9 / 24
幕間 優しいヒーラー
しおりを挟む
五年前。プルト城の優しき老王アドルフは、幼いネィムに言った。
「ネィムよ。治癒魔法を磨き、いつかアルヴァーナに現れる勇者を助けてあげるのじゃ」
「はい、父様! ネィム、頑張りますです!」
ネィムは胸の前で両手を握り、癖のある茶色の髪を揺らせながら答えた。五歳のネィムの可愛い仕草に、王は威厳のある顔を皺くちゃにして微笑む。
「しかし気を付けるのじゃぞ。勇者現れし時、魔王もまた復活すると言い伝えにある」
「父様! 魔王って、とっても悪い御方なのですよね! それって、ひ、人を……人を殺したりするのです!?」
ネィムはドキドキと緊張しながら尋ねた。王は険しい顔で言う。
「いや。野菜や果物を盗むらしいのじゃ」
「あっ!? そんな感じのアレなのです!?」
「うむ。そんな感じのアレじゃ」
「ネィム、人殺しをするような悪いモンスターかと思いましたです……」
「はっははは! そんなモンスターは絵本の中だけじゃて!」
王は快活に笑った後で、悲しげな表情を見せた。
「それから、ネィムや。人殺しとかそんな言葉を言わないでおくれ。王様、恐ろしい……!」
「ご、ごめんなさいです!」
話を聞いていた王妃が溜まりかねて吹き出す。
「ふふ。本当に悪いモンスターはアルヴァーナにいませんからね」
両親の話を聞いて、拍子抜けした顔のネィム。王妃はなおも、クスクスと笑い続けた。
「いつか魔王とも仲良くなれると良いわよね」
「は、はいです、母様! それから、あと……」
ネィムは両手の指を合わせてモジモジさせていたが、やがて思い切って言う。
「ネィム、勇者様とも仲良くできますですか!?」
違う世界から現れるという勇者。その仲間になるということは長い間、一緒に旅をするということである。もし勇者に嫌われたらと考えると、ネィムは気が気でなかった。
不安で一杯のネィムの頭を、王妃が優しく撫でる。
「ネィムは明るくて良い子だもの。ネィムのことを嫌いになる人なんていませんよ」
瞬間、ネィムの顔は花が咲いたように明るくなった。
「ありがとうです、母様!」
「うむ! 意地悪な勇者ならワシが叱ってやるわい!」
「ありがとうです、父様!」
王と王妃の優しさにネィムは感謝する。素敵で優しい両親のもとに産まれて、自分は何て幸せなのだろう。幼いながらにネィムは心からそう思っていた。
突然、王妃がコンコンと咳をする。咳は激しくなり、王が王妃の背中を擦った。
「そろそろ床についてはどうじゃ?」
「そうですわね……」
「ネィム、母様と一緒に行きますです!」
王と兵士の肩を借りて歩く王妃のドレスの裾を、ネィムは握りながら歩いた。
王妃の間のベッドに横たわる辛そうな母に、
「えいっ、えいっ!」
ネィムは習ったばかりの治癒魔法を施した。ネィムの掌から淡い光が発せられる。ネィムは王妃の胸の辺りを小さな掌で撫でた。
「ありがとう。ネィムのお陰でとても気分が良くなりました」
王妃はにこやかに言ったが、顔は蒼白でこめかみから汗が伝っていた。『治癒魔法は、怪我は治せても病を癒やすことはできない』――魔法理論の常識であり、幼いネィムですら、そのことを知っていた。それでもネィムは自分にできることをしたいと、母に治癒魔法を施した。そして王妃もまた娘の愛情を感じていた。
「ネィムの力は優しい力です。きっと勇者様も喜んでくれる筈ですよ」
「はいです、母様!」
一年後。優しい王妃が病魔に負けじと気丈にネィムに微笑んだあの日と同じベッドの傍らで、医者が首を横に振る。沈痛な表情の王の隣で、ネィムは激しく泣きじゃくっていた。ネィムが六歳になる一ヶ月前に王妃は亡くなった。
……王妃の国葬から数日が経過した。ネィムは町でイタズラをするゴブリン達の後を追いかける。
「コラー! 野菜を盗むなですー!」
「やべっ! ネィムだ! 逃げろ!」
二体のゴブリンは市場で盗んだ野菜を抱えて走り出した。ネィムもその後を走るが、足がもつれて転んでしまう。
