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Another Day 3 【私の歌は聞かせません!】

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 透たちを乗せた飛行艇は山脈の頂上を飛行していた。上空から見ると大陸を東西に分断する大きな山脈であった。

「結構長い山脈なんだな、高さはそんなに無いけどな」
「そうね、高さは1000メートルはない感じよね。登るのは大変そうだけど」

 直に山の向こう側が見えてきた。やはり反対側も森が広がり、その先に草原があった。

「同じような感じなのです!」
「そうだな、代わり映えしない景色だな」

 ユイとペギーがそう言っている隣でアライア女王が何かを見つけた。

「あれは何かしら? 何かものすごく大きい者がいらっしゃるのだけれど」
「母上、何か見えるのでござるか?」

 アリエルがアライアの見ている方を向く。するとその視線の先に何かが動いていた。

「あれは! 人ではないのでござるか?」
「ん? どうした? 人いたのかい?」「なになに?」

 透と桜が同じ方を見る。そして、

「でかい!」
「大きい!」

 そう、そこにはそれこそモビルスーツと見間違えるほどの大きさの人がたくさんいたのだ。身長10メートルはあると思われる人たちは貫頭衣を着て、ズボンを履き腰にベルトを巻き帯剣している男性と長めの貫頭衣を着て、やはり腰にベルトをしている女性が見てとれた。

「あれって、ゼントラーディ!」
「いや違うから! 俺の歌は聞かなくていいからね!」
「でも、巨人よ!」
「こ、こわいのです!」

 ユイがしっぽを丸めて怖がっていた。

「怖がるユイもかーいーかーいー、で、どうする? 行ってみる?」
「大丈夫かしら? 私の歌で」
「いや、ホントに歌わないでいいから、よし、行ってみよう! 冒険者としては黙っていられんだろ」

 びゅーんびゅーんと小声で練習する桜をよそに透は飛行艇を巨人の近くまで飛行させる。目の前まで辿り着くと、改めて大きさにびっくりする。

「マジででかいな! 話通じるかな?」

 透はスピーカーのスイッチを入れ、マイクで巨人に向かって話し出そうとする。すかさず、桜が奪い取り、

「私の歌を聞……!」
「あぶねえあぶねえ、ああ、進げ……違った巨人の皆さん! この言葉がわかりますか?」

 透は桜からマイクを取り返し、悔しがる桜を尻目に巨人に話しかけた。いきなり声を聞いた巨人は驚き辺りを見回すが、光学迷彩のため飛行艇は見えず、首を傾げながら他の巨人と話し合っていた。その内の一人が空を見上げ、声を上げる。

「カミサマデスカ? コトバワカリマス!」

 その返答に飛行艇に乗っていたみんなは驚いていた。

「神様と言いましたわ! 宗教の概念があるのですわ!」

 アライアがそう叫ぶ。この世界に来て神の存在を聞いたことがなかったみんなはこの巨人が一番文化的なのだと感じたのだった。

「いえ、神ではありません。普通の人間ですが、あなたがたと違い、大きくありません。こちらに危害をくわえないと約束してもらえるのでしたら、姿を現します」

 透は巨人に向かってそう言った。巨人たちは皆、首を振り、こう答えた。

「アラソウコトシナイ、ワレラハ、ヘイワヲノゾム」

 そう答えた巨人は腰の剣を鞘ごと抜き地面に置いた、他の巨人も同じことをしていた。
 それを見た透たちは飛行艇の光学迷彩を解除し飛行艇の甲板にみんなで姿を見せた。

「こんにちは!」

 桜がそう挨拶すると、巨人たちは一瞬驚いて、こう言った。

「マイクラン!」

 それに反応したのは誰あろう桜だった。

「いえ! マイクローンではありません! これが元のサイズです!」
「桜! いつまでそのネタ引っ張る気だ! マイクランって言ったぞ? なんのことだ?」

 透は桜を制し、巨人の言葉の意味を聞いてみる。

「俺たちは遠い場所からここに来ました。あなた方とは初めて会いましたが、マイクランとはなんですか?」

 その問いに答えて、巨人の一人がこう言った。

「ワタシタチノ、センゾ、アナタタチトオナジダッタ。トオイセカイヨリココニキタ」
「やっぱり宇宙人なの?」

 桜がやはり気になったようで巨人に聞き返す。巨人は頷き、更にこう答えた。

「ワレワレノセンゾモ、アナタガタトオナジヨウニ、ソラヲトブ、ノリモノデヤッテキタ。ダガ、ジコニアイココニ、スムシカナクナッタ」
「修理して戻れなかったのかい?」

 巨人の言葉を聞いていた透は疑問に思ったことを聞いてみるが、巨人はこう話を続けた。

「ギジュツヲシルモノガ、ジコデナクナッタノダ。ソノタメ、ナオスコトモデキズ、コノチニ、トドマルコトニシタラシイ。コノセカイハオオキイモノガオオイ、ダカラワレラハイデンシソウサデ、オオキナカラダニナッタノダ」
「それじゃあもう小さくなれないの?」

 桜が巨人に聞いてみると、

「ノリモノノソウチヲ、ツカエバカノウダガ、イチドツカエバオオキクハ、ナレナイ。チイサイママデハ、ガイテキニヤラレル」

「その乗り物は見せてもらえるのかな?」

「カマワナイ、ワレワレノスミカに、アル。ツイテキテホシイ」

「オッケー」

 そう言って透たちは巨人の後を飛行艇でついて行くのだった。


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