルの俺には関係ないが、流石にチュッとされた時、ドキッとしてしまった自分がいる。
少し悔しい。
「まぁ。今回は事故で許してやるよ。ってか視線が痛いから教室戻ろうぜ」
「おう。すまなかった」
「ふぅ…よかった!早く戻ろうぜ!」
周りの視線に耐えきれず、教室に戻る。
俺たちが去った後、講堂ではノーマルと言われている俺と翔のやりとりを見ていた生徒の話し声が響きまくっていた。
なので俺たちのやり取りが、いろんな方面に知られてしまっていたのは知らなかった。
「はい、今日はこれで終わりです。明日から通常の授業開始だから覚えておいてくださいね。来週の月曜日に一年生の入学式があるので、それまでに係りやら決めていきましょう。はい!解散」
ベテラン先生が予定を言って教室から出て行った。残った生徒が、今がチャンスと和也に話しかけていろんな質問をしているようだ。
和也も顔を引きずってはいるがちゃんと質問に答えているみたいだ。
「剛。昼どうする?」
「んー??今日はこっちの食堂やってないんだよな?でも、あったかい飯が食いたい」
翔に昼を聞かれた。クソ!俺は少しまだ動揺してるってのに本当にムカつく野郎だ。しかし、俺も男だ。もう忘れてやるよ。
こっちの食堂とは学校の中の食堂が今日機能してないので、必然的に寮の食堂に生徒が集まることになる。混むだろうなと考えるが、飯は食いたい。
「和也が話してるから、それ待って少し時間ずらして食べに行くのがベストだな」
「俺もそれでいい」
二人で和也のモテっぷりを見ながら時間が経つのを待っていた。丁度一時過ぎあたりに、クラスメイトに開放された和也がこっちにやってきた。
「遅いぞ。腹減ったから飯行こうぜ」
「うわ…。待ってくれてたのか??サンキュ!俺も腹減ったわ…食堂とか初めてだから案内してくれよ」
「おう。前の学校で食堂とかなかったのか?」
そういえば、前の学校とか聞いてなかったな。寮の食堂に歩きながら教えてもらった。
前は公立の共学で購買しかなかったと。そんな学校俺死んでしまう。
「俺だと死ぬな。飯は癒しだ」
「剛は飯食べるのすげぇ好きなんだな?俺もこの二人と食えるなら毎日楽しいと思う」
「剛の飯食ってる時の顔すげぇからよく見とけよ。和也」
「は?俺は至って普通に食ってるっての」
「そうなのか?翔がそう言うならみるわ」
なんだコイツら。会ってまだ二、三時間でこんなにも仲良く話出来るなんてすごいと思う。
和也の性格もあるだろうが、最初からこの三人で居たような錯覚にもなる。これから楽しくなりそうだ。
「さて、到着だ。時間ずらしてるから大丈夫だと思うが、俺たちが入ったら少し騒がしくなるかもしれない…覚悟しろよ和也」
「あぁ…やっぱり?なんとなく分かった」
物わかりが良くて大変助かる。食堂の扉に手をかけ開く。あれ?俺が想像してたのと違った光景が目の前で起きていた。物凄い静寂が広がっていく。食堂にいる生徒は思ったほどに少ないが、それでも全員がこちらを見ているのが分かる。
「俺の想像と違うんだけど!」
「こんなのは俺も初めてだ。和也が居るからか?」
「お前の存在珍しいだろうしな。とりあえずあいてる席いこうぜ」
突っ立ていても仕方がないので、翔の声かけで空いてる席に座る。
座った途端に時が動いた。
『なにー??あのイケメン!!???』
『皆川様と笹野木様ともう一人のイケメン!!
あっーーーー鼻血出ちゃう!』
『あ!確か友達が言ってたよ!2-Cの外部生!!
お二人と一緒ってことはノーマルなの?』
『いやー!!イケメンでノーマルなんてもったいない!!』
最早怒号だ。
「っ…想像以上だったわ!ってか二人すげぇ人気すぎ!俺なんか巻き込まれじゃね?」
「違うぞ和也。お前がイケメンなんだよ。俺は翔のお陰で慣れてるけど、流石にイケメンが二人だと他の生徒の反応もすごいな」
「いや!絶対剛も入ってるから。無自覚っての怖ぇよ」
「和也、コイツに判らせるのは大変だぞ?俺も何回教えてもダメだった」
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