生理痛の話〜藍音のたわごと 番外編〜

藍音

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だんだんと調子が悪くなっていった私ですが、ある時、37度ぐらいの熱が下がらなくなっていきました。
何をやっても下がりません。
でもいつまでも仕事を休めるわけもなく、頑張って仕事に行っていました。
(今ならあり得ないですね笑)

そして、咳が止まらなくなっていきました。
喘息の発症です。
でも、喘息がはっきりわかるまでは、まだしばらくかかります。
咳がうるさすぎて他の人の仕事の邪魔にまでなってきました。
誰にもうつらないのでただの風邪ではなさそうです。周りの人も「そばにいるだけで咳が出そうだ」などと言い出すようになりました。そりゃそうです。
相当激しい発作を何度か繰り返した結果、とにかく、咳が治らないとどうしようもないと、休職することになりました。

その後のことです。
休職してすぐに、気がついたら生理が毎月3週間あることに気がつきました。
やたらと長い生理が続き、やっと終わるとまたすぐに生理が始まります。
つまり、出血が止まらない状態になっていきました。
おかしな話ですが、このことに気がつくまでに3ヶ月かかりました。
多分病気で冷静な判断ができなくなっていたのだと思います。
ふつうに考えれば1回はともかく2回長期間の出血が続いたらおかしいと思うはずですが、「なんか長いなー?」程度にしか思わなかったのです。

その頃には完全な産婦人科不信になっていたので、病院にはいきたくありませんでした。
どうせまた、生理が来てるんだから「問題ありません」「単なるわがままです」と言われるに決まってます。

ある日、異変が起こりました。
長く続く痛みに、痛み止めは全然効かなくなっていました。
2倍飲んでも効きません。
飲んだことすらわからなくなるくらいです。
今まで少しは効いていたのに、お気持ち程度の効果すらありません。

身体中あちこちに反響する激痛は長時間続き、時折気を失ったように寝てしまいますが、30分ぐらいすると痛みで目を覚ましてしまいます。
痛くて痛くて何もできません。ほぼ床に転がって何もできない状態。
当然本も漫画も読めないし、音が響くからテレビだって無理です。音楽も聴きたくありません。
なんの癒しもなく、ただただ時間がすぎて痛みが収まるのを待ち続けました。
この頃にはほとんで寝ていません。
痛くて眠れないのです。

そして、それは深夜に起こりました。
身体中をこれまでにないほどの激痛が走りました。
震源地は間違いなく子宮です。
子宮を起点にした、かつて経験のないほどの痛みに体内から激しく攻撃され、眼球も鼓膜も破れそうです。
もし痛みに形があったなら、それは針の形をして、私の体を内部から突き破っていたでしょう。
流石にこれはやばいと思いました。
でも、もう立てません。
旦那が寝ているところにゴロゴロと転がっていき、(咳がひどいので別の部屋に寝てもらっていた)、「たすけて」と訴えました。

旦那は飛び起きるとすぐに病院に電話し、近くの総合病院に担ぎ込んでくれました。
救急車を呼ぶかと聞かれましたが、当時社宅に住んでいたので、それはどうしても嫌でした。
理由を聞かれたくないんです。

病院では、問診の後かなり強い薬を打たれました。
当時の日本でできる最強クラスの痛み止めで麻薬性のある薬だったみたいです。

いまでもはっきり覚えています。
病院の無機質な廊下にいるはずなのに、白いワンピースを着た私は大きなビルの谷間を落下しています。ふわふわしながら、空を飛ぶように、でも確実に落ちていきます。底は見えません。
なのに、めちゃめちゃ痛いんです。
痛みから全く解放されません。
痛くて痛くてたまらなくて、助けて欲しいと訴えても「これ以上強い薬は打てないから我慢して」と現実の看護師さんが遠くで言っています。

とにかく時間が経つのを待つしかないみたいです。
一睡もできず、時折幻覚を挟みながら、痛みに耐え続けました。
結局朝には家に帰り、昼間に受診するように言われました。

麻薬って怖いですよね。

痛みは全然なくならないのに、幻覚は見えるんです。
そして、その後、3日間ぐらい精神と気力を削り取られたようにげっそり落ち込みました。
回復して最初にお医者さんに頼んだのは、もう二度とあの薬はやめて欲しいということでした。それからどんなひどい時でも一回も使いませんでした。麻薬は本当に恐ろしいです。


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