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第三十三話 愛 ※※※

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「こっちにおいで」

ケイレブはルシアナを膝に抱き上げた。
そして、肉の柔らかいところをとりわけ、手にとった。

ルシアナが小さなピンク色の唇を無防備に開くと、ケイレブはその誘惑を見ないようにして、小さな肉を食べさせた。
妻はまだ無邪気すぎて、自分のしていることが分かっていないのか、それとも、誘惑しているのか・・・
目に笑みを浮かべ、もぐもぐと肉を頬張るルシアナをみて、ケイレブはいたずらごころを起こした。
唇や頬、そして時には口の中まで愛撫するように触れてみる。
ケイレブの誘いに気づいたルシアナは、居心地悪そうにモゾモゾと尻を動かした。無自覚に誘惑して、柔らかい尻の感触をケイレブがどう思うと思っているのか。
ケイレブはさり気なく、ルシアナの尻に自分の分身を押し付けた。
ルシアナははっとしたようにケイレブを見ると、全身が真っ赤に染まった。
ケイレブの意図を悟ったらしい。

ルシアナの心臓はどきどきし、体がぽかぽかと熱くなり始めた。
ふたりが交わったのは、初夜の一度だけだった。その後、ルシアナはさらわれ、奪還されたものの、領地へ向かう道のりはずっと野宿で、テントすらなかった。毎夜ケイレブの腕の中に守られて眠ったが、それ以上のことはなかった。たまに騎士たち前でキスされることはあったけど、それもごく軽く。
むしろ、キスが深くなることを避けられていた。ルシアナがもっとしてほしいと体を寄せると、ケイレブはだめだと首を振ってルシアナを遠ざけた。
それなのに・・・
ケイレブの今にも取って食いたいといいたげな、欲望でけぶった瞳にぼうっとなり、周りのことがどうでもよくなってしまう。

「私も・・・」

そう言ってケイレブの口に肉を運ぶと、ケイレブはルシアナの手を取り、指一本ずつたれた肉汁を舐め始めた。
指の間の敏感なところを舐められるとゾクゾクする。
しかも、ルシアナのももの下の熱いものは、ますます熱く大きくなってきた。
これは、この間の夜見た、「あれ」だ・・・
体中に細かなふるえがはしる。あのとき、痛かったのに、なぜまたしたいんだろう。自分の中にある欲求に戸惑いながらケイレブを見つめる。もっと、もっと近づきたい。いたくてもいいから、ひとつになりたい。
ルシアナの目の色が深くなり、魅せられたようにケイレブをみると、ケイレブがルシアナを横抱きにして勢いよく立ち上がった。

「じゃあな!お前たち!邪魔するなよ!!」
「遅すぎたぐらいですよ!」「ヒューヒュー!」
騎士たちが冷やかして指笛を鳴らした。
皆、自分たちがこれからなにをするのかを知っている・・・ルシアナの頬は真っ赤に上気した。
顔をケイレブの肩に埋めたが、耳たぶも首筋までもが赤く染まっている。

ケイレブはルシアナを抱いたまま、大股で領主の部屋まで駆け上がり、扉を足で蹴った。
「ルシアナ」
ルシアナを部屋の扉に押し付け、一言だけ言うと、熱い唇がルシアナの唇をおおい、同時に舌が侵入してきた。
感情が爆発しそうだ。
ルシアナはケイレブの首にしがみつき、必死で舌をからみつかせた。
熱い舌、熱いからだ。ルシアナを全身で求めるケイレブにぞくぞくと震えた。

「ルシアナ、ルシアナ・・・ああ、なんていい匂いなんだ。お前の体に触れたくて、気が狂いそうだった」
「ケイレブ・・・私も」

ルシアナはケイレブの首筋に指を這わせ、ケイレブはルシアナの服をもどかしげにむしり取った。

「ああ、ごめん、ルシアナ。お前は慣れていないのに・・・早くお前の中に入りたい・・・」

ケイレブがルシアナの全身を荒っぽく愛撫すると、まるで愛してると言われているような気分になる。体中がとろけ出し、足に力が入らなくなった。

「ケイレブ・・・私も・・・あなたに早く抱かれたい」

ルシアナの声を聞いた途端、ケイレブはひくくうめき、ルシアナの片足を持つと、やわらかく湿った体の中心に熱い塊を押し付け、ぐいっと中に侵入してきた。
ちいさな痛み。でも、それ以上の快感にルシアナは喘ぎ声を上げた。

