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第二十二話 火事
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どんどんどん!
誰かが勢いよく部屋のドアをノックしている。
「若殿!大変です!起きてください!」
どんどんどん!木の扉は今にも壊れそうなほどきしんでいる。
「若殿!」
尋常ではない叫び声に、ケイレブは跳ね起きた。
手練れの戦士であるケイレブは、何年間もぐっすり眠ったことなどなかったのに。
だが、ルシアナを抱きしめて眠った時間は、考えられないほど深く眠り込んでしまった。
「若殿!起きてくださいよ!」懇願の混じったその声にケイレブは勢いよくドアを開けた。
「何事だ!」
初夜の翌朝、主を叩き起こすなど、あり得ないことだ。
しかも声の主は長年ケイレブに仕え、友人でもあるビルだ。
ビルの髪も服もあちこちが焼け焦げ、全身がすすで汚れていた。
「火事です。すぐに来てください。厩舎が燃えています。俺達は必死で馬を逃がしましたが、何頭かは焼けてしまいました。助けに入った馬丁も・・・」
ケイレブは慌ててチュニックとズボンを身にまとうと、部屋を駆け出した。
(なぜ、気づかなかったんだ。こんなことありえない。しかも、厩舎が火事など。火には注意していたはずだ。なにより、種馬は無事なのか?)
ケイレブの末弟は、辺境で馬を育てて軍馬の産地にしようと、城と同じぐらいの対価を払って種馬を仕入れたばかりだった。耳をすませば、遠くから喧騒が聞こえてくる。
厩舎までの距離がこんなに遠いと思ったことはない。
城の中庭にたどり着くと、厩舎はごうごうと勢いよく燃えていた。
梁から火が吹き出し、石壁を炎が舐めている。
もうもうと黒い煙が天に向かい、悲鳴やバキバキと燃えた木が崩れる音が響き渡っている。
男たちは必死で水をかけているが、強い火のいきおいに人間の力はあまりにも無力だった。
中庭の端には、恐怖に目を丸め立ちすくむ男やボロ切れの塊を抱えて涙を流す女がいる。
大声で泣き叫び火の中に飛び込もうとする女を男が三人がかりで押さえつけていた。
救いきれなかった馬たちのいななきが状況の悲惨さに拍車をかけている。
(厩舎はもうだめだ。延焼を食い止めることが第一だ)
ケイレブは瞬時に判断を下し、大きな声で指示した。
「厩舎はあきらめろ!燃え尽くすまで待つしかない。とにかく、これ以上広がらないようにしろ。燃えやすいものは、火から離せ。燃えていないところに水をかけろ。男たちは水を運ぶ係と水を掛ける係と燃えやすいものを運ぶ係の三手に分かれるんだ」
そこにいた全員が手を止めてケイレブの言葉に耳を傾けた。
「おまえたち!女は子どもを連れて外に出ろ!持てるものは持っていけ。だが、欲張るな。
ビル!お前は消火を指揮しろ、とにかく、被害は厩舎だけに抑えるんだ。
スリッカー!お前は周りを監視しろ。周りのものを片付けたり、邪魔者が入ってこないように整理しろ。
ルーカス!お前は遠くから水を調達してくる兵士を指揮しろ。皆、持ち場につけ!こういうときこそ冷静になれ!」
指揮官の登場で、皆の動きが急にてきぱきとしたものに変わった。
「とにかく、水だ!水を持って来い!」
ケイレブは自分も消火活動に加わり、兵士たちと一緒に城壁に水をかけた。
火はあざ笑うかのように高く舞い、ごうごうと吠えながら、ぱちぱちと火の粉を飛ばした。
********************
懸命な消火活動の結果、火事は昼前に消し止められた。
馬が十頭、馬丁が2人、そして厩舎の上に住んでいた馬丁の赤ん坊が死んだ。
火に飛び込もうと泣き叫んでいた女のこどもだった。
一番貴重な種馬は、三男のオーブリーが命がけで救出し、さらに馬丁たちの活躍で十頭以上の馬が生き延びたが、大惨事になった。
皆疲れ果て、びしょぬれの石畳の上に座り込んでいる。
女や料理人が食べ物とあたたかいスープをせっせと配っていた。
「なぜ火が出たんだ?」
ケイレブは原因をさぐるため、馬丁たちを集め、尋ねた。
皆、首を振り目を見合わせるばかりだったが、馬丁頭が一歩前に進み出た。
「それが・・・わからないんで。厩舎は燃えやすいものばかりですから、ろうそくもランプも使うときにはものすごく気をつけていました。ただ、気がついたときには干し草が燃え上がっていて・・・」
「でもおれ・・・」
体中すすでまっくろになった少年がつぶやいた。
「なんだ?」馬丁頭がどすの利いた声で聞き返すと、少年は身をすくめ縮こまった。
「前に来い」
