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3 体育倉庫
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え?
まさか、出られなくなったとかじゃないよね?
テレビの見過ぎ?
倉庫の明かり取りの窓からは、きゃっきゃと女の子たちが笑いながら話している声が聞こえてくる。
(まあ、いざとなれば大声を出せばいっか)
そう思って、バレーボールを探そうとした。
倉庫の中は外からは予想もつかないほど大きかった。
外からは小さな掘っ建て小屋・・・っていうの?木造の隙間風が入りそうな古い建物にしか見えない。一体いつの時代の人が建てたの?ってほど古い。今時、こんな倉庫使ってる学校あるのかな?って思うけど学校って意外と古いものあるよね。
まあでも外から見たら本当に小さな小屋にしか見えないんだけど、倉庫の中は奥が見えないほど広かった。
埃の匂いにくすぐられて、くしゃみが出る。
くしゅん!
私のくしゃみの音は、奥の壁に反響して戻ってきた。
電気はないみたい。あかりは高いところにある明かり取りの窓だけ。
古いガラスで、誰も掃除していないのか、土埃とくもの巣と落ち葉に覆われて、半分ぐらいしか外が見えない。
でも、しっかり隙間風は入ってきていて、厚ぼったい埃と同化してまっ茶色になったくもの巣がブラブラと揺れていた。
(こんなところで、虫とれんのかな?くもは生きてるの?)
ぶるっと身が震えた。そんなことどうでもいい。
薄暗い明かりの中、一番上の段のクッションがすれて破れたとび箱とか、片方が落ちてしまったさびたハードルが倉庫のはしに寄せられている。
その上には厚い埃が積もっていた。
触っちゃったら絶対よごれるやつ。
足元にはへしゃげたサッカーボールとバスケットボール。
誰も使わないなら捨てちゃえばいいのに。
私の頭の奥で「部屋を片付けなさい!」と怒っているお母さんの声が響いた。
放っておこう。
とりあえず、自分が探しにきたボール、ボールっと。
灰色のバレーボールはゆっくりゆっくりと奥に進み、そのままパッと見えなくなった。
なんで?
慌ててボールを拾いに狭い倉庫の中を進むと、そこには地下に向かう階段があった。
とんとんとん
白いボールは勢いよく地下に落ちていく。
何でこんなところに地下室?
見下ろすと地下室は真っ暗だった。
(こわい)
その時初めて私は冷静に周りを見た。
ねえ、ここ、おかしくない?
何であのボールはまるで誘うようにこの倉庫の中に入っていったの?それに、それに、この倉庫広すぎない?
私は地下に落ちていったボールをこわごわと見た。
それほど深くはなさそう。
こんなことでビビるなんてカッコ悪い。
もう、中学生なんだから。小学生じゃないんだからね?
それに、先生に怒られるのも、怖い。
そうだよ、よくわからなくて怖いものより、先生のほうが怖いって。
だってそっちは100%怒られるじゃん。
迷ったけど、急いでボールを拾って、走って戻れば怒られないはず。
その考えはやっぱり名案に思えて、私は、地下室への階段を一歩降りた。
まさか、出られなくなったとかじゃないよね?
テレビの見過ぎ?
倉庫の明かり取りの窓からは、きゃっきゃと女の子たちが笑いながら話している声が聞こえてくる。
(まあ、いざとなれば大声を出せばいっか)
そう思って、バレーボールを探そうとした。
倉庫の中は外からは予想もつかないほど大きかった。
外からは小さな掘っ建て小屋・・・っていうの?木造の隙間風が入りそうな古い建物にしか見えない。一体いつの時代の人が建てたの?ってほど古い。今時、こんな倉庫使ってる学校あるのかな?って思うけど学校って意外と古いものあるよね。
まあでも外から見たら本当に小さな小屋にしか見えないんだけど、倉庫の中は奥が見えないほど広かった。
埃の匂いにくすぐられて、くしゃみが出る。
くしゅん!
私のくしゃみの音は、奥の壁に反響して戻ってきた。
電気はないみたい。あかりは高いところにある明かり取りの窓だけ。
古いガラスで、誰も掃除していないのか、土埃とくもの巣と落ち葉に覆われて、半分ぐらいしか外が見えない。
でも、しっかり隙間風は入ってきていて、厚ぼったい埃と同化してまっ茶色になったくもの巣がブラブラと揺れていた。
(こんなところで、虫とれんのかな?くもは生きてるの?)
ぶるっと身が震えた。そんなことどうでもいい。
薄暗い明かりの中、一番上の段のクッションがすれて破れたとび箱とか、片方が落ちてしまったさびたハードルが倉庫のはしに寄せられている。
その上には厚い埃が積もっていた。
触っちゃったら絶対よごれるやつ。
足元にはへしゃげたサッカーボールとバスケットボール。
誰も使わないなら捨てちゃえばいいのに。
私の頭の奥で「部屋を片付けなさい!」と怒っているお母さんの声が響いた。
放っておこう。
とりあえず、自分が探しにきたボール、ボールっと。
灰色のバレーボールはゆっくりゆっくりと奥に進み、そのままパッと見えなくなった。
なんで?
慌ててボールを拾いに狭い倉庫の中を進むと、そこには地下に向かう階段があった。
とんとんとん
白いボールは勢いよく地下に落ちていく。
何でこんなところに地下室?
見下ろすと地下室は真っ暗だった。
(こわい)
その時初めて私は冷静に周りを見た。
ねえ、ここ、おかしくない?
何であのボールはまるで誘うようにこの倉庫の中に入っていったの?それに、それに、この倉庫広すぎない?
私は地下に落ちていったボールをこわごわと見た。
それほど深くはなさそう。
こんなことでビビるなんてカッコ悪い。
もう、中学生なんだから。小学生じゃないんだからね?
それに、先生に怒られるのも、怖い。
そうだよ、よくわからなくて怖いものより、先生のほうが怖いって。
だってそっちは100%怒られるじゃん。
迷ったけど、急いでボールを拾って、走って戻れば怒られないはず。
その考えはやっぱり名案に思えて、私は、地下室への階段を一歩降りた。
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