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第34話 怠け者のドワーフ
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農業と畜産については、砂漠の緑地化を応用した大地を復活させる取り組みと、それぞれに任せる『米』『ブロッコリー』『大豆』『豚』『牛』『鶏』の管理育成方法を教え込んだ。
当然ソースは全て魔神さんの書庫から得た知識である。俺の実体験ではないので俺自身どうなるかわからない。
当然最初は失敗も沢山するだろうが、気にせずチャレンジを続けて欲しい。
取りあえず今俺が伝えられる知識はゼファ含め全員に教え込んだので、しばらくは様子を見る。
次に俺は工業に取り組むことにした。
優先順位でいえば『教育』なのだが、あれもやれこれもやれ、だけではモチベーションは上がらない。
サラリーマン時代、一応係長として小人数のチームを任されていた俺は、モチベーションによって仕事の効率が大きく変わることを知っている。
そこで俺は魔族にとってのモチベーション、『筋トレ』でも活用できる『工業』の発展を考えた。
なんとなく、性格的にもなんかそれっぽいしガイアでいいだろう。
トレーニングも一番好きそうだし。
---
「魔王様のお考えはよくわかった。異論はない。私は何をすれば良い?」
「あーちなみに、変な質問だったら申し訳ないんですが、この世界、ドワーフって種族います?」
龍もいるしドワーフがいても不思議ではないだろう。
やはり工業、とかモノづくり関連からドワーフは外せない。
「あードワーフどもか…あいつらならナイトクリークにいけば会えるだろうが、あの怠け者どもに何をさせるつもりだ?」
ドワーフが怠け者?
こっちの世界のドワーフは俺の知ってるドワーフとはまた別なのかな。
「ドワーフは髭もじゃで背が低くがっしり?」
「うむ」
「酒好きで?」
「うむ」
「職人気質で生真面目?」
「うむ?」
え?
しかしまぁ工業都市のナイトクリークにいる以上、何かしらモノづくりには携わってるだろう。
ゼファたちに関してはアルスとセニアがいれば問題ないだろうし、一度ガイアと一緒にナイトクリークにいってみよう。
〇
「うわっ酒くさっ!」
ガイアに連れてこられた建物に入った瞬間、余りの酒の臭いに顔をしかめる。
一緒に連れてきたはちべえに至っては建物に近づきすらしない。
元々魔族自体酒を好んで飲む習慣はないのだが、やはりドワーフに関してはその限りではないようだ。
部屋の中に入ると、10人近いドワーフが悶え苦しんでいた。
「大丈夫か!?何があった!?」
突然のことに、俺は臭いを気にせず焦って駆け寄ったが、ガイアはやけに落ち着いている。
「うぅぅぅう、頭が痛てぇぇぇえ」
「み、水……をく……れ…」
「も、もう飲めねぇ…」
「あー二日酔いがやばい。迎え酒…」
ガイアの方を見るが目をつむり首を横に振っている。
これが普通ということなのだろう。
「おい貴様ら!魔王様がお見えだぞ!!顔を洗って来い!!!」
ガイアが怒鳴り声を上げるが全員起き上がる様子は見られない。
あ、この人たちダメな大人たちだ。
俺の持っていた勤勉な魔族のイメージとはかけ離れている。
取りあえず効き目があるか分からなかったが解毒魔法を唱えてみる。
ちなみにこの世界、ファンタジーな世界らしく魔法もある。
しかし性格的なものなのか、魔族はあまり魔法が好きではないようで物理に偏っている。
人間はどちらかというと魔王に偏っている為、魔法は弱い者が使う、というイメージらしい。
なので恐らくガイアも俺がこうして魔法を使うのは内心面白くないだろうけど、俺は利用できるものは全て利用する。
些事に気を取られ大局を見誤ってはならない。
「ん、んん…ん」
どうやら魔法の効果があったらしく、二日酔いで苦しんでいたドワーフたちが暫くすると徐々に目を覚まし始めた。
