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3 ヒロインへの道
170 リカルドと白亜の館へのお誘い
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野菜スープとパンだけの簡単な食事のあと、侯爵様とケイレブとリーラとジョセフと私で湖の浄化について話し合いをすることになった。
あ、リカルドもいた。
リカルドは聖女様をお守りするための秘策がたくさんあるとかで、私にひっついて離れない。
かなりうざいけど、ジョセフがおっかない顔でリカルドをにらみつけ、リカルドが気にもせずに私の周りをうろちょろするってのが、定番になりそう。
「なんと、魔の森から魔獣化した獣が減ったのは聖女様のお力か!」
侯爵様が驚いたように言う。
「ステラが我が領に入ったタイミングで魔獣が減り始めたそうです。おそらくステラの持つ聖女としての浄化力では無いかとリカルド師がおっしゃってます」
リーラが答えると、侯爵様は不思議そうな顔をしてリカルドを見る。
「浄化力とは?」
「聖女様のお持ちになっているお力の一つですよ」
リカルドがめんどくさそうに答えた。
「リカルド先生。私にも教えてくださいませんか?」
仕方ない。ここは私が聞きましょう。
きゅるんと表情とつくって、上目遣いに精一杯可愛らしく聞いてみる。だって私だって知りたい。
「ぶおっふぉ!!」なんか妙な音聞こえた。
「浄化力とはですね!」いきなりリカルドが目を輝かせて勢いよく説明を始めた。最初からそうしてよ。
「聖女様のお持ちになっている力の一つです。聖女様によりお力は異なりますが、どの聖女様も存在するだけで、土地を浄化する力をお持ちになっているのです。ステラ様は三代目聖女様と同じく金環の瞳をお持ちでございますから、間違いなく強い浄化の力をお持ちなはずです!ステラ様がこの土地に入った瞬間に魔獣が減り始めたと言うのがその証拠!聖女様のお力に違いありません!!」
「だそうです。父上」
まだまだしゃべりそうなリカルドを横目に、ケイレブが侯爵様に言った。
「うむ、そうらしいな」
侯爵様が笑いを含んだ声で返す。
「して、リカルド神官殿。聖女様に頼りきりでは申し訳ないと思うのだが、我らができることは無いのか?」
「ありませんよ」
また塩対応。
「ただの一般人風情が図々しい」
いや、聞こえてるからね?心の中の声ダダ漏れてるよ?まったくもう!
「え~、ステラ一人で浄化するんですか~心ぼそーい」
ちょっと、頑張ってみた。
リカルドの鼻の下がビョーンとのびて、鼻がぐいーっと高くなった。
「だーいじょーぶですとも!このリカルドにおまかせください!聖女様のお力になれるのは、このリカルドだけ!リカルドだけですよ!!何と言っても私は聖女様に人生を捧げている身、ドーンとお任せください!!そして、そして・・・その暁には・・・」リカルドが私をちらりと見た。
「とーってもきれいな白亜の館をご用意しているのですが・・・是非一度ご訪問いただきたく・・・」
ぞくり。なんか今寒気走ったよね?
「あーーーうーーーん、考えておきます」
とりあえず答えると、
「是非!!前向きに!お考えくださいね!!」
リカルドが目をキラキラさせながら私の手を握ろうと手を伸ばした。
「そこまでだ」
ジョセフが剣の鞘を私たちの間に差し込んだ。ジョセフの瞳がキラリと光る。
リカルドもジョセフ相手では分が悪いみたい。ギロッと睨み付けたけど、そのままこそこそと引き下がった。
「ちっ、番犬風情が」
だから、リカルド心の声聞こえてるよ。
なんか、前にも教団に誘われた気がする。
ヴィダル先生やベリ神官長に教団に来るように言われても単なる招待としか思わないのに、なんでリカルドだけは危ないような気がするんだろう。
教団に行ったら人生終わり、みたいな?
しかもとってもきれいな白亜の館をご用意した、とか言ってた?
それってどういう意味?
・・・なんか怖い。
私の怯えを感じ取ったのか、リーラがケイレブの肘を突いた。
「お、そうだな。それで明日からの湖の浄化の方法を話し合おう」
ケイレブが声を上げると、全員我に返り、明日の浄化に必要なものについて相談を始めた。
明日こそは、なんとか湖を浄化したいもんね!
