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1 聖女開眼
29 護身術の稽古に身が入ります。
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「きええええええい、てやっ!!」どかっ!
「ぎゃん」カランコロン
気合いを入れてセオドアの頭の上に剣を振り下ろすと、防ぎきれなかったセオドアが剣を取り落としてしまった。
「よし!いいですよ。ステラ様。いい太刀筋です!」
護身術を教えてくれているグスタフ先生が大声で褒めてくれる。
気分がいい。
「ふふふ、快調快調」
「きいい、この野蛮人、怪力女!」
どっか遠くで負け犬が吠えてるけど知ったこっちゃない。
私は気がついたね。私を聖女扱いするやつらから身を守るためには、自分自身の体力もつけて、いざとなったら実力行使で逃げなきゃいけないって事を。
あの聖女狂集団も、冷酷王太子も皆容赦なかった。
突然押しかけてきて言いたい事言って人の人生ぶち壊すような事をしてくれやがる。
そう考えると、護身術の稽古にも一層身が入る。
「さあ、もう一本」
「いやああああああああ」
「せいっ!」
「ひゃあ!」
「ステラ様、いいですよ!そこは力を入れすぎない!」
グスタフ先生からの指導でますます張り切っちゃう!
「はいっ!」
「セオドア様、剣をしっかり持って!」
セオドアにも指導の声が飛ぶ。
「きゃあああ、いやあああ」
「やあ!!」私が勢いよく剣を振り下ろすと、セオドアの剣は弾かれ、くるっと天に向かって飛んでいき、そのままくるくる回りながら落ちてくると地面にサクッと刺さった。
「もういや~~、こんなのイヤ、危ないじゃないのよぉ、野蛮人!この山猿!!」
ふふふ、この分野は私の圧勝だな。
「先生、どうでしょうか?」
「ステラ様は、大変筋がよろしいですよ。これから基本的なトレーニングを重ねていけば、成長とともに筋力もついてきますし、上達は速いでしょう」
「ありがとうございます!!」
私はドヤ顔でセオドアを振り返った。
「あれえ?なんか、そこに腰抜かしてる人いるのかなあ?なんかフリフリした服きて授業に参加しているけど、どうしたのかなあ?もしかしてフリフリが重くて動けなかったのかなあ?ふううううん?」
先生は苦笑している。
だってさあ、セオドアのやつ、護身術の時間にバッカみたいにフリフリの服きてきてさあ、くねくね動いてんだもん。面白すぎて、ちょっとからかいたくなっちゃうんだよね?
アッハッハ、禁断枠!バンザイ!!絶対ないわ!!
「まあ、今日はここまでにしておきましょう。」
先生が咳払いをして授業終了を告げる。でも、目が笑ってるの、見逃してないよ?
「ステラ様、腹筋、背筋、脚力のトレーニングをバランスよく、毎日少しずつ進めてください。決してやりすぎないようにしてくださいね。それから、素振りも毎日必ず、少しずつ進めてください。
セオドア様、まずは‥‥‥イメージトレーニングから始めましょう。自分の身を守る事、これは大切な事ですからね」
「ありがとうございました!!!」
「‥‥‥ありがとうございました。」
先生に挨拶すると、セオドアが食ってかかってきた。
「大体ねえ、繊細で美しいボクにこんな汗臭いこと似合わないんだよ。一緒にすんなよ、山猿が。」
「ぷはっ!あの屁っ放り腰!!超ウケる!!」
「う、うるさいな、誰だって苦手な事あるんだよ!」
「ギャハハ、なんで剣持ってクネクネしてんのよ。おっかしー!!」
「きいいい」
「笑いすぎて涙でる。あんた、本当に面白いね。しかも、剣術でその格好!!」
今日のセオドアは、一応、男物の服を着てるんだけど、上から下までフリルとリボンでモリモリになっていて、腰のあたりはパニエで支えているように広がっている。しかも膝と足首まで念入りにリボンが飾られている。
シンプルなズボンとシャツの私と比べると随分と動きづらそう。
「下手くそなんだから、せめて普通の練習着着てくればいいんじゃない?」
「よ、余計なお世話だよ。お前みたいな野蛮人と一緒にするな!」
「ふーん、まあいいけど?でも、あんまり弱すぎると、ちょっと力余っちゃうなあ~?実力発揮できなくて、困っちゃう~~?」
「きいいいいいい」
「ぎゃははははは」
「なんか、どの教科でも負けないとか言ってたような気がしたけど、気のせいだね!?」
「うるさい、うるさい、うるさい!」
「あーいい汗かいた~~あれ~?冷や汗しかかいてない人もいるのかなぁ?この辺に?」
ちらりとセオドアを見ると言ってやった。
「今から、温泉で汗流そっと。覗くなよ?チ・カ・ン・く・ん?」
「きいいいいいいいいい」
はっはっはーーー!!気分がいいね!!
「ぎゃん」カランコロン
気合いを入れてセオドアの頭の上に剣を振り下ろすと、防ぎきれなかったセオドアが剣を取り落としてしまった。
「よし!いいですよ。ステラ様。いい太刀筋です!」
護身術を教えてくれているグスタフ先生が大声で褒めてくれる。
気分がいい。
「ふふふ、快調快調」
「きいい、この野蛮人、怪力女!」
どっか遠くで負け犬が吠えてるけど知ったこっちゃない。
私は気がついたね。私を聖女扱いするやつらから身を守るためには、自分自身の体力もつけて、いざとなったら実力行使で逃げなきゃいけないって事を。
あの聖女狂集団も、冷酷王太子も皆容赦なかった。
突然押しかけてきて言いたい事言って人の人生ぶち壊すような事をしてくれやがる。
そう考えると、護身術の稽古にも一層身が入る。
「さあ、もう一本」
「いやああああああああ」
「せいっ!」
「ひゃあ!」
「ステラ様、いいですよ!そこは力を入れすぎない!」
グスタフ先生からの指導でますます張り切っちゃう!
「はいっ!」
「セオドア様、剣をしっかり持って!」
セオドアにも指導の声が飛ぶ。
「きゃあああ、いやあああ」
「やあ!!」私が勢いよく剣を振り下ろすと、セオドアの剣は弾かれ、くるっと天に向かって飛んでいき、そのままくるくる回りながら落ちてくると地面にサクッと刺さった。
「もういや~~、こんなのイヤ、危ないじゃないのよぉ、野蛮人!この山猿!!」
ふふふ、この分野は私の圧勝だな。
「先生、どうでしょうか?」
「ステラ様は、大変筋がよろしいですよ。これから基本的なトレーニングを重ねていけば、成長とともに筋力もついてきますし、上達は速いでしょう」
「ありがとうございます!!」
私はドヤ顔でセオドアを振り返った。
「あれえ?なんか、そこに腰抜かしてる人いるのかなあ?なんかフリフリした服きて授業に参加しているけど、どうしたのかなあ?もしかしてフリフリが重くて動けなかったのかなあ?ふううううん?」
先生は苦笑している。
だってさあ、セオドアのやつ、護身術の時間にバッカみたいにフリフリの服きてきてさあ、くねくね動いてんだもん。面白すぎて、ちょっとからかいたくなっちゃうんだよね?
アッハッハ、禁断枠!バンザイ!!絶対ないわ!!
「まあ、今日はここまでにしておきましょう。」
先生が咳払いをして授業終了を告げる。でも、目が笑ってるの、見逃してないよ?
「ステラ様、腹筋、背筋、脚力のトレーニングをバランスよく、毎日少しずつ進めてください。決してやりすぎないようにしてくださいね。それから、素振りも毎日必ず、少しずつ進めてください。
セオドア様、まずは‥‥‥イメージトレーニングから始めましょう。自分の身を守る事、これは大切な事ですからね」
「ありがとうございました!!!」
「‥‥‥ありがとうございました。」
先生に挨拶すると、セオドアが食ってかかってきた。
「大体ねえ、繊細で美しいボクにこんな汗臭いこと似合わないんだよ。一緒にすんなよ、山猿が。」
「ぷはっ!あの屁っ放り腰!!超ウケる!!」
「う、うるさいな、誰だって苦手な事あるんだよ!」
「ギャハハ、なんで剣持ってクネクネしてんのよ。おっかしー!!」
「きいいい」
「笑いすぎて涙でる。あんた、本当に面白いね。しかも、剣術でその格好!!」
今日のセオドアは、一応、男物の服を着てるんだけど、上から下までフリルとリボンでモリモリになっていて、腰のあたりはパニエで支えているように広がっている。しかも膝と足首まで念入りにリボンが飾られている。
シンプルなズボンとシャツの私と比べると随分と動きづらそう。
「下手くそなんだから、せめて普通の練習着着てくればいいんじゃない?」
「よ、余計なお世話だよ。お前みたいな野蛮人と一緒にするな!」
「ふーん、まあいいけど?でも、あんまり弱すぎると、ちょっと力余っちゃうなあ~?実力発揮できなくて、困っちゃう~~?」
「きいいいいいい」
「ぎゃははははは」
「なんか、どの教科でも負けないとか言ってたような気がしたけど、気のせいだね!?」
「うるさい、うるさい、うるさい!」
「あーいい汗かいた~~あれ~?冷や汗しかかいてない人もいるのかなぁ?この辺に?」
ちらりとセオドアを見ると言ってやった。
「今から、温泉で汗流そっと。覗くなよ?チ・カ・ン・く・ん?」
「きいいいいいいいいい」
はっはっはーーー!!気分がいいね!!
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