俺の顔はまだ公にされていないので驚かないのはわかるが、先代魔王が没してから魔族の象徴的な存在となっているはずの四天王ガイアを見ても誰も焦らない。
それどころかどこか不貞腐れているようにすら感じる。
「四天王様がわざわざこんなところに今更なんの用ですか?」
一番あご髭が立派なドワーフ、スミスが代表してガイアの相手をする。
スミスの後ろでは腕を組んだドワーフがガイアを睨みつけている。
「新たな魔王様をお連れした。貴様らの二日酔いが瞬時に回復したのは魔王様のお力だ。感謝するが良い。」
ちょっとガイアさん、こんな明らかにこっちを敵視してきている方たちを煽るような真似しないで下さい。
「はっ。そんなん頼んでねえや。糞みてえな毎日を忘れる為に飲んだくれてるっていうのに勝手に現実に引き戻すんじゃねぇよ!」
後ろのドワーフたちもそーだそーだと囃し立てる。
ガイアのドワーフのイメージといい、スミス達ドワーフの態度といい大きな問題が生じているようだ。
「スミスさん初めまして、佐藤と申します。突然お伺いして申し訳ありませんが、その『糞みてえな毎日』という状態を詳しく教えて貰えませんでしょうか?」
じろりと俺のことを睨みつけるが俺に文句を言っても仕方ないと判断したのか諦めたように説明を始める。
「どうもこうもねぇよ。50年以上前に魔族の生活を変えたい、とスカウトされてドワーフの谷からこっちに引っ越してきたものの、作らされるのは鉄の棒とそれに取り付ける重りだけじゃねぇか!!」
おい魔族さん達よ…ドワーフの技術を何に使っているんだ…
「儂らは別に伝説級の武具が作りたいとか、オリハルコンを加工したいとか、そんな贅沢を言うつもりは全くないんだよ………。だがよ、こんな鉄の重り作るだけの生活なんてお師匠さんに申し訳なくて……とてもじゃねえが素面でなんかやってられねえや。」
じろりとガイアの方を見るが俺と視線を決して合わせようとせず、音の鳴りもしない口笛を吹いている。
「そんなに嫌なら故郷に戻る選択肢はなかったんですか?」
「……契約金前払いにしてもらって使ってしまった。……酒に。」
今度はドワーフが全員俺から目を逸らす。
「俺はよぉ…俺たちはよぉ……もっとわくわくするもんが作れりゃぁそれで満足なんだよ。鉄の塊が必要なら俺らじゃなくていいじゃねぇかよぉ…」
ごもっともである。
なんでそんな宝の持ち腐れみたいなことをしているかガイアに尋ねると、確かにドワーフたちを招いたときにアルスとセニアに生活を豊かになるものを作ってもらおう、と話をされたらしい。
ただし、根本魔族は脳みそが筋肉なので生活の豊かさよりも目先のトレーニングを優先してしまったとのこと。
当初はドワーフもより大きな重りを作ることが楽しく言われるままに要望を叶えてしまい、双方それが常態化してしまったようだ。
「スミスさん、ちなみにこういったものを作れますか?」
そういって俺は自分の手の平から現代日本の筋トレ機器の3D映像を映し出す。
俺のイメージや記憶を3D映像を映し出すオリジナル魔法だ。
この世界に存在しない俺のイメージをアルスとセニアに伝えるのに苦慮し編み出した自信作の一つだ。
「こ、これは……」
ザワザワザワガヤガヤガヤ
「ま、魔王様…これは…」
ムラムラムラムラ
俺のイメージ映像による驚きよりも、初めて目にする機器への興味と創作意欲が溢れ出している様子だ。
ガイアは気持ち悪いので無視だ。
取りあえず、色々話したい事も沢山あるので、良かったら俺の家で続きを話しましょう。
〇
自宅まではレイラの母親、龍型のエレナさんに送ってもらった。
ガイアもドワーフも空を飛んでいる時はやけに静かだった癖に、降りてエレナさんが人型に戻った瞬間に事前の説明をしろと怒られた。
それではサプライズにならないではないか。
まずは全員温泉に案内した。
今回はドワーフがお客さんなのでトレーニングはしない。
ドワーフ達も温泉は相当気に入ったようで隅から隅まで観察していた。
