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後日譚〜あれから〜
番外編3 【マティアス】狩りと出産 ※194〜5話周辺のお話です。
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栞をはさんでくださった方、すみません!!!間違ってこちらを先に公開してしまいました。
なんで間違ったのかわかりませんが、久しぶりだったのでいろいろちょっと・・・なのかも。
すみませんが、こちらから読んだ方「?」って思われたのでは?
ほんと、ごめんなさい汗
前話の続きです。ふたりのなれそめが本編よりもちょっと詳しく書いてあります。
ほら、BLだからさあ。ってことでカットになりました。
*************************************
それから、度々「くすりや」を訪れるようになった。
何度目かの訪問で、ミラを散歩に誘った。
石畳の道を連れ立って歩くと、柳が風に揺れていた。
「こ、公爵様は、なんでそんなことをするんですか!」
「そんなこと?」
「そ、そのお忙しいはずなのに、ウチみたいな小さな店に何度も・・・」
思わず、くすっと笑うと、ミラはますます真っ赤になった。
「ウチで扱っている薬草には自信がありますけど・・・でも公爵様が手に入れられないものじゃない・・・」
「・・・はは。私があの店で欲しいものはひとつだけだよ」
意味ありげにミラを見ると、ミラは真っ赤になった。
「でも、公爵様は好きな人がいるでしょう?しかも結婚もしてるって・・・」
「そうだね。正直に言うよ。結婚はしている。だが政略結婚ですでに冷え切っている。子どもをひとり産んでもらえば、彼女は自由になれる身なんだ。好きな人はいたが、手は届かない。私のことを愛してはくれない相手なんだ。それに、私だって幸せになりたいんだよ」
私はミラの手を取った。
「正妻にはしてあげられない。愛しているとも言えない。でも、私にとって女性は君だけだし、大切にする。それでは足りないかな」
「わ、わたし・・・わからない。そういう生き方考えたこともないので・・・」
「貴族社会は身分社会だ。いまさら君を貴族として教育しても君がつらいだけだと思う。だが、私の愛しい人としてなら、身分も社交界もない。考えてみてほしい」
ミラは真っ赤になって下を向いた。
「わたし・・・わたし・・・わかりません」
「大丈夫」私はミラの手に口づけた。イネスの白魚のような手とはちがう、ざらついた小さな手。でもいとしい。
「いつまででも待つよ。他の女はいらない」
そっとミラの髪に触れた。
なつかしい黒い髪。
どことなく面影がかぶる。
「だって・・・リュカだって私に恋人になってくれって言ったのに、他の女の人と・・・」
「リュカと?」
「リュカは私が好きだって言ったのに・・・全部嘘だった。もう男の人なんて信じられない」
「ああ・・・リュカは君に手を出さなかったの?」思わず目が鋭くなる。
「あ、あの・・・手を出すって・・・」ミラの顔はますます赤くなった。「キ、キスを・・・」
「へえ」リュカの本命は、この子だったのか。そりゃ大切な子には簡単に手は出せないよな。
誰とでもホイホイ寝ていたリュカでも、本命には弱いか。
「私は待つよ。君の許しをいただけるまでね」
そう言って片目をつぶると、ミラはまた真っ赤になった。
思ったよりも、最高の愛人候補を見つけたらしい。草葉の陰から悔しがれよ、リュカ。この娘は私がもらう。
暗い思いは毛ほどにも表さず、微笑みかけた。
**************************************
狩りはいつだって楽しい。
ミラとの恋愛ごっこは思ったよりも私の生活に活力をくれた。
イネスとは顔も合わせない。
遠くから見かけた時、腹が膨れ上がり、今にも子を産みおとしてしまいそうに見えた。
私は毎日ミラの顔を見にいくか、行けない時は花とカードを届けさせた。
少しずつ、ミラがほだされていくのがわかる。
最近では私が来るのを待っているような素振りを見せるようになってきた。
扉の前でうろうろと首を長くしている姿を、遠くから眺めているとワクワクしてくる。
後すこしだ。
リュカによく似たミラの目に愛が輝くその日が待ち遠しい。
なんで間違ったのかわかりませんが、久しぶりだったのでいろいろちょっと・・・なのかも。
すみませんが、こちらから読んだ方「?」って思われたのでは?