ネィムが転んだのに気付いて、二体のゴブリンが背後を振り返る。小柄な方のゴブリンが叫んだ。
「兄貴! ネィムがこけたぞ!」
「何っ!?」
二体のゴブリンは慌ててネィムのもとに駆け寄ってきた。やや大柄なゴブリンが倒れているネィムに声を掛ける。
「おい、大丈夫か……って、血が出てるぞ、ネィム!」
「マジか! 俺、血ィ苦手だ!」
血を見て騒ぐゴブリン達。しかしネィムはにこりと笑う。
「平気なのです。このくらいの怪我なら……」
ネィムは擦り剥けた膝に手を当てる。やがて治癒魔法が発動して、出血が止まった。傷は完治とは言えないものの、かさぶたに変化している。
「おー! やるなあ、ネィム! すげえな、治癒魔法って!」
感心するゴブリン達。だが、ネィムは小さく首を横に振る。
「ダメでしたのです」
「ダメって? 傷を治せたじゃねえか」
「でも、母様は治せませんでした……」
ネィムは懇願するように、ゴブリン達に迫る。
「魔物の方々は、人間よりも魔法に詳しいと聞きますです! 教えてくださいです! もっともっとネィムが頑張ったら、病だって治せるようになりますですか!?」
「そ、それは……」
言葉に詰まって、顔を見合わせるゴブリン達。いつしかネィムは泣きながら叫んでいた。
「いつか、母様のように病で苦しんでいる人達を助けられますですか!?」
小柄なゴブリンが、目を潤ませる。
「兄貴! 俺、もうダメだ!」
「な、泣くなバカ! しっかりしろ! モンスターとしての威厳を保て!」
そして大柄で兄貴格のゴブリンがネィムの前に一歩、ズイと進み出た。
「治癒魔法で病を治すだと!? そんなヒーラー聞いたことねえよ!!」
「兄貴!? ひでえよ!!」
「や、やっぱり……ダメなのですね……」
両手で顔を覆うネィムに兄貴格のゴブリンは言う。
「だから、お前が最初になれよ!! ネィムは将来、勇者のパーティに入るヒーラーなんだろ!! 病ぐらい治せるようになるに決まってんだろうが!!」
そう叫ぶゴブリンの目からも涙が溢れていた。ネィムは自分の目をゴシゴシ擦ると、どうにか笑顔を繕った。
「ありがとうです!」
「魔物に礼なんか言うな、バカ野郎!」
ゴブリン達も腕で涙を拭いながら、踵を返す。盗んだ野菜を地面に置いたままで。
「あれ、兄貴。野菜は?」
「いらねえ! 俺は決めた! コイツが優秀なヒーラーになるまで、俺は腐った野菜しか盗まねえ!」
「はぁ。えっと……それ、兄貴だけっすよね?」
「お前もだよ!!」
「えええええ!!」
そんなことを言いながら、ゴブリン達はネィムのもとから立ち去っていった。
更に数年後。兵士長に昇格したセレナが、プルト城内で王の護衛をしていると、お抱えの審神者が血相を変えて走ってきた。
「遂に神託が下りました! 勇者召喚が近いですぞ!」
プルト城は騒然となる。そのことは、すぐにネィムの耳にも入った。
王の間でネィムが元気な声を張り上げる。
「父様! ネィム、仕上げに聖なる祠で修行をしてきますです!」
ネィムはキラキラと目を輝かせていた。幼い頃から聞かされていた勇者召喚。それが現実のものとなるのだ。
セレナはずっとネィムが研鑽に励んでいるところを見てきた。勇者のパーティにヒーラーとして加わる――無論、それはネィムが頑張る理由の一つであったが、王妃の病死がネィムにとって一番大きな要因となっていることに疑いはない。
「ネィムや。修行はもう良いのではあるまいか?」
王の言葉に、ネィムは茶色のくせっ毛をぶんぶんと横に振った。
「ネィム、たっくさん勇者様のお役に立ちたいのです! それでは、失礼しますです!」
早口で言うや、ネィムは王の間から駆け出した。女兵士セレナは、この光景を見ながら目頭を熱くしていた。
「何と、けなげな……!」
城内にいる者は勿論、城下の町に住む者全て、王妃が病により早逝したことを知っている。その結果、幼いネィムが不憫であったことも。