あの調子だと、もしかしたら何か月後かにナイトクリークに温泉とサウナが完成しているかもしれんな。
風呂上りには、今回はコーヒー牛乳ではなく、秘蔵の日本酒と刺し盛りを用意した。
ガイアは刺身に若干引き気味だったが、ドワーフ達は元来普通に食事を取る種族の為、最初から恐れず食べていた。
が、何よりも日本酒を偉く気に入ったようで作り方を必死に聞いて来た。
ちなみにガイアもちびちび飲んでいるから気に入ったのだろう。
鍛冶仕事だけでなく、ドワーフは何事も自分たちで作る欲求が大きいらしい。
そんな彼らにしてみれば鉄の棒と重りしか作れない生活はさぞ苦痛だったことだろう。
「ガイアさん、スミスさん達は失礼ですけど魔族よりも余程働くのが好きな方々ですよ。」
「………。スミス殿、申し訳なかった。」
「…うむ」
寡黙な男同士の必要最低限の会話、悪くないね。
ガイアも素直に謝れたし……まぁ個人的には完全に魔族が悪い。
「で、スミスさん、実際さっき見ていただいた機器は作れそうですか?」
「馬鹿にしてもらっちゃ困るぞ魔王様、我らに作れぬものなどこの世にないわ!」
「おぉ頼もしい!!あれが終ったらまだまだ作ってもらいたいものが山ほどあるんですよ!!」
今回は手始めにトレーニング機器から依頼するが、将来的には交通や生活を支えるインフラ整備に着手していきたい。
俺の将来のイメージを先程同様に3D映像で映し出すとドワーフたちは俺を神の様に崇め始めたがそれは勘弁してくれ。
神ではなく同士だ、と説明し肩を組み盃を交わした。
傍から見れば子供とジジイが酒を酌み交わす問題映像だが、ここは魔界だから問題ない。
「ガイアさん、自分たちが出来ない事をやれる人はそれだけで尊敬すべきだと俺は思います。自分が出来ないことを偉そうに押し付けるのはただただダサいことですからね?」
「申し訳ない、肝に銘じる。」
「俺に謝る事ではありません。職人であるスミスさん達が働きやすい様に支えて上げて下さい。それが彼らに対する魔族の罪滅ぼしになると思いますので。」
「承知した。」
既に俺から依頼された機器の設計を始めるドワーフ達の輪にガイアは加わり、少しでも手伝えることはないかと聞き耳を立てている。しっかり継続して欲しい。
それはそうと、ドワーフがいるのならエルフもきっといるだろう。
いつか完成する俺のハーレムに絶対エルフを加えようと固く誓うのであった。
当然ソースは全て魔神さんの書庫から得た知識である。俺の実体験ではないので俺自身どうなるかわからない。
当然最初は失敗も沢山するだろうが、気にせずチャレンジを続けて欲しい。
取りあえず今俺が伝えられる知識はゼファ含め全員に教え込んだので、しばらくは様子を見る。
次に俺は工業に取り組むことにした。
優先順位でいえば『教育』なのだが、あれもやれこれもやれ、だけではモチベーションは上がらない。
サラリーマン時代、一応係長として小人数のチームを任されていた俺は、モチベーションによって仕事の効率が大きく変わることを知っている。
そこで俺は魔族にとってのモチベーション、『筋トレ』でも活用できる『工業』の発展を考えた。
なんとなく、性格的にもなんかそれっぽいしガイアでいいだろう。
トレーニングも一番好きそうだし。
---
「魔王様のお考えはよくわかった。異論はない。私は何をすれば良い?」
「あーちなみに、変な質問だったら申し訳ないんですが、この世界、ドワーフって種族います?」
龍もいるしドワーフがいても不思議ではないだろう。
やはり工業、とかモノづくり関連からドワーフは外せない。
「あードワーフどもか…あいつらならナイトクリークにいけば会えるだろうが、あの怠け者どもに何をさせるつもりだ?」
ドワーフが怠け者?
こっちの世界のドワーフは俺の知ってるドワーフとはまた別なのかな。
「ドワーフは髭もじゃで背が低くがっしり?」
「うむ」
「酒好きで?」
「うむ」
「職人気質で生真面目?」
「うむ?」
え?