ほんと、ごめんなさい汗
前話の続きです。ふたりのなれそめが本編よりもちょっと詳しく書いてあります。
ほら、BLだからさあ。ってことでカットになりました。
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それから、度々「くすりや」を訪れるようになった。
何度目かの訪問で、ミラを散歩に誘った。
石畳の道を連れ立って歩くと、柳が風に揺れていた。
「こ、公爵様は、なんでそんなことをするんですか!」
「そんなこと?」
「そ、そのお忙しいはずなのに、ウチみたいな小さな店に何度も・・・」
思わず、くすっと笑うと、ミラはますます真っ赤になった。
「ウチで扱っている薬草には自信がありますけど・・・でも公爵様が手に入れられないものじゃない・・・」
「・・・はは。私があの店で欲しいものはひとつだけだよ」
意味ありげにミラを見ると、ミラは真っ赤になった。
「でも、公爵様は好きな人がいるでしょう?しかも結婚もしてるって・・・」
「そうだね。正直に言うよ。結婚はしている。だが政略結婚ですでに冷え切っている。子どもをひとり産んでもらえば、彼女は自由になれる身なんだ。好きな人はいたが、手は届かない。私のことを愛してはくれない相手なんだ。それに、私だって幸せになりたいんだよ」
私はミラの手を取った。
「正妻にはしてあげられない。愛しているとも言えない。でも、私にとって女性は君だけだし、大切にする。それでは足りないかな」
「わ、わたし・・・わからない。そういう生き方考えたこともないので・・・」
「貴族社会は身分社会だ。いまさら君を貴族として教育しても君がつらいだけだと思う。だが、私の愛しい人としてなら、身分も社交界もない。考えてみてほしい」
ミラは真っ赤になって下を向いた。
「わたし・・・わたし・・・わかりません」
「大丈夫」私はミラの手に口づけた。イネスの白魚のような手とはちがう、ざらついた小さな手。でもいとしい。
「いつまででも待つよ。他の女はいらない」
そっとミラの髪に触れた。
なつかしい黒い髪。
どことなく面影がかぶる。
「だって・・・リュカだって私に恋人になってくれって言ったのに、他の女の人と・・・」
「リュカと?」
「リュカは私が好きだって言ったのに・・・全部嘘だった。もう男の人なんて信じられない」
「ああ・・・リュカは君に手を出さなかったの?」思わず目が鋭くなる。
「あ、あの・・・手を出すって・・・」ミラの顔はますます赤くなった。「キ、キスを・・・」
「へえ」リュカの本命は、この子だったのか。そりゃ大切な子には簡単に手は出せないよな。
誰とでもホイホイ寝ていたリュカでも、本命には弱いか。
「私は待つよ。君の許しをいただけるまでね」
そう言って片目をつぶると、ミラはまた真っ赤になった。
思ったよりも、最高の愛人候補を見つけたらしい。草葉の陰から悔しがれよ、リュカ。この娘は私がもらう。
暗い思いは毛ほどにも表さず、微笑みかけた。
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狩りはいつだって楽しい。
ミラとの恋愛ごっこは思ったよりも私の生活に活力をくれた。
イネスとは顔も合わせない。
遠くから見かけた時、腹が膨れ上がり、今にも子を産みおとしてしまいそうに見えた。
私は毎日ミラの顔を見にいくか、行けない時は花とカードを届けさせた。
少しずつ、ミラがほだされていくのがわかる。
最近では私が来るのを待っているような素振りを見せるようになってきた。
扉の前でうろうろと首を長くしている姿を、遠くから眺めているとワクワクしてくる。
後すこしだ。
リュカによく似たミラの目に愛が輝くその日が待ち遠しい。
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