ケイレブが呼ぶと、馬丁頭が少年の腕を強く引き、頭を抑えつけた。
「なにを見たのか若殿に申し上げろ」
「は、はい」少年は幼い顔を上げた。「あ、あの。俺は朝一番早く起きて馬たちに水と干し草が足りているか確認しています。で、今朝妙に身なりのいい男の人がいたので、不思議に思ったんです。そんなことは奉公に上がってから一度もありませんでしたから」
「身なりの良いとは?どんな服を着ていたんだ?」
「俺・・・よくわかりません。でも、俺達とはちがう服です。貴族の・・・」
「おい!もっときちんと申し上げろ!」馬丁頭が少年の頭を押さえつけた。
「でも、暗くて・・・とにかく身なりのいい人がいるなと思っただけなんです」
少年は半泣きになっていた。
「やめろ、放してやれ。むしろ、よく伝えてくれた。礼を言う」
ケイレブの言葉に馬丁頭はあわてて少年の首を押さえていた手を放した。
(身なりのいい男・・・まさか)
「おい、馬丁頭。この厩舎に馬を預けていなかったのは誰だ?」
「え?客人で、ということですか?」
「ジェフリーは?王家の使者は、どこに馬を預けていた?」
馬丁はぽかんと口をあけた。
「おい、どうなんだ」ビルが馬丁頭に聞いた。「王家の使者の馬はどこだ?」
「あ、あの・・・普段ならこちらにお預かりするんですが、使者様は城門近くに馬房を用意しろとおっしゃいまして・・・」
「なんだと?そこは一時的な馬溜まりだろう?」
「そうなんですが、偉い方にそう言われてはお断りできないので。領主様の馬のために小さな馬房がありますので、そこで馬をお預かりしていました。御者がいるので世話も不要だと」
「・・・最初からか?」ケイレブが周りが震え上がるほどの低い声で尋ねた。
いまや全員が話のなりゆきを理解していた。
「まさか、ジェフリー様が火をつけたっていうのか?」ビルが尋ねると、ケイレブの眉の間に深いしわがよった。
「いや・・・多分、従者だろう。だが、誰がやったかの問題じゃない。命令したのは、ジェフリーだろう」
「うそだろう?なんでそんなことを?」
「・・・ルシアナだ」
「え?」
「おい、馬丁頭!預かった馬はどこだ?」
「は、はい、ただいますぐに確認してまいります!」馬丁頭の指示で、馬丁がひとり転がるように駆け出していった。
「部屋に戻る」ケイレブはもう走り出していた。
「若殿?!」
「ビル!あとは任せた!頼んだぞ!」
消火で疲れ果てていたはずなのに、頭にあったのはルシアナのことだけだった。
腕の中でぐっすりと眠っていたルシアナ。
火事の知らせがあったときは、まだ深い眠りの中だった。
城の狭い階段を駆け上がり、部屋のドアを勢いよく開く。
予想通り、そこはもぬけの空だった。
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「若殿!大変です!起きてください!」
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「若殿!」
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ケイレブは慌ててチュニックとズボンを身にまとうと、部屋を駆け出した。
(なぜ、気づかなかったんだ。こんなことありえない。しかも、厩舎が火事など。火には注意していたはずだ。なにより、種馬は無事なのか?)
ケイレブの末弟は、辺境で馬を育てて軍馬の産地にしようと、城と同じぐらいの対価を払って種馬を仕入れたばかりだった。耳をすませば、遠くから喧騒が聞こえてくる。
厩舎までの距離がこんなに遠いと思ったことはない。
城の中庭にたどり着くと、厩舎はごうごうと勢いよく燃えていた。
梁から火が吹き出し、石壁を炎が舐めている。
もうもうと黒い煙が天に向かい、悲鳴やバキバキと燃えた木が崩れる音が響き渡っている。
男たちは必死で水をかけているが、強い火のいきおいに人間の力はあまりにも無力だった。
中庭の端には、恐怖に目を丸め立ちすくむ男やボロ切れの塊を抱えて涙を流す女がいる。
大声で泣き叫び火の中に飛び込もうとする女を男が三人がかりで押さえつけていた。
救いきれなかった馬たちのいななきが状況の悲惨さに拍車をかけている。
(厩舎はもうだめだ。延焼を食い止めることが第一だ)
ケイレブは瞬時に判断を下し、大きな声で指示した。
「厩舎はあきらめろ!燃え尽くすまで待つしかない。とにかく、これ以上広がらないようにしろ。燃えやすいものは、火から離せ。燃えていないところに水をかけろ。男たちは水を運ぶ係と水を掛ける係と燃えやすいものを運ぶ係の三手に分かれるんだ」