しかしまぁ工業都市のナイトクリークにいる以上、何かしらモノづくりには携わってるだろう。
ゼファたちに関してはアルスとセニアがいれば問題ないだろうし、一度ガイアと一緒にナイトクリークにいってみよう。
〇
「うわっ酒くさっ!」
ガイアに連れてこられた建物に入った瞬間、余りの酒の臭いに顔をしかめる。
一緒に連れてきたはちべえに至っては建物に近づきすらしない。
元々魔族自体酒を好んで飲む習慣はないのだが、やはりドワーフに関してはその限りではないようだ。
部屋の中に入ると、10人近いドワーフが悶え苦しんでいた。
「大丈夫か!?何があった!?」
突然のことに、俺は臭いを気にせず焦って駆け寄ったが、ガイアはやけに落ち着いている。
「うぅぅぅう、頭が痛てぇぇぇえ」
「み、水……をく……れ…」
「も、もう飲めねぇ…」
「あー二日酔いがやばい。迎え酒…」
ガイアの方を見るが目をつむり首を横に振っている。
これが普通ということなのだろう。
「おい貴様ら!魔王様がお見えだぞ!!顔を洗って来い!!!」
ガイアが怒鳴り声を上げるが全員起き上がる様子は見られない。
あ、この人たちダメな大人たちだ。
俺の持っていた勤勉な魔族のイメージとはかけ離れている。
取りあえず効き目があるか分からなかったが解毒魔法を唱えてみる。
ちなみにこの世界、ファンタジーな世界らしく魔法もある。
しかし性格的なものなのか、魔族はあまり魔法が好きではないようで物理に偏っている。
人間はどちらかというと魔王に偏っている為、魔法は弱い者が使う、というイメージらしい。
なので恐らくガイアも俺がこうして魔法を使うのは内心面白くないだろうけど、俺は利用できるものは全て利用する。
些事に気を取られ大局を見誤ってはならない。
「ん、んん…ん」
どうやら魔法の効果があったらしく、二日酔いで苦しんでいたドワーフたちが暫くすると徐々に目を覚まし始めた。
俺の顔はまだ公にされていないので驚かないのはわかるが、先代魔王が没してから魔族の象徴的な存在となっているはずの四天王ガイアを見ても誰も焦らない。
それどころかどこか不貞腐れているようにすら感じる。
「四天王様がわざわざこんなところに今更なんの用ですか?」
一番あご髭が立派なドワーフ、スミスが代表してガイアの相手をする。
スミスの後ろでは腕を組んだドワーフがガイアを睨みつけている。
「新たな魔王様をお連れした。貴様らの二日酔いが瞬時に回復したのは魔王様のお力だ。感謝するが良い。」
ちょっとガイアさん、こんな明らかにこっちを敵視してきている方たちを煽るような真似しないで下さい。
「はっ。そんなん頼んでねえや。糞みてえな毎日を忘れる為に飲んだくれてるっていうのに勝手に現実に引き戻すんじゃねぇよ!」
後ろのドワーフたちもそーだそーだと囃し立てる。
ガイアのドワーフのイメージといい、スミス達ドワーフの態度といい大きな問題が生じているようだ。
「スミスさん初めまして、佐藤と申します。突然お伺いして申し訳ありませんが、その『糞みてえな毎日』という状態を詳しく教えて貰えませんでしょうか?」
じろりと俺のことを睨みつけるが俺に文句を言っても仕方ないと判断したのか諦めたように説明を始める。
「どうもこうもねぇよ。50年以上前に魔族の生活を変えたい、とスカウトされてドワーフの谷からこっちに引っ越してきたものの、作らされるのは鉄の棒とそれに取り付ける重りだけじゃねぇか!!」
おい魔族さん達よ…ドワーフの技術を何に使っているんだ…
「儂らは別に伝説級の武具が作りたいとか、オリハルコンを加工したいとか、そんな贅沢を言うつもりは全くないんだよ………。だがよ、こんな鉄の重り作るだけの生活なんてお師匠さんに申し訳なくて……とてもじゃねえが素面でなんかやってられねえや。」
じろりとガイアの方を見るが俺と視線を決して合わせようとせず、音の鳴りもしない口笛を吹いている。
「そんなに嫌なら故郷に戻る選択肢はなかったんですか?」
「……契約金前払いにしてもらって使ってしまった。……酒に。」
今度はドワーフが全員俺から目を逸らす。
「俺はよぉ…俺たちはよぉ……もっとわくわくするもんが作れりゃぁそれで満足なんだよ。鉄の塊が必要なら俺らじゃなくていいじゃねぇかよぉ…」
