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49 【番外編3】お久しぶりの再会 2
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「はっはっは、遠慮することはないぞ。妊婦をいつまでも立たせておくわけにはいかん。見るからに丸くなって腹も重そうだしな。まあ、そこに座れ」
レイモンドが自分の向かいのソファーを指差した。
「なんなら、ここでもいいぞ?」隣の座面をまた叩く。
まあ、隣よりはと向かいに座ると、レイモンドは踏ん反り返って茶を飲んだ。
「なかなか、居心地のいい家ではないか」
いや、招待してないんだけど、なんでそんなに偉そうなんだよ。
俺が黙ってレイモンドを見ていると、レイモンドはカラカラと笑い出した。
「ははは、そのような熱い瞳で元婚約者を見るものではないぞ。うっかり過ちを犯してしまったら、どうするのだ。私はいいが、お前は既婚者だろうが。はっはっは」
おい、おい、何言ってんだよ。
「で?」
俺は不機嫌に返した。
「何しに来たんだよ」
「ふーーーん?」
レイモンドが俺をジロジロ見ながら、ニヤニヤと笑っている。
「どうしたんだ、ルーリク。私と別れてから言葉遣いが随分と荒くなったようだな。まあ、それも悪くはないが」
はっ!!しまった。
この数ヶ月、家族とクラウスとしか会わなかったから、すっかり忘れてた!!
「ご、ごほん。いえ、そんなことはございません。すこし・・・その、妊娠のせいか気が立っておりまして・・・」
「ほう?」
レイモンドは相変わらずニヤニヤしている。
だいたいおかしいだろうよ。なんで俺が追い込まれてるような気分にならなきゃいけないんだよ。呼んでないぞ、おい。
「本日、主人は仕事で不在にしておりますので・・・またの機会においでくださいませ」
「まあ、そう言うな。せっかくの休みに可愛い弟に会いに来たのだ。不在で残念ではあるが・・・ここは致し方あるまい。伴侶のお前が私の相手をするがよい」
なんでだよ。
「いえいえ、私のような者が尊い殿下のお相手など、とても勤まりませぬ。そういえば・・・命を狙われているとおっしゃっていたような?」
「そんなこと言ったか?」
「言いましたよ」
「んーーー?というか命の危険が迫っているとは言ったかも知れん」
「あー、そうだったかも知れませんね」ぶっちゃけ、どうでもいい。
「この離宮では、殿下の御身をお守りすることはできません。私は非力な孕み腹ですし、警備も薄く・・・」
「まあ、それは良い」
いーーーんかーーーい!
「まあ、命の危険というのは大げさかも知れんが。実はな、その、まあ、お前に言うのもなんだが」
レイモンドが恥ずかしげにちらっと俺を見た。
「その、まあ、今付き合っている相手がいるのだ」
「はあ?」だから?俺になんの関係が?
「それでだ。ちょっとあっちの方が強すぎるのだ」
「あっち?」
思わずおうむ返しをしてしまう。
一体なんの話?しかも何、俺、元婚約者に恋バナ聞かされてるってこと?えええ?
なんで?なんの罰ゲーム?
別にレイモンドにはこれぽっちも興味ないけど、ちょっと元婚約者の恋バナとかって聞きたくないんだけど?
「あっちは、あっちだ」レイモンドが頬を赤らめる。
ゴルァ、おまえ、いい加減にしろよな。
なんで俺がお前の下半身事情について聞かなきゃいけないんだよ。
だいたい謹慎中だろ、お前は!!
だんだんと凶暴な気分になってくる。
「そのようなお話・・・元婚約者にするのは、無粋では?」
「いや、お前が知りたがってるから」
「はあ?」
「だから、私に迫っている危機について・・・」
「ま、まさか?」
「だから、付き合っている相手の精力が強すぎて、やり殺されそうなので、逃げてきたのだ。今日は非番だから、うかうかしていたら、殺されてしまう」
おいおいおい、いい加減にしろよ。一体どんな女と付き合ってんのか知らないけど・・・まあ、レイモンドはすけべだからな。俺と婚約してる間もいつも触ろうとしてきたし、浮気相手は一人は二人じゃなかったし・・・
「それは、殿下にとって願ったり叶ったりのお相手なのではないですか?」
俺は冷たく言い放った。
「だいたい、今謹慎中なのではないですか?軍に入って性根を叩き直されている途中と伺っておりますが?」
「ははは、言うようになったなルーリク!性根ではない。常識を学んでおるのだ。そうなのだ、なんとトイレの水まで自分で流しているのだぞ。本当に軍というところは人手不足で気の毒になってしまう。知っているか?朝の洗顔の水まで自分で用意せねばならぬのだ。まあ、私は有能だから、簡単にこなしてしまっているのだ。ん?そう考えると・・・もしや、目的は達成されたのか?いや、そんなことはないな。もう少し、ゆっくりしないと・・・それで、ルーリク」
レイモンドは真剣な顔をして俺に向き合った。
「いい子を産んでくれ。よろしく頼む」
「はあ?」
ちょっとレイモンドの話が飛びすぎて、何を言ってるのかさっぱりわからない。
なんで、俺の子供の話になる?しかもいい子を産んでくれって・・・きもい。
あれ?俺はその時レイモンドと再会してからずっと感じていた違和感の正体に思い当たった。
(なんだろう。なんでだろう。レイモンドが、キモくない?)