「ああっ。ケイレブ。すき・・・」

今まで経験したことのない快感が体中を走り抜け、もっともっとと望みたくなる。
なぜ返ってきたと思えるんだろう。いま、ここにいることが絶対的な正義に思える。
これ以上正しいことなんてない。ただ、ケイレブとひとつになり、同じ快感を感じていることが夢のようだ。

しかも、立ったまま交わるなんて・・・背徳と快感にどうにかなってしまいそうだ。いつから、そんなことができるようになったんだろう。ケイレブが荒っぽく腰を動かし、ルシアナは悲鳴のような嬌声を上げた。
体の奥底までケイレブが侵入し、全身に甘いうずきが広がっていく。血がどくどくとうねり、ルシアナのなかもケイレブをぎゅうぎゅうと締め付ける。激しい動きに頭の中が真っ白になり、自分を見失いそうで恐ろしくなり、ケイレブにしがみついた。

「ルシアナ・・・俺の、俺のものだ」

ケイレブは熱く湿っぽいルシアナのなかに包まれ、根本まで自分を押し込んだ。初めての夜は戸惑いもあったが、今、ルシアナの体は間違いなく快感を拾っている。ルシアナはかすれた嬌声をあげ、ねだるように腰を押し付けてきた。
はあはあと熱い息を交わし、舌を求め合いながら、快感だけを追っていく。体の奥に甘いうずきが広がり、全身が生まれ変わったように感じる。ときおり、このままどこかに放りだされてしまうのかもと不安になり、足をからめ、ケイレブにしがみつく。ケイレブの背中のもリ上がった筋肉は汗ばみ、ルシアナを強く突き上げ、ますます正気を失わせた。
動きは速さと激しさを増し、ルシアナが震える叫び声を上げると、ケイレブもうめき、ルシアナの中に情熱をほとばしらせた。
ケイレブはぐったりしたルシアナを抱きとめ、ふたり一緒に藁布団のうえに崩れ落ちた。

まだ分身はルシアナの中にあり、そのままの体勢でふたりは見つめ合った。

「ルシアナ、愛してる」

ケイレブがそう言ってルシアナの鼻に自分の鼻をこすり合わせた。
言いようのないうれしさがルシアナのなかにあふれた。世界がバラ色に染まって見える。

「持参金がなくても?」つい、からかうようなことを言ってしまう。
「そんなのいらないよ。個人資産がなくて心配なら、お前の名義の荘園でも与えようか?」
「ふふふ、うれしい」

胸が踊り、思わず言った言葉は荘園がもらえてうれしいと言ったように聞こえる。

「荘園がうれしいんじゃなくって・・・私自身を愛してくださったのがうれしい、って意味ですからね?」

念のためつげると、ケイレブはうれしそうに笑った。

「荘園はもちろん与えよう。俺はそれ以上のものをもらっているからな。まさか、お前を娶れる日が来るとは思わなかった」
「そういえば、かなり前に国王陛下に私と結婚したいって申し出たって、本当ですの?」
「え、なんでそれを・・・」

ケイレブが動揺し、視線をさまよわせた。

「その、な。まあ、一目惚れっていうのかな。お前をひと目見たとき、俺のために生まれてきた女だって分かったよ。他の女には一度もそんなこと思ったことない。何としても手に入れたかったけど、なかなか王家は首を縦に振らなかったな」
「まあ、本当?」
「なにより・・・お前には好きな男がいると思っていたから・・・」
「誰?」
「え?そりゃ、王太子じゃないのか」
「・・・ああ。すっかり忘れていました」
ルシアナはつながったままの足を広げ、背中に足をからみつかせた。
「こんなことしているときに・・・無粋ですよ?」
「ああ、ルシアナ・・・お前、どこでこんなこと覚えたんだ?」

ケイレブが苦しげにうめき、ルシアナの中でむくっと分身が大きくなった。
「さあ?あなたしか知らないから、わからないわ」

ケイレブがルシアナのなかをまたゆっくりと動き始める。
ルシアナの体を探るような動きに、即時に応え、潤いがあふれ出し、包みこんだ。

はあはあと荒い息が交わり、ケイレブの硬い分身に突かれて、快感の波が止まらない。おかしくなりそうなほど声が上がる。
ケイレブの動きが速くなり、荒い息とともに熱い飛沫がルシアナの中にほとばしった。

(ああ、どうか、跡取りを授かりますように)

この人を喜ばせたい。ただ、それだけを願った。



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