ネィムがいなくなった王の間で、アドルフ王が小さな声でぽつりと言う。
「ワシは、ネィムさえ気に入れば、勇者を婿に迎えても良いと思っておる」
セレナは少し驚いて王の顔を見る。王はあからさまに辛そうな表情だった。
「まだ会ったこともないのに、気が早いのではありませんか?」
「世界を救うべく召喚される勇者じゃ。性格だって良いに決まっとる。王妃が死んでから、ネィムにはずっと寂しい思いをさせた。ネィムが幸せならワシは……ワシは……ううっ!」
「泣くくらいなら、言わなきゃ良いでしょうに」
セレナはくすくすと楽しげに笑う。涙目の王は、セレナを軽く睨んだ。
「おい、セレナ。ワシは王様じゃぞ? この国で一番偉いんじゃぞ? 兵士長のお前といえど、ワシの機嫌を損ねると、」
「どうにもならないでしょう? だって、此処は平和なアルヴァーナですから!」
セレナは微笑む。アドルフ王は「ふん」と鼻を鳴らすと玉座に戻り、ゆったりと腰を下ろすと、窓の外を優しい眼で眺めた。
セレナもまた城外を見下ろす。肥沃で豊かな田園地帯が広がっていた。
「ネィムよ。治癒魔法を磨き、いつかアルヴァーナに現れる勇者を助けてあげるのじゃ」
「はい、父様! ネィム、頑張りますです!」
ネィムは胸の前で両手を握り、癖のある茶色の髪を揺らせながら答えた。五歳のネィムの可愛い仕草に、王は威厳のある顔を皺くちゃにして微笑む。
「しかし気を付けるのじゃぞ。勇者現れし時、魔王もまた復活すると言い伝えにある」
「父様! 魔王って、とっても悪い御方なのですよね! それって、ひ、人を……人を殺したりするのです!?」
ネィムはドキドキと緊張しながら尋ねた。王は険しい顔で言う。
「いや。野菜や果物を盗むらしいのじゃ」
「あっ!? そんな感じのアレなのです!?」
「うむ。そんな感じのアレじゃ」
「ネィム、人殺しをするような悪いモンスターかと思いましたです……」
「はっははは! そんなモンスターは絵本の中だけじゃて!」
王は快活に笑った後で、悲しげな表情を見せた。
「それから、ネィムや。人殺しとかそんな言葉を言わないでおくれ。王様、恐ろしい……!」
「ご、ごめんなさいです!」
話を聞いていた王妃が溜まりかねて吹き出す。
「ふふ。本当に悪いモンスターはアルヴァーナにいませんからね」
両親の話を聞いて、拍子抜けした顔のネィム。王妃はなおも、クスクスと笑い続けた。
「いつか魔王とも仲良くなれると良いわよね」
「は、はいです、母様! それから、あと……」
ネィムは両手の指を合わせてモジモジさせていたが、やがて思い切って言う。
「ネィム、勇者様とも仲良くできますですか!?」
違う世界から現れるという勇者。その仲間になるということは長い間、一緒に旅をするということである。もし勇者に嫌われたらと考えると、ネィムは気が気でなかった。
不安で一杯のネィムの頭を、王妃が優しく撫でる。
「ネィムは明るくて良い子だもの。ネィムのことを嫌いになる人なんていませんよ」
瞬間、ネィムの顔は花が咲いたように明るくなった。
「ありがとうです、母様!」
「うむ! 意地悪な勇者ならワシが叱ってやるわい!」
「ありがとうです、父様!」
王と王妃の優しさにネィムは感謝する。素敵で優しい両親のもとに産まれて、自分は何て幸せなのだろう。幼いながらにネィムは心からそう思っていた。
突然、王妃がコンコンと咳をする。咳は激しくなり、王が王妃の背中を擦った。
「そろそろ床についてはどうじゃ?」
「そうですわね……」
「ネィム、母様と一緒に行きますです!」
王と兵士の肩を借りて歩く王妃のドレスの裾を、ネィムは握りながら歩いた。
王妃の間のベッドに横たわる辛そうな母に、
「えいっ、えいっ!」
ネィムは習ったばかりの治癒魔法を施した。ネィムの掌から淡い光が発せられる。ネィムは王妃の胸の辺りを小さな掌で撫でた。
「ありがとう。ネィムのお陰でとても気分が良くなりました」