そこにいた全員が手を止めてケイレブの言葉に耳を傾けた。
「おまえたち!女は子どもを連れて外に出ろ!持てるものは持っていけ。だが、欲張るな。
ビル!お前は消火を指揮しろ、とにかく、被害は厩舎だけに抑えるんだ。
スリッカー!お前は周りを監視しろ。周りのものを片付けたり、邪魔者が入ってこないように整理しろ。
ルーカス!お前は遠くから水を調達してくる兵士を指揮しろ。皆、持ち場につけ!こういうときこそ冷静になれ!」
指揮官の登場で、皆の動きが急にてきぱきとしたものに変わった。
「とにかく、水だ!水を持って来い!」
ケイレブは自分も消火活動に加わり、兵士たちと一緒に城壁に水をかけた。
火はあざ笑うかのように高く舞い、ごうごうと吠えながら、ぱちぱちと火の粉を飛ばした。
********************
懸命な消火活動の結果、火事は昼前に消し止められた。
馬が十頭、馬丁が2人、そして厩舎の上に住んでいた馬丁の赤ん坊が死んだ。
火に飛び込もうと泣き叫んでいた女のこどもだった。
一番貴重な種馬は、三男のオーブリーが命がけで救出し、さらに馬丁たちの活躍で十頭以上の馬が生き延びたが、大惨事になった。
皆疲れ果て、びしょぬれの石畳の上に座り込んでいる。
女や料理人が食べ物とあたたかいスープをせっせと配っていた。
「なぜ火が出たんだ?」
ケイレブは原因をさぐるため、馬丁たちを集め、尋ねた。
皆、首を振り目を見合わせるばかりだったが、馬丁頭が一歩前に進み出た。
「それが・・・わからないんで。厩舎は燃えやすいものばかりですから、ろうそくもランプも使うときにはものすごく気をつけていました。ただ、気がついたときには干し草が燃え上がっていて・・・」
「でもおれ・・・」
体中すすでまっくろになった少年がつぶやいた。
「なんだ?」馬丁頭がどすの利いた声で聞き返すと、少年は身をすくめ縮こまった。
「前に来い」
ケイレブが呼ぶと、馬丁頭が少年の腕を強く引き、頭を抑えつけた。
「なにを見たのか若殿に申し上げろ」
「は、はい」少年は幼い顔を上げた。「あ、あの。俺は朝一番早く起きて馬たちに水と干し草が足りているか確認しています。で、今朝妙に身なりのいい男の人がいたので、不思議に思ったんです。そんなことは奉公に上がってから一度もありませんでしたから」
「身なりの良いとは?どんな服を着ていたんだ?」
「俺・・・よくわかりません。でも、俺達とはちがう服です。貴族の・・・」
「おい!もっときちんと申し上げろ!」馬丁頭が少年の頭を押さえつけた。
「でも、暗くて・・・とにかく身なりのいい人がいるなと思っただけなんです」
少年は半泣きになっていた。
「やめろ、放してやれ。むしろ、よく伝えてくれた。礼を言う」
ケイレブの言葉に馬丁頭はあわてて少年の首を押さえていた手を放した。
(身なりのいい男・・・まさか)
「おい、馬丁頭。この厩舎に馬を預けていなかったのは誰だ?」
「え?客人で、ということですか?」
「ジェフリーは?王家の使者は、どこに馬を預けていた?」
馬丁はぽかんと口をあけた。
「おい、どうなんだ」ビルが馬丁頭に聞いた。「王家の使者の馬はどこだ?」
「あ、あの・・・普段ならこちらにお預かりするんですが、使者様は城門近くに馬房を用意しろとおっしゃいまして・・・」
「なんだと?そこは一時的な馬溜まりだろう?」
「そうなんですが、偉い方にそう言われてはお断りできないので。領主様の馬のために小さな馬房がありますので、そこで馬をお預かりしていました。御者がいるので世話も不要だと」
「・・・最初からか?」ケイレブが周りが震え上がるほどの低い声で尋ねた。
いまや全員が話のなりゆきを理解していた。
「まさか、ジェフリー様が火をつけたっていうのか?」ビルが尋ねると、ケイレブの眉の間に深いしわがよった。
「いや・・・多分、従者だろう。だが、誰がやったかの問題じゃない。命令したのは、ジェフリーだろう」
「うそだろう?なんでそんなことを?」
「・・・ルシアナだ」
「え?」
「おい、馬丁頭!預かった馬はどこだ?」
「は、はい、ただいますぐに確認してまいります!」馬丁頭の指示で、馬丁がひとり転がるように駆け出していった。
「部屋に戻る」ケイレブはもう走り出していた。
「若殿?!」
「ビル!あとは任せた!頼んだぞ!」
消火で疲れ果てていたはずなのに、頭にあったのはルシアナのことだけだった。
腕の中でぐっすりと眠っていたルシアナ。
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