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第二十話 本物の結婚 ※※

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ふと目を覚ますと、まだ深夜だった。
こんな環境でよく眠れたと、自分に驚いてしまう。
よく知らない男性と二人で、しかもいくら上掛けごしとはいえ、同じベッドで・・・
多分、突然の結婚とそれに続く一連の騒動に疲れていたんだろう。
でも、頭はすっきりと冴え、もう眠れそうにないのは分かっていた。

ケイレブが寝ていた方をみると、暗闇の中、じっと見つめる彼と目が合った。
ろうそくの灯りがたくましい肩と顎のラインを照らしている。
彼も目が覚めてしまったらしい。いつから?
もしかして、辺境の方は早起きなのかしら。
使用人たちが働く声は聞こえないし、気配も感じられない。でも・・・

「もしかして、私寝坊しましたか?」
「まだ、早い。もう一眠りしたらどうだ?」ケイレブの声はやさしかった。
「でも、目が覚めてしまって・・・」

はっと気がつく。まさか、寝顔を見られてしまったのでは?みっともない寝顔だったらどうしよう。

「あ、あの。私の寝顔・・・」
「ん?見たよ。どれほど見ても飽きないな。あんたは、これまで俺が会った中で、一番美しい女だよ」

ストレートなほめ言葉に、かっと頬が熱くなった。
美しいとはさんざん言われてきたれど、社交辞令と受け流してきた。でも、ケイレブの言葉を信じてしまいそうな自分に、怖気付いてしまう。

「そんなわけ・・・」
「美しい、だなんてな。そんな言葉あんたに会うまで、使ったこともない」
ケイレブがルシアナの額にかかる髪をなでつけた。

ケイレブがじっと見つめる目に吸い込まれてしまいそうだ。優しくて、まるで愛しいとでも言っているような瞳。
ルシアナがケイレブに近づき、腕の筋肉を撫でると、ケイレブが小さくうめいてルシアナを抱きしめた。
ケイレブの腕の中はここちいい。
ひとつになって溶けてしまいそう。でも、互いの心臓の音を聞きながら、相手の体温に身を任せる体験は、これまで感じたことがないほど、気持ちがよかった。

「あなたは、私に魔法をかけたの?」
「それを言うなら、俺だってとっくに魔法にかかってる」
「だって、こんなこと感じたことないんだもの。あなたのそばにいると、もっと近づきたくて・・・触れたくなる」
「・・・ルシアナ」

ケイレブが喉の奥で唸るような声を漏らし、熱い唇をルシアナの唇に押し付けた。
意外なほど柔らかい唇と熱い舌先に唇を刺激され、ルシアナの唇からため息がもれた。

「私・・・キスは好きだわ」
「俺の?」
「あなたとしかしたことないもの」
「ははは」
「馬鹿ね」

この人は、もしかして単純なのかしら。身を任せれば喜んで、意地を張れば悔しがる。そうね、素直な方が楽なのかもしれない。

「ねえ、もっとキスして?」

ケイレブの唇が、ルシアナの唇にぴったりとあわさり、体中の血が勢いよく巡りだした。体の底からの欲求がふきだし、どうにかなってしまいそうだ。ため息をついて唇をはなすと、ルシアナを抱く腕の力がぎゅっと強まった。

「あの・・・」
この先はどうなるの?
そう聞ければ、楽だろう。でも、そんなこと聞けっこない。

ルシアナはねだるように唇を開け、ケイレブのキスを受け入れやすいように体の力を抜いた。
「ルシアナ・・・ルシアナ・・・ルシアナ・・・」
ケイレブは何度も角度を変えて、ルシアナの口の中を優しくまさぐった。体中にさざなみのような快感が広がっていく。それなのに、お腹の奥が熱い。体の奥から湧き上がる渇望がなんなのか、経験のないルシアナにはわからなかった。