**************************************************
リカルドと白亜の館については「第57話 神学教授」に出てきます。
あ、リカルドもいた。
リカルドは聖女様をお守りするための秘策がたくさんあるとかで、私にひっついて離れない。
かなりうざいけど、ジョセフがおっかない顔でリカルドをにらみつけ、リカルドが気にもせずに私の周りをうろちょろするってのが、定番になりそう。
「なんと、魔の森から魔獣化した獣が減ったのは聖女様のお力か!」
侯爵様が驚いたように言う。
「ステラが我が領に入ったタイミングで魔獣が減り始めたそうです。おそらくステラの持つ聖女としての浄化力では無いかとリカルド師がおっしゃってます」
リーラが答えると、侯爵様は不思議そうな顔をしてリカルドを見る。
「浄化力とは?」
「聖女様のお持ちになっているお力の一つですよ」
リカルドがめんどくさそうに答えた。
「リカルド先生。私にも教えてくださいませんか?」
仕方ない。ここは私が聞きましょう。
きゅるんと表情とつくって、上目遣いに精一杯可愛らしく聞いてみる。だって私だって知りたい。
「ぶおっふぉ!!」なんか妙な音聞こえた。
「浄化力とはですね!」いきなりリカルドが目を輝かせて勢いよく説明を始めた。最初からそうしてよ。
「聖女様のお持ちになっている力の一つです。聖女様によりお力は異なりますが、どの聖女様も存在するだけで、土地を浄化する力をお持ちになっているのです。ステラ様は三代目聖女様と同じく金環の瞳をお持ちでございますから、間違いなく強い浄化の力をお持ちなはずです!ステラ様がこの土地に入った瞬間に魔獣が減り始めたと言うのがその証拠!聖女様のお力に違いありません!!」
「だそうです。父上」
まだまだしゃべりそうなリカルドを横目に、ケイレブが侯爵様に言った。
「うむ、そうらしいな」
侯爵様が笑いを含んだ声で返す。
「して、リカルド神官殿。聖女様に頼りきりでは申し訳ないと思うのだが、我らができることは無いのか?」
「ありませんよ」
また塩対応。
「ただの一般人風情が図々しい」
いや、聞こえてるからね?心の中の声ダダ漏れてるよ?まったくもう!
「え~、ステラ一人で浄化するんですか~心ぼそーい」
ちょっと、頑張ってみた。
リカルドの鼻の下がビョーンとのびて、鼻がぐいーっと高くなった。
「だーいじょーぶですとも!このリカルドにおまかせください!聖女様のお力になれるのは、このリカルドだけ!リカルドだけですよ!!何と言っても私は聖女様に人生を捧げている身、ドーンとお任せください!!そして、そして・・・その暁には・・・」リカルドが私をちらりと見た。
「とーってもきれいな白亜の館をご用意しているのですが・・・是非一度ご訪問いただきたく・・・」
ぞくり。なんか今寒気走ったよね?
「あーーーうーーーん、考えておきます」
とりあえず答えると、
「是非!!前向きに!お考えくださいね!!」
リカルドが目をキラキラさせながら私の手を握ろうと手を伸ばした。
「そこまでだ」
ジョセフが剣の鞘を私たちの間に差し込んだ。ジョセフの瞳がキラリと光る。
リカルドもジョセフ相手では分が悪いみたい。ギロッと睨み付けたけど、そのままこそこそと引き下がった。
「ちっ、番犬風情が」
だから、リカルド心の声聞こえてるよ。
なんか、前にも教団に誘われた気がする。
ヴィダル先生やベリ神官長に教団に来るように言われても単なる招待としか思わないのに、なんでリカルドだけは危ないような気がするんだろう。
教団に行ったら人生終わり、みたいな?
しかもとってもきれいな白亜の館をご用意した、とか言ってた?
それってどういう意味?
・・・なんか怖い。
私の怯えを感じ取ったのか、リーラがケイレブの肘を突いた。
「お、そうだな。それで明日からの湖の浄化の方法を話し合おう」
ケイレブが声を上げると、全員我に返り、明日の浄化に必要なものについて相談を始めた。
明日こそは、なんとか湖を浄化したいもんね!
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リカルドと白亜の館については「第57話 神学教授」に出てきます。
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