王妃はにこやかに言ったが、顔は蒼白でこめかみから汗が伝っていた。『治癒魔法は、怪我は治せても病を癒やすことはできない』――魔法理論の常識であり、幼いネィムですら、そのことを知っていた。それでもネィムは自分にできることをしたいと、母に治癒魔法を施した。そして王妃もまた娘の愛情を感じていた。
「ネィムの力は優しい力です。きっと勇者様も喜んでくれる筈ですよ」
「はいです、母様!」
一年後。優しい王妃が病魔に負けじと気丈にネィムに微笑んだあの日と同じベッドの傍らで、医者が首を横に振る。沈痛な表情の王の隣で、ネィムは激しく泣きじゃくっていた。ネィムが六歳になる一ヶ月前に王妃は亡くなった。
……王妃の国葬から数日が経過した。ネィムは町でイタズラをするゴブリン達の後を追いかける。
「コラー! 野菜を盗むなですー!」
「やべっ! ネィムだ! 逃げろ!」
二体のゴブリンは市場で盗んだ野菜を抱えて走り出した。ネィムもその後を走るが、足がもつれて転んでしまう。
ネィムが転んだのに気付いて、二体のゴブリンが背後を振り返る。小柄な方のゴブリンが叫んだ。
「兄貴! ネィムがこけたぞ!」
「何っ!?」
二体のゴブリンは慌ててネィムのもとに駆け寄ってきた。やや大柄なゴブリンが倒れているネィムに声を掛ける。
「おい、大丈夫か……って、血が出てるぞ、ネィム!」
「マジか! 俺、血ィ苦手だ!」
血を見て騒ぐゴブリン達。しかしネィムはにこりと笑う。
「平気なのです。このくらいの怪我なら……」
ネィムは擦り剥けた膝に手を当てる。やがて治癒魔法が発動して、出血が止まった。傷は完治とは言えないものの、かさぶたに変化している。
「おー! やるなあ、ネィム! すげえな、治癒魔法って!」
感心するゴブリン達。だが、ネィムは小さく首を横に振る。
「ダメでしたのです」
「ダメって? 傷を治せたじゃねえか」
「でも、母様は治せませんでした……」
ネィムは懇願するように、ゴブリン達に迫る。
「魔物の方々は、人間よりも魔法に詳しいと聞きますです! 教えてくださいです! もっともっとネィムが頑張ったら、病だって治せるようになりますですか!?」
「そ、それは……」
言葉に詰まって、顔を見合わせるゴブリン達。いつしかネィムは泣きながら叫んでいた。
「いつか、母様のように病で苦しんでいる人達を助けられますですか!?」
小柄なゴブリンが、目を潤ませる。
「兄貴! 俺、もうダメだ!」
「な、泣くなバカ! しっかりしろ! モンスターとしての威厳を保て!」
そして大柄で兄貴格のゴブリンがネィムの前に一歩、ズイと進み出た。
「治癒魔法で病を治すだと!? そんなヒーラー聞いたことねえよ!!」
「兄貴!? ひでえよ!!」
「や、やっぱり……ダメなのですね……」
両手で顔を覆うネィムに兄貴格のゴブリンは言う。
「だから、お前が最初になれよ!! ネィムは将来、勇者のパーティに入るヒーラーなんだろ!! 病ぐらい治せるようになるに決まってんだろうが!!」
そう叫ぶゴブリンの目からも涙が溢れていた。ネィムは自分の目をゴシゴシ擦ると、どうにか笑顔を繕った。
「ありがとうです!」
「魔物に礼なんか言うな、バカ野郎!」
ゴブリン達も腕で涙を拭いながら、踵を返す。盗んだ野菜を地面に置いたままで。
「あれ、兄貴。野菜は?」
「いらねえ! 俺は決めた! コイツが優秀なヒーラーになるまで、俺は腐った野菜しか盗まねえ!」
「はぁ。えっと……それ、兄貴だけっすよね?」
「お前もだよ!!」
「えええええ!!」
そんなことを言いながら、ゴブリン達はネィムのもとから立ち去っていった。
更に数年後。兵士長に昇格したセレナが、プルト城内で王の護衛をしていると、お抱えの審神者が血相を変えて走ってきた。
「遂に神託が下りました! 勇者召喚が近いですぞ!」
プルト城は騒然となる。そのことは、すぐにネィムの耳にも入った。
王の間でネィムが元気な声を張り上げる。
「父様! ネィム、仕上げに聖なる祠で修行をしてきますです!」
