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第四幕〜終わりの始まり〜
163 【リュカ】ひとつ ※※※
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兄さんが小さく息をのむ音が聞こえた。
もう、抱いてほしい。そう目で伝えたけど、兄さんは小さく頭を振った。
「お前に怪我をさせたくない。もう少し我慢できるよな?」
優しく言うと、兄は俺のうしろに指を一本差し挿れた。ゆっくりと慎重に俺の中をさぐる指先に思わず喘ぎ声がもれる。痛くはない。でも、感じたことのない違和感にどうしたらいいのかわからなくなる。
「痛くないか?」
心配そうに言う声に、うんうんとうなずくと、兄の瞳がやわらかくなった。
ゆるゆると中を刺激されていると、だんだん感じたことがない感覚が腹の底から湧き上がってきた。男同士の性交には後穴を使うと話で聞いてはいたけれど、まさか気持ちが良くなるなんて考えたこともなかった。ただ、受け入れる器官がないから、便宜的に使っているだけだと・・・
ほぐすためだけに続けられている指の出し入れ、それだけなはずなのに、徐々に快感が産まれ、息が上がる。中をいじくるようにある一点を突かれると鋭い快感が走り、思わずちいさな叫び声が漏れた。
俺のアレは腹まで反り返るほど興奮している。
まさか、うしろでこんなに感じてしまうなんて、思いもよらなかった。
もっとしてほしい。
つい腰がうごき、もっともっととねだるようにくねらせると、兄は喉の奥でちいさく笑いながら、指を2本に増やした。
「はあっ・・・!」
質量をました快感に背中が弓なりにのびた。足の指がシーツをつかむようにギュッと緊張した。考えたこともないほどの刺激に、耳の奥で血がうなり、身体の中でどうしようもない渇望がたぎる。
「い、いますぐ・・・」
「だめだ」
兄の言葉に耳を疑い、兄を見つめると、その目の中には信じられないほどの欲望がたぎっていた。
「お前を傷つけたくないんだ。もうすこし・・・あと、もうすこし・・・」
「にいさぁぁん」
情けない俺の喘ぎ混じりの抗議は、兄のくちびるでふさがれ、同時にもう一本の指が足された。
「・・・!」
ちいさな痛みが走る。
俺が息を飲んだ様子に、兄は心配そうに眉をひそめた。
「大丈夫か?」
「だ、だいじょう・・・ぶ、だいじょうぶだから・・・」
兄はホッとしたように息をつくと、俺の乳首を舌先で転がしながら強く吸った。
頭の先まで突き抜けそうな快感におかしくなりそうになる。
乳首を転がしながら、後ろの奥を刺激され、もっと欲しがれと煽られる。
ほしくて、ほしくて、たまらない。信じられないほどかん高い喘ぎがもれ、戸惑ってしまう。
もっと奥に、もっと体の奥。誰も触れたことがない場所を兄さんに満たしてほしい。
脳はとろけ、ただ感じるだけ。
もっと、もっと・・・
「もう・・・きない」
「ん?」
「がまん、できない。がまんできないよぉ・・・」
情けない声がもれ、兄の屹立を探して指先が宙を泳いだ。
「つらいよぉ・・・」
なんて情けない声。
でも、もうどうしようもなく切なかった。
兄さんに挿れてもらえなかったら、それこそ干からびて死んでしまいそうな気がする。
「にいちゃん、にいちゃんお願い、おれ、もう・・・」
兄は素早かった。
先程の小瓶の中身を自分になすりつけると、仰向けに寝かせた俺の両足を大きく開かせ、ぴたりと穴に自分を押し付けた。俺をじっと見つめたまま、ぐっと腰を進め、ゆっくりと抜き差しを繰り返しながら、俺の一番奥へ入ってくる。
ちいさな喘ぎとともに、涙が一粒こぼれた。
「痛いか?」
「ちがう」
あれだけゆっくり慣らしてくれたんだから、痛くはない。
兄のセックスは、優しかった。思いやりと気遣いに満ちて、俺を大切に思っていると仕草や身体全部で教えてくれた。
俺は、いま、めちゃめちゃ感動していた。
腹の底から、胸の奥から、全部ひっくり返されるほど、感動していた。
まるで心と心が触れあうようなセックスはしたことがなかった。
「愛し合う」という言葉がふさわしい、こんな行為は経験がなかった。
俺は今、はじめて人と「愛し合っている」んだ。そう思うと、なぜか胸が震え、涙が止まらなくなった。
「リュカ」
兄さんが愛しげに俺の顔に口づけ、涙を唇でぬぐった。
「痛くない、苦しくもない・・・ただ・・・うれしい」
本当は少しだけうそだ。
兄さんのソレは大きくて、いくらほぐして、気を使ってくれてもやっぱり痛みはあった。でも、それ以上に、なにか神聖な・・・たましいとたましいが触れ合ったような、そんな感動をちいさな痛みに邪魔されたくなかった。
「兄さん、俺、ずっと待ってた。さみしかった」
本音がこぼれ、涙があふれた。
ごめんなさい。俺、きれいな体で待てなくてごめんなさい。
声に出せない思いは嗚咽に変わった。
今は、ふたりしかいらない。
それに、俺にとってはほんとうの「はじめて」は今、だと思う。
身体は経験済みだったけど、あれは単なる運動や性欲処理で、誰かと魂の底からつながるような経験はしたことがなかった。
「リュカ。私も、さみしかったよ」
兄さんの言葉に、また涙がこぼれた。
でも、やっとひとつになれた。
もう、抱いてほしい。そう目で伝えたけど、兄さんは小さく頭を振った。
「お前に怪我をさせたくない。もう少し我慢できるよな?」
優しく言うと、兄は俺のうしろに指を一本差し挿れた。ゆっくりと慎重に俺の中をさぐる指先に思わず喘ぎ声がもれる。痛くはない。でも、感じたことのない違和感にどうしたらいいのかわからなくなる。
「痛くないか?」
心配そうに言う声に、うんうんとうなずくと、兄の瞳がやわらかくなった。
ゆるゆると中を刺激されていると、だんだん感じたことがない感覚が腹の底から湧き上がってきた。男同士の性交には後穴を使うと話で聞いてはいたけれど、まさか気持ちが良くなるなんて考えたこともなかった。ただ、受け入れる器官がないから、便宜的に使っているだけだと・・・
ほぐすためだけに続けられている指の出し入れ、それだけなはずなのに、徐々に快感が産まれ、息が上がる。中をいじくるようにある一点を突かれると鋭い快感が走り、思わずちいさな叫び声が漏れた。
俺のアレは腹まで反り返るほど興奮している。
まさか、うしろでこんなに感じてしまうなんて、思いもよらなかった。
もっとしてほしい。
つい腰がうごき、もっともっととねだるようにくねらせると、兄は喉の奥でちいさく笑いながら、指を2本に増やした。
「はあっ・・・!」
質量をました快感に背中が弓なりにのびた。足の指がシーツをつかむようにギュッと緊張した。考えたこともないほどの刺激に、耳の奥で血がうなり、身体の中でどうしようもない渇望がたぎる。
「い、いますぐ・・・」
「だめだ」
兄の言葉に耳を疑い、兄を見つめると、その目の中には信じられないほどの欲望がたぎっていた。
「お前を傷つけたくないんだ。もうすこし・・・あと、もうすこし・・・」
「にいさぁぁん」
情けない俺の喘ぎ混じりの抗議は、兄のくちびるでふさがれ、同時にもう一本の指が足された。
「・・・!」
ちいさな痛みが走る。
俺が息を飲んだ様子に、兄は心配そうに眉をひそめた。
「大丈夫か?」
「だ、だいじょう・・・ぶ、だいじょうぶだから・・・」
兄はホッとしたように息をつくと、俺の乳首を舌先で転がしながら強く吸った。
頭の先まで突き抜けそうな快感におかしくなりそうになる。
乳首を転がしながら、後ろの奥を刺激され、もっと欲しがれと煽られる。
ほしくて、ほしくて、たまらない。信じられないほどかん高い喘ぎがもれ、戸惑ってしまう。
もっと奥に、もっと体の奥。誰も触れたことがない場所を兄さんに満たしてほしい。
脳はとろけ、ただ感じるだけ。
もっと、もっと・・・
「もう・・・きない」
「ん?」
「がまん、できない。がまんできないよぉ・・・」
情けない声がもれ、兄の屹立を探して指先が宙を泳いだ。
「つらいよぉ・・・」
なんて情けない声。
でも、もうどうしようもなく切なかった。
兄さんに挿れてもらえなかったら、それこそ干からびて死んでしまいそうな気がする。
「にいちゃん、にいちゃんお願い、おれ、もう・・・」
兄は素早かった。
先程の小瓶の中身を自分になすりつけると、仰向けに寝かせた俺の両足を大きく開かせ、ぴたりと穴に自分を押し付けた。俺をじっと見つめたまま、ぐっと腰を進め、ゆっくりと抜き差しを繰り返しながら、俺の一番奥へ入ってくる。
ちいさな喘ぎとともに、涙が一粒こぼれた。
「痛いか?」
「ちがう」
あれだけゆっくり慣らしてくれたんだから、痛くはない。
兄のセックスは、優しかった。思いやりと気遣いに満ちて、俺を大切に思っていると仕草や身体全部で教えてくれた。
俺は、いま、めちゃめちゃ感動していた。
腹の底から、胸の奥から、全部ひっくり返されるほど、感動していた。
まるで心と心が触れあうようなセックスはしたことがなかった。
「愛し合う」という言葉がふさわしい、こんな行為は経験がなかった。
俺は今、はじめて人と「愛し合っている」んだ。そう思うと、なぜか胸が震え、涙が止まらなくなった。
「リュカ」
兄さんが愛しげに俺の顔に口づけ、涙を唇でぬぐった。
「痛くない、苦しくもない・・・ただ・・・うれしい」
本当は少しだけうそだ。
兄さんのソレは大きくて、いくらほぐして、気を使ってくれてもやっぱり痛みはあった。でも、それ以上に、なにか神聖な・・・たましいとたましいが触れ合ったような、そんな感動をちいさな痛みに邪魔されたくなかった。
「兄さん、俺、ずっと待ってた。さみしかった」
本音がこぼれ、涙があふれた。
ごめんなさい。俺、きれいな体で待てなくてごめんなさい。
声に出せない思いは嗚咽に変わった。
今は、ふたりしかいらない。
それに、俺にとってはほんとうの「はじめて」は今、だと思う。
身体は経験済みだったけど、あれは単なる運動や性欲処理で、誰かと魂の底からつながるような経験はしたことがなかった。
「リュカ。私も、さみしかったよ」
兄さんの言葉に、また涙がこぼれた。
でも、やっとひとつになれた。
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