レイモンドが自分の向かいのソファーを指差した。
「なんなら、ここでもいいぞ?」隣の座面をまた叩く。
まあ、隣よりはと向かいに座ると、レイモンドは踏ん反り返って茶を飲んだ。
「なかなか、居心地のいい家ではないか」
いや、招待してないんだけど、なんでそんなに偉そうなんだよ。
俺が黙ってレイモンドを見ていると、レイモンドはカラカラと笑い出した。
「ははは、そのような熱い瞳で元婚約者を見るものではないぞ。うっかり過ちを犯してしまったら、どうするのだ。私はいいが、お前は既婚者だろうが。はっはっは」
おい、おい、何言ってんだよ。
「で?」
俺は不機嫌に返した。
「何しに来たんだよ」
「ふーーーん?」
レイモンドが俺をジロジロ見ながら、ニヤニヤと笑っている。
「どうしたんだ、ルーリク。私と別れてから言葉遣いが随分と荒くなったようだな。まあ、それも悪くはないが」
はっ!!しまった。
この数ヶ月、家族とクラウスとしか会わなかったから、すっかり忘れてた!!
「ご、ごほん。いえ、そんなことはございません。すこし・・・その、妊娠のせいか気が立っておりまして・・・」
「ほう?」
レイモンドは相変わらずニヤニヤしている。
だいたいおかしいだろうよ。なんで俺が追い込まれてるような気分にならなきゃいけないんだよ。呼んでないぞ、おい。
「本日、主人は仕事で不在にしておりますので・・・またの機会においでくださいませ」
「まあ、そう言うな。せっかくの休みに可愛い弟に会いに来たのだ。不在で残念ではあるが・・・ここは致し方あるまい。伴侶のお前が私の相手をするがよい」
なんでだよ。
「いえいえ、私のような者が尊い殿下のお相手など、とても勤まりませぬ。そういえば・・・命を狙われているとおっしゃっていたような?」
「そんなこと言ったか?」
「言いましたよ」
「んーーー?というか命の危険が迫っているとは言ったかも知れん」
「あー、そうだったかも知れませんね」ぶっちゃけ、どうでもいい。
「この離宮では、殿下の御身をお守りすることはできません。私は非力な孕み腹ですし、警備も薄く・・・」
「まあ、それは良い」
いーーーんかーーーい!
「まあ、命の危険というのは大げさかも知れんが。実はな、その、まあ、お前に言うのもなんだが」
レイモンドが恥ずかしげにちらっと俺を見た。
「その、まあ、今付き合っている相手がいるのだ」
「はあ?」だから?俺になんの関係が?
「それでだ。ちょっとあっちの方が強すぎるのだ」
「あっち?」
思わずおうむ返しをしてしまう。
一体なんの話?しかも何、俺、元婚約者に恋バナ聞かされてるってこと?えええ?
なんで?なんの罰ゲーム?
別にレイモンドにはこれぽっちも興味ないけど、ちょっと元婚約者の恋バナとかって聞きたくないんだけど?
「あっちは、あっちだ」レイモンドが頬を赤らめる。
ゴルァ、おまえ、いい加減にしろよな。
なんで俺がお前の下半身事情について聞かなきゃいけないんだよ。
だいたい謹慎中だろ、お前は!!
だんだんと凶暴な気分になってくる。
「そのようなお話・・・元婚約者にするのは、無粋では?」
「いや、お前が知りたがってるから」
「はあ?」
「だから、私に迫っている危機について・・・」
「ま、まさか?」
「だから、付き合っている相手の精力が強すぎて、やり殺されそうなので、逃げてきたのだ。今日は非番だから、うかうかしていたら、殺されてしまう」
おいおいおい、いい加減にしろよ。一体どんな女と付き合ってんのか知らないけど・・・まあ、レイモンドはすけべだからな。俺と婚約してる間もいつも触ろうとしてきたし、浮気相手は一人は二人じゃなかったし・・・
「それは、殿下にとって願ったり叶ったりのお相手なのではないですか?」
俺は冷たく言い放った。
「だいたい、今謹慎中なのではないですか?軍に入って性根を叩き直されている途中と伺っておりますが?」
「ははは、言うようになったなルーリク!性根ではない。常識を学んでおるのだ。そうなのだ、なんとトイレの水まで自分で流しているのだぞ。本当に軍というところは人手不足で気の毒になってしまう。知っているか?朝の洗顔の水まで自分で用意せねばならぬのだ。まあ、私は有能だから、簡単にこなしてしまっているのだ。ん?そう考えると・・・もしや、目的は達成されたのか?いや、そんなことはないな。もう少し、ゆっくりしないと・・・それで、ルーリク」
レイモンドは真剣な顔をして俺に向き合った。
「いい子を産んでくれ。よろしく頼む」
「はあ?」
ちょっとレイモンドの話が飛びすぎて、何を言ってるのかさっぱりわからない。
なんで、俺の子供の話になる?しかもいい子を産んでくれって・・・きもい。
あれ?俺はその時レイモンドと再会してからずっと感じていた違和感の正体に思い当たった。
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