ごもっともである。
なんでそんな宝の持ち腐れみたいなことをしているかガイアに尋ねると、確かにドワーフたちを招いたときにアルスとセニアに生活を豊かになるものを作ってもらおう、と話をされたらしい。
ただし、根本魔族は脳みそが筋肉なので生活の豊かさよりも目先のトレーニングを優先してしまったとのこと。
当初はドワーフもより大きな重りを作ることが楽しく言われるままに要望を叶えてしまい、双方それが常態化してしまったようだ。
「スミスさん、ちなみにこういったものを作れますか?」
そういって俺は自分の手の平から現代日本の筋トレ機器の3D映像を映し出す。
俺のイメージや記憶を3D映像を映し出すオリジナル魔法だ。
この世界に存在しない俺のイメージをアルスとセニアに伝えるのに苦慮し編み出した自信作の一つだ。
「こ、これは……」
ザワザワザワガヤガヤガヤ
「ま、魔王様…これは…」
ムラムラムラムラ
俺のイメージ映像による驚きよりも、初めて目にする機器への興味と創作意欲が溢れ出している様子だ。
ガイアは気持ち悪いので無視だ。
取りあえず、色々話したい事も沢山あるので、良かったら俺の家で続きを話しましょう。
〇
自宅まではレイラの母親、龍型のエレナさんに送ってもらった。
ガイアもドワーフも空を飛んでいる時はやけに静かだった癖に、降りてエレナさんが人型に戻った瞬間に事前の説明をしろと怒られた。
それではサプライズにならないではないか。
まずは全員温泉に案内した。
今回はドワーフがお客さんなのでトレーニングはしない。
ドワーフ達も温泉は相当気に入ったようで隅から隅まで観察していた。
あの調子だと、もしかしたら何か月後かにナイトクリークに温泉とサウナが完成しているかもしれんな。
風呂上りには、今回はコーヒー牛乳ではなく、秘蔵の日本酒と刺し盛りを用意した。
ガイアは刺身に若干引き気味だったが、ドワーフ達は元来普通に食事を取る種族の為、最初から恐れず食べていた。
が、何よりも日本酒を偉く気に入ったようで作り方を必死に聞いて来た。
ちなみにガイアもちびちび飲んでいるから気に入ったのだろう。
鍛冶仕事だけでなく、ドワーフは何事も自分たちで作る欲求が大きいらしい。
そんな彼らにしてみれば鉄の棒と重りしか作れない生活はさぞ苦痛だったことだろう。
「ガイアさん、スミスさん達は失礼ですけど魔族よりも余程働くのが好きな方々ですよ。」
「………。スミス殿、申し訳なかった。」
「…うむ」
寡黙な男同士の必要最低限の会話、悪くないね。
ガイアも素直に謝れたし……まぁ個人的には完全に魔族が悪い。
「で、スミスさん、実際さっき見ていただいた機器は作れそうですか?」
「馬鹿にしてもらっちゃ困るぞ魔王様、我らに作れぬものなどこの世にないわ!」
「おぉ頼もしい!!あれが終ったらまだまだ作ってもらいたいものが山ほどあるんですよ!!」
今回は手始めにトレーニング機器から依頼するが、将来的には交通や生活を支えるインフラ整備に着手していきたい。
俺の将来のイメージを先程同様に3D映像で映し出すとドワーフたちは俺を神の様に崇め始めたがそれは勘弁してくれ。
神ではなく同士だ、と説明し肩を組み盃を交わした。
傍から見れば子供とジジイが酒を酌み交わす問題映像だが、ここは魔界だから問題ない。
「ガイアさん、自分たちが出来ない事をやれる人はそれだけで尊敬すべきだと俺は思います。自分が出来ないことを偉そうに押し付けるのはただただダサいことですからね?」
「申し訳ない、肝に銘じる。」
「俺に謝る事ではありません。職人であるスミスさん達が働きやすい様に支えて上げて下さい。それが彼らに対する魔族の罪滅ぼしになると思いますので。」
「承知した。」
既に俺から依頼された機器の設計を始めるドワーフ達の輪にガイアは加わり、少しでも手伝えることはないかと聞き耳を立てている。しっかり継続して欲しい。
それはそうと、ドワーフがいるのならエルフもきっといるだろう。
いつか完成する俺のハーレムに絶対エルフを加えようと固く誓うのであった。
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