ケイレブの唇がルシアナののどに触れ、優しく愛撫しながら胸元へと下がっていく。
なぜか、こわくない。もっと、触れてほしい。ケイレブの太い指が繊細なリボンを器用にほどき、ルシアナの胸にひやりと空気がふれた。

「ああ、なんてきれいなんだ。ルシアナ」

ケイレブはルシアナの胸の敏感な突起を舌と指先で愛撫し、全身に稲妻のような快感が走り抜けた。じんじんと足の間は痛み、不安になるほど熱くなっていく。
ただ、やめてほしくはなかった。

手を伸ばしてケイレブの頬に触れると、ケイレブは唇を寄せ、ルシアナの目をのぞき込んだ。

「怖くないか?」
「怖くないわ」
「・・・このまま、進んでもいいのか?いやなら」
「いいの」

ルシアナはケイレブの本当の妻になりたかった。
やりかたはわからない。でも、このまま身を任せることが、その方法なのだ。
”すべて旦那様のなさるとおりに”

いまこそ、自分の本当の気持ちがわかる。なにを考えているのかわからないところもあるけれど、この人はいつも私を助けて優しくしてくれた。そんな人は他にはいない。

「私をあなたの妻にして」
「仰せのままに」

冗談じみた口調とは正反対の真剣な瞳でケイレブがルシアナに口づけた。

「優しくするよ。できる限り」
「ええ、お願い」

自分からいいだしたことなのに、気がつくと体中が小刻みにふるえていた。
この先に進みたい。でも、本能的なおそれも感じていた。
ケイレブは一度ルシアナの身体から離れると、ガウンと下履きを脱いだ。
その体の中央にあるものを見たとき、ルシアナは目を見張った。

「そ、それはなに?」
「・・・知らないのか?」

ルシアナは大きくうなずいた。見たことも聞いたこともない。

「これは・・・男の陽物だ。これを、女の中に入れて腹の中に種を蒔くと、子ができる」
「まさか」

ケイレブは面白そうに目を光らせた。

「じゃあ、どうやって子どもを作るんだ?」
「・・・神父様にお願いして・・・」
「おいおい、教会では子どもは売ってないぞ」
「そんな意味じゃ・・・」

ルシアナは呆然としてケイレブの陽物と自分の腹を見比べた。

「まあ、なんてこと・・・でも、私・・・あなたのそれ・・・大きすぎるんじゃないの?」
「ははは」

ケイレブは頭をのけぞらせて笑った。

「お褒めいただき、光栄に存じます、奥様。だが、女の身体からは赤ん坊が生まれるんだぞ?赤ん坊の頭が通り抜けることができるんだ。当然、このぐらい入るさ」

信じられない。
キスはあんなに気持ちが良かったのに、ケイレブはなんて恐ろしいことを言うんだろう。そういえば、メイドたちがヒソヒソと話していたことがあった。

「い・・・痛いんじゃないの?身体が真っ二つになるほど痛いって・・・」
「へえ?お嬢様もそんな噂は聞いたことあるんだ」

もはやケイレブは完全に面白がっていた。
だが、ルシアナには夫婦の営みのためには耐えてもらわなければならない。

「まあ、最初は痛いらしい。でも、そのうち回数をこなせば気持ちが良くなるものらしいぞ?」
「か、かいすぅ?」

ケイレブは、戸惑っているルシアナからガウンと夜着を脱がせた。
うれしそうに鼻歌まで歌っている。

「な、なんで・・・」
「ベッドでは旦那様のなさるままにじゃないのか?」
「どうしてそれを」
「まさか、本当にそんなことを言われている令嬢がいるとはね。俺達の娘には、きちんと教えてやろうな?」
「えええ?」

どうしたらいいのかわからないでいる間に、足を開かされ、自分では意識しこともない場所に、オイルで濡らした指を挿れられた。

「緊張するな。お前が本当に嫌ならやめる。だけど、夫婦になるためには、ここを緩めてあげないと、俺のは入らないんだ」
「は、はいらない・・・?」

だ、だんなさまのなさることって・・・こんなこと?
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