ネィムはキラキラと目を輝かせていた。幼い頃から聞かされていた勇者召喚。それが現実のものとなるのだ。
セレナはずっとネィムが研鑽に励んでいるところを見てきた。勇者のパーティにヒーラーとして加わる――無論、それはネィムが頑張る理由の一つであったが、王妃の病死がネィムにとって一番大きな要因となっていることに疑いはない。
「ネィムや。修行はもう良いのではあるまいか?」
王の言葉に、ネィムは茶色のくせっ毛をぶんぶんと横に振った。
「ネィム、たっくさん勇者様のお役に立ちたいのです! それでは、失礼しますです!」
早口で言うや、ネィムは王の間から駆け出した。女兵士セレナは、この光景を見ながら目頭を熱くしていた。
「何と、けなげな……!」
城内にいる者は勿論、城下の町に住む者全て、王妃が病により早逝したことを知っている。その結果、幼いネィムが不憫であったことも。
ネィムがいなくなった王の間で、アドルフ王が小さな声でぽつりと言う。
「ワシは、ネィムさえ気に入れば、勇者を婿に迎えても良いと思っておる」
セレナは少し驚いて王の顔を見る。王はあからさまに辛そうな表情だった。
「まだ会ったこともないのに、気が早いのではありませんか?」
「世界を救うべく召喚される勇者じゃ。性格だって良いに決まっとる。王妃が死んでから、ネィムにはずっと寂しい思いをさせた。ネィムが幸せならワシは……ワシは……ううっ!」
「泣くくらいなら、言わなきゃ良いでしょうに」
セレナはくすくすと楽しげに笑う。涙目の王は、セレナを軽く睨んだ。
「おい、セレナ。ワシは王様じゃぞ? この国で一番偉いんじゃぞ? 兵士長のお前といえど、ワシの機嫌を損ねると、」
「どうにもならないでしょう? だって、此処は平和なアルヴァーナですから!」
セレナは微笑む。アドルフ王は「ふん」と鼻を鳴らすと玉座に戻り、ゆったりと腰を下ろすと、窓の外を優しい眼で眺めた。
セレナもまた城外を見下ろす。肥沃で豊かな田園地帯が広がっていた。
11
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
月が導く異世界道中
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
漫遊編始めました。
外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています
転生前のチュートリアルで異世界最強になりました。 準備し過ぎて第二の人生はイージーモードです!
小川悟
ファンタジー
いじめやパワハラなどの理不尽な人生から、現実逃避するように寝る間を惜しんでゲーム三昧に明け暮れた33歳の男がある日死んでしまう。
しかし異世界転生の候補に選ばれたが、チートはくれないと転生の案内女性に言われる。
チートの代わりに異世界転生の為の研修施設で3ヶ月の研修が受けられるという。
研修施設はスキルの取得が比較的簡単に取得できると言われるが、3ヶ月という短期間で何が出来るのか……。
ボーナススキルで鑑定とアイテムボックスを貰い、適性の設定を始めると時間がないと、研修施設に放り込まれてしまう。
新たな人生を生き残るため、3ヶ月必死に研修施設で訓練に明け暮れる。
しかし3ヶ月を過ぎても、1年が過ぎても、10年過ぎても転生されない。
もしかしてゲームやりすぎで死んだ為の無間地獄かもと不安になりながらも、必死に訓練に励んでいた。
実は案内女性の手違いで、転生手続きがされていないとは思いもしなかった。
結局、研修が15年過ぎた頃、不意に転生の案内が来る。
すでにエンシェントドラゴンを倒すほどのチート野郎になっていた男は、異世界を普通に楽しむことに全力を尽くす。
主人公は優柔不断で出て来るキャラは問題児が多いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる