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35 勇太
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耳に飛び込んできたその言葉は、オレたちの友情をぶち壊すほどの破壊力を持っていた。
これまで、なんとかオレたちの友情を維持するために、重ねてきた関係を根本からぶち壊し、必死に隠し、取り繕ってきたオレの、ギリギリの「親友」どころか「友達」としての境界線までぶち壊すほどの破壊力だ。
そうは、いかない。どうしても、ごまかさなければ。
これまでだって、何度も何度も、繰り返し繰り返し、自分に言い聞かせてきたじゃないか。
壮介の視線の意味を。言葉の意味を。
誤解するな。
勘違いするな。
オレの思いが絶対にバレないように。
態度に出さないように。
そう、何度も、何度も。
繰り返し、繰り返し。
そう、今回だって同じ。
オレのギリギリのこの脆い「親友」としての立場を、守るために。
嫌われないように。
キモいと思われないように。
卒業後までなんて贅沢はもう望まない。望めない。
だけど、せめて、卒業までだけでも、せめて、ただの友達としてだけでも、側にいたい。居させて、欲しい。
彼女がいるこいつが、そう、オレに友達として以上の感情を抱いてくれるはずもないこいつが、怪しまないように。
その疑いが、オレをこいつから遠ざけてしまうことがないように。
なんとか、取り繕わないと。
どうにか、取り繕わないと。
必死で、冗談を混ぜて言い返す。
言葉は空回り、どこか、上滑りしている。
でも、なんとか、取り繕わないと。
そうだろ?きっと誰かにからかわれたから、急に言い出した事だよな?
山田くん?からかい好きだからありえるよな?
そう言ってくれよ。頼むから。
どうにか、「親友」としての外面を取り繕い、逃げ出そうとしたオレに、あいつは言ったんだ。
「俺は、本気で言ったんだ。俺の言ったこと、気にしてほしい。」
「え・・・」
そんなはずない。そんなはずないよな?だって・・・
「オレ・・・男だけど・・・」
思わず、つい、言葉が飛び出してしまった。
壮介は、一瞬ポカンとしたような表情をして、
「は?知ってるけど?当たり前だろ」
と言ったんだ。
これまで、なんとかオレたちの友情を維持するために、重ねてきた関係を根本からぶち壊し、必死に隠し、取り繕ってきたオレの、ギリギリの「親友」どころか「友達」としての境界線までぶち壊すほどの破壊力だ。
そうは、いかない。どうしても、ごまかさなければ。
これまでだって、何度も何度も、繰り返し繰り返し、自分に言い聞かせてきたじゃないか。
壮介の視線の意味を。言葉の意味を。
誤解するな。
勘違いするな。
オレの思いが絶対にバレないように。
態度に出さないように。
そう、何度も、何度も。
繰り返し、繰り返し。
そう、今回だって同じ。
オレのギリギリのこの脆い「親友」としての立場を、守るために。
嫌われないように。
キモいと思われないように。
卒業後までなんて贅沢はもう望まない。望めない。
だけど、せめて、卒業までだけでも、せめて、ただの友達としてだけでも、側にいたい。居させて、欲しい。
彼女がいるこいつが、そう、オレに友達として以上の感情を抱いてくれるはずもないこいつが、怪しまないように。
その疑いが、オレをこいつから遠ざけてしまうことがないように。
なんとか、取り繕わないと。
どうにか、取り繕わないと。
必死で、冗談を混ぜて言い返す。
言葉は空回り、どこか、上滑りしている。
でも、なんとか、取り繕わないと。
そうだろ?きっと誰かにからかわれたから、急に言い出した事だよな?
山田くん?からかい好きだからありえるよな?
そう言ってくれよ。頼むから。
どうにか、「親友」としての外面を取り繕い、逃げ出そうとしたオレに、あいつは言ったんだ。
「俺は、本気で言ったんだ。俺の言ったこと、気にしてほしい。」
「え・・・」
そんなはずない。そんなはずないよな?だって・・・
「オレ・・・男だけど・・・」
思わず、つい、言葉が飛び出してしまった。
壮介は、一瞬ポカンとしたような表情をして、
「は?知ってるけど?当たり前だろ」
と言ったんだ。
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